第8話魔道具




ロバートが育てた畑から穀物が収穫されようとしている。


領民が働いてるよ。

あああ、あれって死神が持つような大鎌だぞ。

それを地面を滑らすように刈ってる。


後ろでは、刈られた麦を拾いながら整えてキュッと結ぶ手早さだよ。


「ホッホー、あれは何だ」


「あれは、千歯扱きです。あのよに実を一気に取るための道具です」


なんて良いアイデアだ。

こんな光景なんか見た事なかった。

まあ、王都の外なんか出た事がなかったからな・・・



大勢の領民が収穫された麦を麻袋に詰める。


「よっこらしょっと」


「どうだ、そっちは」


「ああ、沢山実ってるよ」


なんて清清しい光景だ。


笑いに溢れているよ。

領民には、通常の半額の値段で売ってるからね。



川では水車小屋が「バッコン、バッコン」と粉にしてた。

その小屋からトウモロコシの粉が荷馬車へ運んでるぞ。

あっちには、麦の粉だ。

こっちは、大豆の粉だ。


水車小屋は1つじゃない。10もの水車小屋が建っていた。


そんな光景を見て俺は、閃いた!




作業小屋へ飛んで帰った。


世間に魔道具がはびこっているが、元々は錬金術から発生した魔道具士だ。

それは、あまり知られてない事実だ。


だから俺も魔道具を作るハズだ。

あ!銃や大砲も考えれば魔道具だったよ。


今後、銃や大砲の改善や量産を考えると俺1人では無理だ。

しかし、3つの能力がないと作れない。


ならば作れる魔道具を作ればいい。



なので企画を練ったよ。

王都には、ゴーレムって昔に発明した動く人形があった。

今では、動かなくなって博物館に飾ってあった。


発明者が行方不明になって失われた錬金術と聞いたことがあるぞ。

今の俺なら復活できるかも・・・


なのでソンに相談したら、王都に行く用があるって・・・

だからゴーレム購入を頼んだ。




待つ事20日。


「え!これがゴーレム・・・」


「このゴーレムでもネッギって金貨100枚ですよ。綺麗なゴーレムは、金貨1000枚だと言われました」


ぼったくりにあった気分だ。

なんでも最近になって地中から見つかったらしい。

誰が見ても欲しいと思わない品物だ。


片足が欠損して、立てることも出来ない。



まあ、諦めて鑑定だ。


「ふんふん、そうなんだ、ああ、ようやく分かったような」


80%が岩だ。

10%は魔石でゴーレムのエネルギー源だ。

今は、空っぽの魔石だから動かない。

これって開ける方法を知らないからだ。


なので新しい足を作って、新しい魔石を入れてみた。


「動けゴーレム」


「ギギギ、ギー」


あ!立ち上がったぞ。


『何か御用ですか』


お!ゴーレムがしゃべったぞ。


「あ!何も用がないから立ってて」


『御命令に従います』




ゴーレムを立たせたまま、胸を錬金術でパカッと開けて魔道基盤を取り出す。


この魔道基盤がゴーレムを命令して動かしてる正体だ。


鑑定し続ける。

もう中身は難解過ぎるぞ。

俺でも半分しか理解出来ない。



それをヒントに魔道旋盤を作ったぜ。

加工する金属を回して削るタイプだ。


歯車を作るのも大変だったよ。

大小の歯車を沢山作ったぜ。



その歯車を簡単に作る『魔道自動切断機』も作った。


土台は、火山で死骸で見つかったサラマンダーの皮だ。

どんな高熱でも耐える皮だ。


干からびてたから薬品に1日も漬け込んだ。

それをスライム台に引き伸ばしながら張り付けた。


その土台の上には、左右、上下、手前から奥へ動く物まで作った。

そこに光線を発射する魔道光線つけた。


この光線は、ゴーレムの武器だった物だ。

よくも発明したもんだよ。

発明者に頭がさがる思いだ。



操作方法は、シンプルだ。

水晶の球体に手を触れて、プログラム数値を入れてスタート。


「お!勝手に動き切断してるぞ。あ!歯車の形に切断してる」


厚さ10センチ、歯数24の歯車が完成。

相棒の歯車は、歯数12も一緒に出来ていた。



あ、こっれて動いてる最中に手を出したら危険だぞ。


危ないからガードで隠そう。

しかし、全然見えないのもダメぽいから閃いた。


スライムの粉から作った板を使うことで解決できるぞ。

あれって透明で無敵だからな。


スライムを粉にするには、俺の3つの能力なしで出来ない。


今では、スライム盾も作った。

我が領土の秘密のヒット商品だよ。


モンスター退治の防御の必需品だ。


軽くて物理攻撃がまったく効かない。

そんな盾なら誰でも欲しい。



それでも我が領土内でしか売らない。

いつ、隣の領と戦争になるか分からないからだ。


貴族同士のトラブルって基本的には、国はタッチしなのが暗黙ルールらしい。

最近になって知った常識だったよ。

領主経営なんか誰にも教えてもらってないから仕方ない。

なんでも力や財力で相手をねじ伏せるのが常だ。


弱い領主は、相手の言いなりらしい。

だから1度でも弱みを見せないのが王道らしい。



ああ、『魔道自動切断機』以外にも新しいのを作ったよ。



『魔道穴明け機』刃先が回転して穴を開ける


『魔道切削機』回転する刃先が横方向に移動して表面を削る


『魔道研磨機』調教されたスライムを使って表面をツルツルにする



使う人を育てるのも大変だ。

なので学校を建てた。


校長であって教師。



「皆さん、X軸、Y軸、Z軸の3つが基本です。固定された加工物が回転すれば、どんな加工が予想できるかな」


「はい」


「ロバート君は、分かるのか」


「はい、螺旋を削れます」


「キン、コン、カーン、コーン」


「あ、もう時間か・・・233ページから136まで予習するように」


「はーい」


「あひ」


「はい」


「あーい」


「はい」


あの子らが、字も数字も読めなかったとは・・・



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