第25話 孤毒
朝一番にやってきたのは桑川さんだ。昨日の事を話して寝ていない事を言った後に俺はすぐ眠った。現在朝の五時で全員揃うまで時間がある。今日は北沢と参加者を倒しに行かなければいけないので体力を回復しておこう。昨日の二回の襲撃の消費と怪我がまだ癒えて無い。怪我は北沢を食べれば治るがそんなことはしたくない。昨日北沢には“別に良いけどいざとなったら私の安全の為に食べて貰うからね”と言われがまっぴらごめんだ。
琴方に来て速くも一週間経つ。これだけいれば全員のなんとなくの性格が分かる。矢花はおそらく9時位に琴方につくだろう。それまでは寝ていて問題ない。
目が覚めると8時半、案の定まだ矢花と榊原は来ていなかった。
「リノ、朝の話だがやはり特に荒らされた形跡は無かった。ただ、烏の羽が落ちていた。烏は警戒心が強い生き物だ。迂闊に家の中に入ってくるとは考えにくい。何者かが操っていたのだろう。加えてここからそう離れていない所に死体があった。烏との関係は分からないがよく無事だったな。」
「夜通し起きてたのが幸いしたっすね。」
そう話していると榊原と矢花が到着し、いよいよ出発だ。
時を戻し、知朱視点
「でね、そのお姉さんが助けてくれたんだ!」
「いいなぁ、俺なんか命からがら逃げて来たのに。」
「それよりあと四人、大丈夫かな?」
「うーん、延由と曲曲はたぶん大丈夫だけど丘引と堂郎は不安かな~。」
「不安で悪いかよ。」
「丘引!お帰り!って…葉先輩!?」
「久しぶりだね。知朱。文も呉公も元気そうで。知朱の事だからきっと参加すると思ってね、私も参加してたんだ。」
「葉先輩!先輩が抜けてからメンバー一人増えたんですよ!」
「呉公、知朱はリーダーとしてちゃんとやれてるか?」
「全然。」
「そんなこったろうと思った。」
高校生以下の自警組織、《孤毒》。親に暴力や乱暴、育児放棄をされた子供たちが集まり互いに助け合っている。大人への信用を無くした子供たちが大人に頼らず成長する事を目標に、日銭を稼いでいる。現在の組織人数は七人で、現在高校二年の葉、本名渡邊彩が発足し、現在は中三の知朱が取り仕切っている。
「高校生はもう自立出来るってのが大人の考えだ。だから私は抜けたけと、ちゃんと掟は守ってるようだね。方針的にあんまり口出ししない予定だったんだけどやっぱり心配になってね。毎日ご飯食べれてる?」
「まあ一応。」
「やっぱり満足には出来ないよね。この大会中は私に任せておいて!」
「先輩~。」
「さて、あと三人いないんだっけ?探してくるよ。曲曲と堂郎は分かるけどあと誰?」
「延由。小四男子で顔に火傷がある。」
「OK、じゃあしばらく体開けるからよろしく。ついでに夕飯全員分持ってくるよ。」
「良いなぁ葉先輩の能力!」
「『心転身』だったっけ。」
「そ!鳥に移れば自由に空を飛べるんだよ~。」
「まぁ移ってる時の本体は無防備だから俺が隠さなきゃなんだけど。」
「そう!呉公がいないとすぐバレちゃうからね、頼んだよ!」
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