第4話 琴方学問塾

院長について行くとなにかの事務所みたいな建物についた。中には何人かいて、院長に軽く会釈する。ただ誰も仕事をしているようには思えない。ガキもいる。何の集まりかわからん。その不思議な空間になんだか安心してしまう。院長が口を開こうとした時、ソファーに寝そべる女子高生っぽいのが割り込む。

「新メンバー?依頼人?」

「まだ話してないがね、メンバーにいいんじゃないかって思ってね。君に先天性食肉恐怖症の話をしただろう。あれ半分建前。ここはいろいろ訳アリが集まって何でも屋みたいな事をしてるんだ。君、行く当て無いだろう。能力も強いしここで働いたら?もしかしたら君の目的も手伝える。ここ、『琴方学問塾』で。」

訳わからんし怪しすぎる。が、行く当てが無いのも事実。とりあえず頼るしかない。

「じゃあなんか不本意ですがよろしくお願いします」

言った後に安心感がこみ上げてきて、腹が鳴ってしまった。

「失礼。そういえばもう一時か。昼飯なににしようかな」

「じゃあ食べるっスか?」

?そういってさっきのJKが腕をこちらに向けている。手にはなにもない。俺が戸惑っていると見かねて院長が話す。

「響君、彼は肉が食べられないんだ。」

「ヘ~珍しいっすね!」

「肉が食べられない以前に今の行動はなんだ?」

「あぁ、まだ自己紹介してなかったッスでスね。ウチは北沢響。歳は17で能力は《再生》あと特性で痛覚緩和ってのがあるっス」

「響君の能力は凄くてね。響君の肉を食べると食べた人もケガや病気が治るんだ。もちろん本人も再生できる。」 

「だから軽食としてよく皆にあげてるんスよ~」

俺は絶句した。先行き不安すぎる。ここでやっていけるだろうか。

「じゃあ僕も自己紹介しようかなぁ」

ふわふわした感じの奴がよってきた。

「僕の名前は矢花 龍。歳は26で能力は…」

「重力 だ!」

「へぇ~。かなりの強さの能力ですね。」

「リューさん能力者じゃないでしょ」

すぐに北沢がツッコミを入れる。俺割と信じてたのに。

「前回は破壊って言っていただろう。」

メガネをかけた真面目そうな人が奥の部屋からでできて、軽く諭す。

「非能力者は能力に憧れるもんなんですよぉう。桑川さんも自己紹介してくださいよぉ」

「俺はそうは思わんが。俺は桑川 岩。32歳。無能力者だ。」

「岩君は非能力者だけど特性が強いよね。しかも沢山。」

「榊原さんいい加減岩君はやめてくださいよ。」そういってかるく咳払いをする。

「俺の特性は全部で7つ。一番目有用なのはこの透雪眼だな。相手の戦闘オーラ量がわかる。」

「オーラ量が分かると何がいいんですか?」

「そうだな、例えばそこの矢花は10しかないが、お前は13900ある。相手のオーラ量が分かれば相手の力量が分かったり、能力の有無が分かったりする。13900なら日本では6500位ほどだな。ここにいる奴だとそこの柚季が一番多い。」

部屋の隅で壁を向いてブツブツ言ってる不気味なガキだ。正直そんなにあるとは思えん。

「今いるのはこんくらいだな、とりあえず今日はやることないな。」

榊原が話す。桑川さんが忙しそうに動いているのに。その桑川さんがまた溜息をつく。

「榊原さん、貴方その感じじゃまた何も話して無いでしょう。我々の共通点とか。」

「岩君そんなに急かさないでよ、とりあえず昼食にしようか。その時話そう。出前頼んである。」

北沢と桑川さんが溜息をつく。やっぱりこいつ誰に対してもこんなんなんだな。

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