第19話 二人の実力、そして

さて、防御系の能力の対策は主に三つ。圧倒的物量で突破するか、相手が防げない物で攻撃するか、不意を突くか。もう不意は突けそうにも無いな。手始めに出力を上げてみるか。

「なんだ、そっちから来ないなら俺からいくぜ?」

敵が発砲してきた。俺の攻撃も効いてないけど相手の攻撃も効かない。

「ッチ、まぁこんだけビルとか飛ばしてるんだから当たり前か。なら」

まあ、銃が効かないなら近接だよな。俺は近接戦闘はあまり出来ない。ただ防ぐことは出来る。普通の人間の打撃なら防げるからしばらくは大丈夫。よし、じゃあ相手の能力の質に賭けてみるか。大量に一酸化炭素を出してみよう。俺は吸い込まないように鼻と口に空気を纏って。

「おいテメェさっきからすました顔で気持ちわりぃんだよ!そんな余裕ならこれでも食らっとけ!」

『シールドバッシュ』

「最初は遠くて威力が落ちたが今度は最大火力!」

うん、確かにちょっと後ろによろめいた。相手は息が上がってる。そろそろ一酸化炭素が回る。

(なんでコイツあんま効いてないんだよ。クソ!頭回んねぇ!)

男は倒れ、地面に顔をつける。一酸化炭素による中毒。結局コイツの能力はなんだったんだろうか。まあ気を取り直していくか。


一方その頃、大島

「恐ろしいですな。能力を使わずしても我の拳がかすりもしないとは。そして的確に一撃ずつ入れてくる。」

「あぁ、私は総統になってから能力は使わないようにしていたんだよ。」

「なるほど、『殺さぬ死神』というあなたの異名、不可解だったのですが合点がいきました。榊原殿、その心意気に反するようですが我に能力を使って欲しいのです。我もまた能力が使えるのですが、」

「別によかろう。君の能力は?」

「我が力の名は『反発』。我も不思議なのですがこの能力、適応される能力とそうでない能力が有るのです。貴方の能力、試させて貰いたい。」

「死ぬけどいいの?」

「真壁殿の能力により復活するのであろう。ならば構わぬ。今大会は強者と戦うことが我の目当て。最早達成されたものだ。」

「『部分壊死』」

「なるほど、防げないのか。いやはや、実に器用ですな。部分的に殺すことも出来るのですか。」

「はい、じゃあこれ食べてね。」

「む、これは…指?」

「私の知り合いの指だ。食べると怪我が治る。」

「かたじけない。有難く頂戴する。しかしなぜ?」

「私の所の若い衆に君と戦って欲しい。彼彼女らにとっていい能力だ。」

「なるほど、では任されよう。」

「船の時間だから行こうか。」


一方奥多摩にて

「いやぁ、システムに助けられましたねぇ、まぁ怪しまれないくらいの時間にかえりましょうかぁ。」

(やばい。なんだよあいつの能力。今息したら殺される。やばいやばいやばい)

「おやぁ、まだそこに隠れてたんですねぇ。」

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