第28話 リーナ神聖国

 

 リーナによるアマン貿易国の統治は、順調。

 完全に、体が腐る奇病の復興は終わり、もう、他国から観光客も押し寄せたりしてる。


 これは、リーナ商会が新たに南国リゾートホテルを開業したから。


 そんな中、ミミが、トンデモない事を言い出した。


 そう、国名を変えると。


 ミミが言うには、アマン貿易国は響きが悪いだとか。


 そして、アマン貿易国の替わりの国の名は、ズバリ、リーナ神聖国!


 リーナを現人神とする、リーナを祀る宗教国家である。


 ん?元々、アマン貿易国には、他の宗教があっただろって?


 確かにありましたが、今では、国の大半の人々は、リーナに心酔してるのだ。


 そう、炊き出し効果でね!

 女神なみに美し過ぎるミーナを見て、みんな惚れてしまってるのだ。

 男も女も、チビッ子も含めてね!


 そして、勿論、拾ってきて、リーナ商会の従業員になってる孤児達は、美味しくて中毒性がある、リーナに絶対服従ジュースを飲んでるので、リーナの命令には、何でも、「ハイ、喜んで!」と答えてしまうのだ。


 しかも、カマリカ大陸の王族や貴族には、リーナのファンが多い。

 まあ、王族にはエリクサーを、貴族には、真聖水(超)を売って、助けてあげてるから、そうなるよね。


 王族や、高位貴族に対しては、リーナ自らが訪れて、ゾンビから人間に戻してあげてるから、リーナを女神様か何かと勘違いしている王族も多いのである。


 そんな理由もあり、


「リーナ教の総本山も無いと駄目なんです!」


 という、ミミの意見に押し切られて、リーナ歴14年(リーナの年齢が暦になっている)、ついに、リーナ神聖国が誕生したのであった。


 それと同時に、リーナ教総本山の建設が発表される。

 建築するのは、勿論、リーナ商会で働いてる孤児達。


『達人になる金槌』や、『達人になるノコギリ』を持ってね!


 建築作業は、急ピッチで進み、贅を凝らした、総大理石の純白のリーナ教総本山は、僅か1ヶ月で完成したのであった。


 リーナ教総本山は、小高い丘の上に立ち、リーナ神聖国を一望出来る立地に建っている。


 幅100メートルはあろう、100段の緩い階段を上ると、もう、宮殿と言ってよいような凝った彫刻が彫り込また大神殿が姿を表す。


 あちこちに、女神リーナの裸像の彫刻が設置され、人々は、思わず精巧過ぎるその裸像に赤面してしまうのだ。


 そして、その裸像を見て、ヤラシイ事を想像してしまった者は、その場で懺悔し、また、新たな違う裸像を見て、またまた、ヤラシイ事を想像してしまった者は、再び、懺悔する。


 リーナの裸像の前で、何度も、何度も懺悔しながら進むのが、このリーナ教総本山の正しい詣で方になるのは、数年後の話。


 兎に角、参拝者は、リーナ教総本山に設置されてる全ての裸像を見ようとするのだ。


『達人になるノミ』で彫られたリーナの裸像は精密。

 リーナも知らない見えない位置にあるホクロまで、精密に彫られているのである。


 でもって、今日は、リーナ教総本山の完成記念ミサ。


 リーナ神聖国の全国民が、リーナを人目見ようとリーナ教総本山に訪れている。


 人見知りの元ボッチのリーナには、とても重圧である。


「人は、ジャガイモ、人は、ジャガイモ」


 リーナは、魔法の呪文を唱え、心を落ち着かせる。


「リーナお嬢様、時間です」


 ミミに指示されて、祭壇の前に立つ。

 祭壇には、ミーナ教の経典と、エリクサーとパンが置かれている。


 というか、いつの間に、ミーナ教の経典が作られてたのか、謎である。


 エリクサーとパンが置かれてる理由も、ミミが、何か説明してたが全く聞いてなかった。

 だって、昨日も夜遅くまで新刊を読んでたから。


 でもって、祭壇の前に来て、何をすればいいのだろう。

 極度の人見知りのリーナには、こんな大勢の前で喋るなんて無理。


 どうしようと悩んだ末、ニッコリと笑ってみる。

 そう、笑って誤魔化そうとしたのだ。


 すると、


「「ウワァァァァァァァー!!」」


 なんか、大歓声。


 喋る必要無かったみたい。やはり、神ともなると、気軽に喋ったら駄目なのだと、勝手に納得するミーナであった。

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