第19話 リーナ痴女になる

 

「リーナ様、ビックリしましたぞ!

 まさか、王と膝を突き付けて語り合うとは、しかも、王は、自ら椅子から下り、リーナ様の目線を合わせるとは……」


 なんか、アーモンド侯爵の、リーナの呼び方が変わってる気がする。

 多分、これは王様効果だろう。


 王様が、リーナと目線を合わせるという事は、王様とリーナが、同等の立場という事を表すからだ。


 そう、その時点で、リーナより爵位が上の筈のアーモンド侯爵が、リーナを敬わなければならなくなった事を意味する。


 まあ、これにより平民だった大賢者時代も、エリクサー作れとかいう貴族の横暴な命令とかも、無視する事が出来たのだけど。


 リーナは、今生も、またその免罪符を手に入れたのである。


「ですね!リーナ様は神なのです!

 いつも神々しいですから!」


 リーナが、王様に認められた事により、エドモンド様もおかしくなっている。

 まあ、こいつは、エリクサーで助けた時から、段々おかしくなって来てたから、スルー。

 いつもの様に、空気として扱う。


 そして、王都のアーモンド邸に帰ると、早速、初級ポーションが100個、既に王家から、送り届けられていた。


 というか、100個……


 なんか、欲張り過ぎじゃないのか……

 でも、よく考えたら、これくらいは居るか……

 エリクサーと違って、1回飲むだけじゃ治らない訳だし。


 というか、コレ、定期的に、初級ポーションが送り付けられるんじゃないのか?


 多分、最低でも10回ぐらいは定期的に飲み続けないといけないから……。


 リーナは、墓穴を掘った事を今更ながら気付いた。


 とか、思ってたら、王家から再び、贈り物が届く。

 珍しい本100冊と、王都の有名店の色々な甘味。


「ウヒョー!! これ、もう廃刊されてる本じゃん!

 流石、王様、私の趣味を良く分かってるーー!!」


 リーナは、途端に機嫌が良くなる。

 てな、訳で、とっとと【鑑定書き換え】スキルで、初級ポーションを、超級ポーションに書き換え、王都の有名店の甘味を貪りながら、読み掛けの新刊を読み漁るのだった。


 それからは、1週間置きに、リーナの元に100本の初級ポーションが送られてくる。珍しい本と、甘味と一緒に。

 これでは、当分、アーモンド領に帰る事が出来ない。

 王都では、毎日、何かしら新刊が発行されるし、王様からも、毎週、珍しい本を100冊も、贈り物として貰えてしまうのだ。


 もう、リーナは、「王都最高!!」

 と、思ってる。


 だって、アーモンド侯爵家では、現在、生態系の頂点に立ってるし。

 アーモンド侯爵は、王様との謁見の後は、完全に、自分よりリーナの方が上の立場として扱ってくれるし、婚約者のエドモンドに至っては、毎日、リーナの元に訪れ、手を合わせて泣きながら拝んでるし、

 相変わらず、泣きながら、リーナの入浴シーンも見てるけど。


 兎に角、リーナは極楽なのである。

 本に囲まれ、デッカイベットで寝そべりながら本を読む。ベットの上で甘味を食べても、誰にも怒られないし。


 今の季節は夏なのだけど、下着だけで過ごしてても、誰も文句言わないし。


 みんな、リーナに甘々。「貴族令嬢なのに端たない!」 とかいう言葉も、全く出ないしね。


 まあ、アーモンド侯爵だけは、下着姿のリーナを見ないように話してくるけど。


 でもって、ここまで来ると、リーナもエスカレートしてくる。

 いつの間にか、アーモンド侯爵家の使用人は、アーモンド侯爵とエドモンド様以外は、女性だけになってるし。


 まあ、リーナが屋敷中を、下着姿で歩いてるのでしょうが無いのだけど。


 なので、リーナは、屋敷の中を、素っ裸で過ごす事にした。

 ん?ただの痴女じゃないかって?


 断じて、違います!

 今年の夏は、物凄く暑いのです!


 それで、ベットの上で本を読むのが暑すぎて、バスタブに水を張って、裸で本を読んでるだけなのです!


 そう、バスタブの真ん中に、1つ板を置いて机代わりにし、ジュースや甘味を食べながら、優雅に本を読んでるのだ。


 そして、たまに、オシッコしたくなったら、リーナの部屋の中にあるトイレに行ってたのだけど、その延長線上で裸のまま、部屋の外にも出るようになったのだ。

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