第20話 池袋ジャック

池袋駅前、北沢視点

「げぇ、なんか強そうなのが入り口でスタンバってる。」

(うーん、どうしようかなぁ。負けはしないけど通してもくれなさそうじゃん。でも私攻撃力ないしなぁ)

「あの、お姉さん。」

「わぁびっくりした。どうしたの?」

「お姉さん能力者ですよね?私もなんだけど、一人じゃ使えなくて、それで、私と共闘してくれませんか?」

「えーマジ?丁度困ってたんだよね~。私は北沢響。よろしく!」

「知朱っていいます!早速なんですが私の能力は『他社強化』。響さんは?」

「能力は『再生』。あと特性で『痛覚緩和』ってのだよ。だから私死なないけどあんまり戦えないよ?」

「大丈夫です!響さんの浸透率(J値)ってどのくらいですか?」

「前計ったときは36だったかな?」

「充分です。それだけあればかなり強化出来る。それから作戦は───」


「バトルジャンキー系YouTuberジャックファンク、本日の企画は『バトル大会参加』!ジャックの強さを知りたい視聴者がいるんでね、見せつけようと思います!大会概要はわかる前提で話すから知らない人はURL見てネ!目標はもちろん優勝一点!んで、ファンクはどうやら池袋に飛ばされたっぽい?じゃあ二日間は池袋駅前にいるから、ジャックに挑戦したい視聴者は駅前に来てネ!」


「う~ん、何人かあの人に挑んでるけど、やっぱ強そうだな~。なんていうか、基礎がしっかりしてて、なおかつ冷静。」

「うん、なんか常に相手の三歩先を読んでる感じ。やっぱり通してくれないかな?」

「よし、じゃーいくか!」


「あの~そこ通してくれます?」

「なんだ?視聴者の方?」

「いや貴方のことは知らないっすけど。」

「えぇ~一応登録者45万人いるんだけどなぁ~。それと答えはNO!一応優勝目指してるからね!」

「はぁ、じゃあやるしかないのか。」

北沢は街灯を引き抜き、構える。

「まじか姉ちゃんパワーエグ!もしかして能力者?じゃあ負けてらんねぇなぁ!」

ジャックはメリケンサックを握りしめ、歯を食いしばり、サウスポーで構える。

(見たところ相手は近接物理、リーチは私が有利。知朱ちゃんの能力で強くなってるし、いける!)

その瞬間、ジャックがフッと一息吐き出すと、ジャックの拳は響の腹の前に来ていた。

「必殺!『百列世界激烈挙』!」

「きゃぁぁ!ひでぇなぁ。食らえ街灯!」

「あれ?結構殴ったのにほぼ無傷?やっぱ能力系?打撃無効だったりする?じゃあサックじゃきついなぁ。」

ジャックはそばに置いてある人の背丈ほど有るバッグから大剣を取り出す。

「ジャックファンクシュルクモード!」

(速い!私も強化して貰って何とかついていけてるけど知朱ちゃんが言うには大体1.9倍くらいにはなってるはずなんだけどなぁ。街灯振り回すだけじゃ当たらない。ちゃんと桑川さんのいうこと聞いてればよかったかな。知朱ちゃん早くしてくんないかな~。)

「姉ちゃん普段からそんな戦い方してないでしょ。体の使い方が拙いし隙だらけだよ!ワリぃけど腕もらい!」

下から上に振り上げられた大剣とともに北沢の右腕と紅の液体が飛び、街灯は地に落ちる。二、三秒街の音だけが鳴る。

(よし、斬られたのが右腕でよかった。)

「さっきからあんまり痛そうにしてないね。さて、そろそろ決着つけるか。ってえぇ!?」

北沢がファンクに身を寄せて抱きつく。そして北沢は止めていた再生を戻す。それと同時に切断面付近にあったファンクの脇腹が貫通する。ファンクが怯む隙に街灯を手に取り、倒れたファンクのみぞおちに突き刺す。ファンクは間一髪でずらし、みぞおちの変わりに腕に刺さる。

「今だよ!知朱ちゃん!」

北沢が叫ぶとビルのガラスから光が漏れ、続き、ビルが傾き、二人目がけて崩れ落ちる。

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