第2話素材
兵士たちを使ってモンスターの回収だ。
鑑定結果で色々と使えることが判明。
捨てるには勿体無い。
これは持ち帰って使うしかない。
「この大トカゲ、美味そうだな」
「こっちのオークの方が美味いに決まってる」
ここの兵士たちは、このモンスターの肉を食うらしい。
マジかと思った。
考えたら仕方ないのか、放牧の牛も見なかった。
俺も、ここに来たからには食うしかないのか、再度鑑定した。
なんと俺の疑問に答えるように『通常の肉より美味い』と鑑定だ。
色々な意味で驚きだ。
そして俺は、死体となったモンスターを鑑定を続ける。
それで大発見をした。
大トカゲに駆け寄ってナイフで腹を突き刺した。
やっぱ切れ難いぞ。
何度も切って、ようやく切れた。
卵を傷つけないように鑑定しながら切る。
出るよ出たよ。卵が20個もあった。
「あ、あの大トガゲも卵が腹にあるぞ」
合計60個だ。
間違いなく生命が宿っていた。
そして鑑定して知ってるボブを呼んだ。
「ボブ、お前に大事な任務を与える」
「閣下、何でしょうか?」
「この卵を孵化させて育てるのが任務だ」
「え!そんな無理です」
「お前を鑑定したらテイマーだった。テイマーは、モンスターを手なずける能力もあって、卵を何度で温めたらいいかも分かるハズだ。だから任せたぞ」
「私がテイマー・・・わかりました」
卵から育てたら間違いなく従順なモンスターになるだろう。
辺境領にとって心強い戦力になるハズだ。
それに馬のように扱うことも可能だ。
荷物運びなら重い荷物でも大丈夫だろう。
そんな大量の素材を載せて、馬が荷馬車を引張る。
4頭立てなのに「ヒイヒィ」と鳴く馬たち。
その瞬間に
車輪の軸と軸受けの摩擦がひどい状態になってる。
油のような物を塗っているが乾燥して意味をなさない。
そこでベアリングっていい物を閃いた。
鑑定と錬金術の2つがあっての閃きでしかない。
「馬を荷馬車から外せ」
「え!・・・」
「大丈夫だ。荷馬車を魔改造するだけだ」
山積みのままで荷馬車を無魔法で浮かせる。
そして、車輪と軸と軸受けを取っ払う。
「誰かボロ盾を持って来い」
「盾をですか」
「城壁にボロボロ盾があったハズだ。あんな使い物にならないのによく取っていたな」
「誰も買ってくれないので・・・・・・」
ああ、なんて
持って来た盾でベアリングを作った。
ついでに板バネも作った。
馬車の長旅でケツが痛いのを思い出したからだ。
この板バネで荷馬車の揺れも少なくなるだろう。
弾力があっていい感じに出来るぞ。
木の軸もヘタっているぞ。
これではダメだ。
強い衝撃で「ボキッ」と折れる運命だ。
なのでパパパとなおす。頑丈な軸が出来た。
そして軸にベヤリングをはめ込む。
軸受けの部分を鉄を液状にしてしみ込ませる。
錬金術と鑑定の融合技だ。
こんな荒業は、誰も出来ないだろう。
そして、ちゃちゃと完成。
あ、潤滑油が必要だ。
モンスターからラード油を取り出す。
道端の雑草を絞って汁を取って必要な成分を抜き取る。
ラード油と取ったばかりの成分を混ぜ合わせる。
潤滑油の完成だ。
出来立ての潤滑油をベヤリングに塗りたくった。
そしてカバーをすれば完璧だ。
ベヤリングに砂でも入ったら困るに決まってるからだ。
潤滑油を塗ってる時に、そんな風に閃いた。
そして荷馬車を地面に下ろした。
「繋いでいいぞ」
オドオドしながら繋ぐ兵士。
そして、荷馬車に乗り込んで綱を引張る。
「え!なんで」
荷馬車がスイスイと動く。
「おい!ジョンも乗ってみろ」
動いているのに飛び乗ったジョン。
「お!凄いぞ。こんなに乗り心地がいいのは初めてだ」
おいおい、荷馬車を止めて変わるなよ。
また乗り手が変わるのかよ。
なんと荷馬車の下に潜り込んで見てるよ。
「なるほど、こうなってるのか・・・」
ああ、やめてくれ。
何時になったら城壁に着くんだ。
城壁までちょっとした距離なのに「俺も乗せてくれ」って10回も乗り変わったぞ。
やっと城壁だ。
あ、臭いがプンッとにおってきた。
こりゃ堪らん。
鑑定を開始。なんと長き年月で一部は、毒化が始まっていた。
原因はカビだ。
臭いだけでなかった。深刻な状況だぞ。
1ヶ月もすればひび割れが起きて、一気に毒素を振りまいて死人が出るぞ。
今でも、剥がれた欠片が落ちていた。
急いで両手を開いて念じる。
「臭い成分と毒よ、この世から立ち去れ」
分厚く塗られた薬からキラキラと成分が消え去ってゆく。
よくもこんなに塗りたくったもんだな~感心するよ。
兵士もキラキラして消えるの驚愕しながら見てた。
「あのキラキラするのは、なんだ・・・」
「それにしても綺麗だ」
その結果、頑丈な壁へ
「え!ここには鍛冶屋がないの」
「はい、ありません。服も薬も食料も隣のアレデ領から支給されます」
よくよく聞いたら王命で、仕方なく支給してたらしい。
え!それって俺が領主なったことで無くなるの。
それを聞いたら無くなるって・・・詰んでるよ
「鉱山は、あるかな・・・」
「確かではないですが、それらしき山はあります」
盾を作らせようした
山へ行って鉄を取って来るしかない。
しかし、素材も放置できない。
放置したら腐るし、素材もダメになる。
案内された倉庫で「魔改造するぞ」と気合を入れる。
俺にも考えがある。
北の国に氷室って氷を入れて、野菜保存に使ってるらしい。
そんな本を読んだ覚えがあった。
外に出て木を伐採して持って来る。
すべてが無魔法だ。
街の領民が驚いていた。
「あの大木を・・・信じられん」
「おお、神よ」
ああ、祈らなくていいよ。
そんでもって倉庫を隠すように巨大丸太倉庫を作る。
これも無魔法があれば簡単に出来る。
新たな床も作った。
倉庫と丸太倉庫の間や床の下には、ブクブク草をこねて均等にばら撒く。
そして、魔力を込める。
一瞬で何千にも空気を取り込んで膨らみだす。
これで熱をシャットアウトできる。
すべて鑑定と錬金術の知識だ。
そして、錬金術で倉庫内の熱をドンドン外へ放出。
倉庫内は、急激に温度が下がる。
「今だ、素材を入れろ」
ブルブル振るえながら素材を入れる兵士たち。
出て来た時には、安堵している。
「素材は、まだまだあるぞ」と俺は言い放った。
それを聞いてガクッと落ち込む。
無魔法を使ったら簡単に運ぶことも可能だ。
しかし、全体が見えない外からだとダメなんだよ。
俺が中に入るなんてダメに決まってる。
「残ったオークを好きなようにしていいぞ」
まともなオークは、2体。
後のオークはバラバラ。
まあ、解体するからどっちもどっちだな。
「早速解体するぞ」
兵舎へ荷馬車を走りだす。
しばらくしたら肉を焼くにおいがしてきた。
ちょっと心配になってのぞく。
あ、あれってエール。
常温より冷やすと美味しくなる。
そんな鑑定結果だ。
「まだまだ夕食ではないのに、食って飲んでるのか・・・」
「これは閣下、しかし、解体した肉は早く食べないと・・・」
男の名はヘンリー。
そのヘンリーが持っている陶器に、ドンドン熱を取り去る。
陶器表面に水滴がつき始める。
「エールを冷やしてやったぞ。飲んだらビックリするぐらいに美味しいハズだ」
「あ、陶器のジョッキーが冷たいぞ」
今頃気がつたみたいだな。
「ゴクゴク」と一気飲みしてた。
「なんて美味さだ」
「閣下、私もお願いします」
「私も・・・」
「お願いします」
ああ、嬉しくなって何杯も冷やしてやったよ。
こんな辺境まで来てくれた兵だ。
そんな兵士が嬉しく飲むエール。そんなに美味しいのかな・・・
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