第16話 大会ルール確認
五月八日、いよいよ明日から大会だ。個性豊かな塾のメンバーと1対1の戦闘訓練も今日で最後。初日は能力や特性を使わないフィジカルだけの戦闘スタイル。次は能力だけを使ったスタイル。昨日は特性を駆使した戦闘。聴く限り今日は能力と特性を生かした戦いになるだろう。桑川さんは北沢に『昼群』を教えろと言っていたけれど、目の前にいる当人はやる気がない。そんな北沢を見かねて桑川さんが声をかける。
「響、今回の大会リノや榊原さんが居るとはいえ、参加者名簿を見る限り勝利は絶対じゃない。お前が欲しいものはお前が対価を支払って取得しろ。」
「はぁ~、仕方ない。やるかぁ。で、どうやんの?」
俺は他に教えた時のように教えた。しかし、北沢は飲み込みが悪いようで、すぐには出来そうもない。
「なんなんこれ~。絶対出来ないじゃん!」
「まぁ焦らずやり続ければそのうち出来るようになるよ。」
「大会明日からじゃん。どうせ私死なないから鍛えても無駄じゃない?それより作戦会議とかやろうよ」
そう言った北沢は1階に行ってしまった。桑川さんは息を吸い、ゆっくりと吐き出した。
俺達も上に行くと、琴方のメンバーが揃っていた。
「あれぇ、響さん、戦闘訓練は終わったんですかぁ?」
「私鍛えても意味ないから作戦に全振りしようと思って!」
「じゃあ響、今大会のルールを言ってみろ。」
「分かんない!」
「そんな奴がどう作戦を立てるんだ。」
桑川さんは呆れているが榊原や矢花は笑っている。
「じゃあ岩君、ルール説明お願いね。」
「榊原さん、あなたも分かって無いでしょう。じゃあまず開始のルールから。まず開会式は国立競技場で行われ、開会式中に一人ひとつのリストバンドが配られる。このバンドを着けている内は参加者とされ、様々な罪に問われなくなる。バンドは三種類あって、1つ目は白で、これはスタッフと競技場周辺のみを使い、余り戦闘に自信はないが、体を動かしたい人に配られる。このバンドをつけている人には賞品は発生しない。2つ目は黒。これは3日間のサバイバルに参加する人に配られる。サバイバルは黒バンドの人同士で戦う事になる。俺達はこれだ。最後に黄色のバンド。これは運営側に配られる。基本的には黒と同じだが、黄色バンドをつけている人は話し掛けなければ何もしない。戦いたければ応じ、助けて欲しければ救助、他にもリタイアや共闘、ジャッジなどをしてくれる。ただ最後まで黄色バンドが残っていたら黄色バンドの人の勝利になる。」
「なるほどぉ。つまり優勝するには黄色バンドのスタッフも倒す必要があるんですねぇ。」
「次に朝10時になると、全員都内のランダムな場所に飛ばされる。身方同士で協力したいのなら相当な運か移動能力がないといけない。 とまあこのくらいだな。」
「早速作戦立てられないじゃん。」
「そうだな。」
「じゃあここに集合するってどうですかぁ?」
「まぁ実際それしかないな。俺は半径2km位なら誰がいるのか分かるから見つけ次第合流する。」
「じゃあ明日から頑張りますか!」
こうして作戦会議というよりはルール確認が終わり、各自解散した。いよいよ明日から始まるのか。いきなり成り行きでここに来て、流されて大会に参加することになったけど、不思議と何か楽しい。俺は結構戦えるはずだし、張り切っていこう。
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