第14話 強化会議

朝起きたら当然の如くコーヒーを飲める。ちょっとずつここの生活にも慣れてきた。

「おいリノ、俺はこの大会に強い思いがあるわけじゃないが、ここは知っての通りあまり稼ぎがあるわけじゃない。まともに働いて居るのは榊原さんだけだ。大会の賞金は普通に欲しい。俺も自分の特性について考えてきたつもりだが、他の利用方法を教えてくれ。」

俺は桑川さんと下に降りる。

「俺の特性は7つ。まずは『位置把握』。対象の位置が分かる。2つ目は『透雪眼』。相手のオーラ量、O値が分かる。次は『百獣の王』。動物から攻撃を受けない。次は『千鳥足』。酒を飲んだら回避、R値が増える。次に『慢心』。相手は慢心しやすくなる。次は『送り火』。炎の上がる向きを調節出来る。最後は『調整』。自分の影響で動いたものは寸分の狂いなく動かせる。」

「なるほど、今まではどうやって戦ってきたんですか?」

「そうだな、基本『位置把握』と『調整』で銃を使っている。銃の射程なら確実に急所に当てられる。接近戦は『千鳥足』でよけたら『慢心』が俺を倒したと認識させるからそのままナイフを使う。」

なるほど、理に適っている。特性を使いこなしている。

「そうですね、かなり良いと思いますけど、改訂案を出すなら『送り火』を使えてない。だから火が出る武器を使ったら良いんじゃないですか?」

「なるほど、大会までに用意しておこう。ただな、俺も戦闘の経験はある。銃やナイフが効かない能力者も割といた。」

「そうですね、俺も臨戦態勢なら効かないです。」

「そこでだ。お前が柚希に教えていた『夜群』。非能力者だと『昼群』か。あれの対能力者性能はどれほどなんだ?」

「あれは銃火器が効かない奴にも効くことはありますけど、O値が低い人にはお勧め出来ない。ご存じだと思いますが人間はO値が零になると精神が崩壊してしまう。」

「あぁ、それなら心配ない。聴いた限りだと1オーラで1発撃てるんだろ?俺は特性で残りのO値は把握できる。」

「いくつですか?」

「10だ。つまり銃が効かない能力者を相手にしなければならないとき、奥の手として9発までなら一矢報いる事ができる。今までこのO値の使い道を探していた。」

熟練度にもよるが10発あれば勝算はある。しかも特性で外さない。

「さて、それを踏まえた上で模擬戦だ。場を整えてくれ。能力に関してはお前の方が上だからな、一人の師として相手取らせてもらおう。」

桑川さんは銃を構える。俺は強い自信は有るけど桑川さんは単純に厄介だ。


『十戒 欠損禁令』


さて、どう戦うかな。まずは初手、相手の行動を見よう。

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