第7話 DAY 1 朝のコーヒーブレイク

朝六時三十分。いつもと違う景色に目が覚める。改めて自分の家がなくなったことを実感する。昨日あの後一緒に過ごす人の順番を決めた。今日は確か矢花だったと思う。一緒に過ごすとはいえ何を話せばいいのか。そんなことをぼんやり考えながら身支度をする。

身支度を終え、1階に降りると桑川さんが珈琲を嗜みながらニュースを見ていた。

「おはようございます桑川さん。」

「お前か、おはよう。寝心地はどうだった?」

「寝心地は良かったんですけど、俺が二階全部使っちゃってよかったんすかね。」

「あぁ、どうせ物置にしか使ってなかった部屋だ。そうだ、今日は龍と過ごすんだってな。龍は起きるまでが長いし家も遠い。恐らくあと三時間はかかるぞ。榊原さんは仕事で響と柚季は学校だ。」

そういって桑川さんは俺に珈琲を出してくれた。めちゃくちゃうまい。矢花が来るまでの間何をしてようか。

「そうだ、桑川さんって普段何をしているんですか?」

「俺は前職は雇われの警備員だったんだが、今はここの職員という名のフリーターだな。」

俺がフリーターという不安な言葉にちょっと驚いた表情を浮かべていると桑川さんは言う。

「お前もそうだぞ。因みに龍は大学卒業してるぞ。」

俺は複雑な気持ちで珈琲を啜る。丁度飲み終わった所に桑川さんから暇ならお前の部屋をカスタマイズでもしてろといわれた。

俺の部屋として貸し出してくれた部屋はアンティークショップで売ってそうな年代物の家具が沢山あり、全て片付けるのは骨が折れそうだ。でかいピアノ、机に椅子、食器類にくるみ割り人形、鍵が掛かった宝箱に日本刀まであった。そうして十時くらいになるとようやく矢花が来た。

「おはようございまぁす。」

「龍、さすがに寝癖は直してこい。」

「そのうち直るのでいいじゃないですかぁ」

ヘラヘラしている矢花を見て桑川さんが溜息をつく。

「そうだ、今日は君と一緒に過ごすんでしたねぇ。なんでも聞いてくださいねぇ。」

「矢花さんや皆さんってどのくらい戦えるんですか?」

「あぁ、僕はタメ口でいいですよぉ。僕と桑川さんは能力者じゃないのでステータスは低いですが、場数はあるので割と戦えますよぉ。響さんは能力で肉体消費がないですし、柚希君はいるだけで強いですからねぇ。加えて榊原さんはとんでもなく強い能力持っているんですよぉ。」

「そうなんだ?」

「ちょっと当ててみて下さい。僕最近アキネイ○ーにはまってるんですよぉ。」

「頑張れよ。俺は仕事があるからしばらく帰って来ない。」

「行ってらっしゃぁい。」

う~ん、なんだろうか、とりあえず何個か質問してみるか。

「榊原の仕事に関係ある?」

「そうですねぇ、医者とは真逆の能力ですねぇ。」

「じゃあ概念系?実体系?」

「概念系ですかねぇ。」

「対象は人?」

「人が主ですが生物なら発動できますねぇ。」

なるほど、分かってきた。医者の対極にあり、生物なら発動でき、概念系。え?これ本当にそうならマジで強くね?

「もしかして榊原の能力ってーーー」

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