第21話 帰還

ビルは二人目がけて崩れ落ちる。北沢は走ってビルから逃げる。しかしジャックは腹に串刺しにされていて、もがく事しか出来ない。ビルが完全に倒れる前にビルの看板が頭目がけて──


「はーあ、やったね、知朱ちゃん!」

「凄いですね響さん!私のビル爆破いらなかったんじゃないですか?」

「いやいやバフかけてくれなきゃ速さもパワーも負けてたし、たぶん今の私じゃ決定打に欠けてたから。ありがとうね!」

「じゃ、電車乗りましょうか。」

「どこまで?」

「高田馬場です」

「私中野だから途中まで一緒に行こうか!」


所変わり、足立区柚希視点

(えっと、一番近いのは北千住駅、えっと、東京メトロ千代田線で新御茶ノ水までかな。速く戻らなきゃ。)

数分後、新御茶ノ水。

(あれ、あそこにいるのって…)

「おっさんWEAの人?ちょっと俺と戦ってよ!」

「はい。良いですよ。では、そちらからどうぞ。」

「先手必勝!いくぜ必殺!『五十嵐爆弾』!」

若い男がWEAの職員に向かって無数の爆弾を投げつける。

「せっかくですが、全てお返しします。」

その数五十の爆弾は一つ残す事無く、若い男の元へ帰って行く。


「…っ。」

「おや?お嬢さん、どうかされましたか?」

「…、!」

迂闊に会話出来く言葉が出ない柚希を見て、WEAの職員はペンとメモ帳を柚希に渡す。

「こちらに要件をお書き下さい。」

「…!!」

「なるほど、この場所まで護衛すればよいのですね。お任せ下さい。私、世界均衡調整軍の第四、宗教統括本部准尉の水無川是清と申します。では、行きましょうか。」

「…。」

「なるほど、能力により会話出来ないのですか。承知致しました。」


琴方学問塾にて。

「よし、着いたー!私が一番かな?」

「北沢、戻ったか。」

「桑川さん。なんだぁ、一着じゃなかったかぁ。」

「やあ、ただいま。」

「榊原さん、お帰りなさ…ってどちら様?」

「すげぇ筋肉っすね。」

「その通り!我の名は権田筋肉。榊原の願い、叶えに来た。」

「そうそう。響君、彼と戦ってみてくれ。」

「えぇ~。こんなことならもうちょい遅く帰れば良かった。」

「あれ、皆さん揃ってますね。って誰だこの筋肉!」

「その通り!我の名は権田筋肉。榊原殿の好意に感謝し馳せ参じた!」

「リノ君も彼と戦ってみてくれ。」

「よっし、じゃあお先にどうぞ!」

「え?え?」

「失礼。琴方学問塾というのはこちらで間違いないでしょうか。私、WEAの水無川と申します。こちらの柚希さんを送りに来ました。」

「おお柚希君、お帰り。これで後は龍君だけか。」

「龍さん方向音痴だから…」

「じゃあ先に権田君と下で戦うか。」

「ウム!では行こう。」

「え?誰なのこの筋肉?」



「さて、結構参加者減らしましたし、そろそろ帰りましょうかねぇ。まだ方向音痴で通ってますけど怪しまれたらまずいですからねぇ。」

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