第8話 DAY1 剣術
死
人に生を与える医者とは正反対のようで、一番近いところにいるとも思える。ただ人の命を奪うだけならこれより適した能力はない。
「マジか……」
「榊原さんはああ見えて昔はWEAの職員、しかも総統だったらしいんですよぉ。でもなぜか辞めちゃったらしいんですよねぇ。」
そりゃあこんな理不尽な能力、世界の組織が黙って見ている訳がない。四日間に榊原との日程がなかったのも頷ける。
「そうだったぁ。戦闘訓練するんでしたねぇ。ちょっとついてきて下さい。」
矢花の址をついて地下に降りる。降りてしばらく進むと重そうな鉄の扉の向こうにコンクリで固められた何もない空間があった。学校の体育館くらいある。
「ここはもともと地下シェルターとして造られたんですけど、模擬戦に使みっていいって桑川さんに言われたので使わせてもらいましょうかねぇ。」
「僕能力も特性も持ってないんですけど、一つ戦いに使えるものがあるんですよぉ。」
そういって倉庫的な所から何か取り出す。
「これが僕の愛刀、『抱溶』ですぅ。」
その刀は刃渡り二メートルはあろうか、しかも淡く青や赤に輝いているようにも見える。
「僕剣道だけは練習したのでこれでまぁまぁ戦えるんですよぉ。まぁ、模擬戦なので木刀でやりますかぁ。」
「なるほど、じゃあ…」
剣には剣を。俺は能力、『元素』で元素を生み出し組み合わせ、プラスチックの刀を作り出す。
「いいなぁ、能力便利そうで。」
「いや、そんな便利なものじゃない。明確にイメージが出来てないと使えないんだ。因みに俺は剣道漫画が先生だからあんまり使えない。普通にこれだけでやったら多分負けるから他の能力も使わせてもらうぞ。」
「それじゃあ一回やってみますかぁ。」
お互いに剣を構える。素人の俺とは違って綺麗なフォームだ。
まずは矢花が動いた。俺は咄嗟に受けたが、綺麗な足裁きでちょっと危なかった。俺は弾き返して今度は俺から斬りかかり、連撃。だがさすが、難なく受け流してくる。そのうち俺が追いつけなくなり、がら空きの所に刀が来る。
「あぶねぇ~」
俺は服のすぐ横に鉄をだし、防ぐ。普通なら一本取られていた。
「えぇ~、いまのいったと思ったのになぁ、残念です。」
そう言いながら連撃を決めてくる。俺は剣とさっきので防戦一方だ。そして最後は剣で裁ききれなくなって横腹に一発もらった。
「やっぱ剣だけじゃ敵わないな。」
「でも能力なら一瞬なんでしょぉ?」
「まぁそれはな、今使った『元素』だけでも割と即死コンボ決められるし、他のだけでも俺は強いぞ。」
そのあとしばらく打ち合って、感想戦をすることにした。
「いや、矢花は俺が見るまでもないんじゃないか?多分一般人なら余裕じゃん。」
「そうでもやっぱ能力者は一筋縄じゃあいきませんよぉ。」
「いや、俺も気を抜いたら即やられてた。バトル大会は闇討ちがいいんじゃないか?」
「逆に君はもっと剣道したほうがいいんじゃないですかねぇ。」
そうして三時間くらい訓練をして、1階に戻ってきた。
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