第27話 リーナ、アマン貿易国の女王になる

 

 アマン貿易国の治安は、もう、世紀末なみ。

 だって、王位継承権がある者達が全員、体が腐る奇病で死んでしまったのだ。


 統治する者が居なくなれば、国が荒れる。


 アマン王族と、遠い血の繋がりがある他国の王族が王位継承権を唱えたり、リーナが買い取った元公爵家の者達が、血筋を盾に王位に立候補したりと、もう、大変。


 そして、アマン王国の隣国までもが、治安維持を理由に、アマン貿易国に大軍を送り込もうとしているし。

 まあ、これは、完全にどさくさに紛れて、アマン貿易国を乗っ取る気満々。


 だって、アマン貿易国は、商売の国で、小国だけれども、とっても金持ちの国だから。


 そんな中、隣国が攻めてくる直前、アマン貿易国の公爵であり、王位を継ぐ権利があるリーナが、アマン貿易国の女王になる事を、大々的に宣言したのだ。


 しかし、アマン王族と血の繋がりがある他国の王族や、元公爵、隣国が黙っていない。

 他国の王族と、元公爵は、血の繋がりを主張。隣国は、治安の乱れたアマン貿易国の治安維持の為に、軍隊を向かわせると言って来たのだが、リーナが拒否。


 それでも、イチャモン付けてくるから、リーナの力を見せつけてやったのだ。


 まあ、余りに速過ぎる成り上がりだったので、情報通の者しか知らないのは無理もないが、リーナは、カマリカ大陸の様々な国の爵位を100近くゲットしてたのだ。


 しかも、殆どの大国の貴族は、体が腐る奇病の治療薬をリーナ商会から買ってるので、リーナに逆らう事が出来ない。


 リーナは、どこの大国に対してでも、その国の貴族としてでも、金の力でも、奇病の薬を餌にしてでも、意見言える力を持ってるのである。


 その力を、これみよがしに見せつけると、隣国は、直ぐに兵を引き、

 なんか血筋がどうかとか、わちゃわちゃ言っていた他国の王族や、元公爵に対しても、カマリカ大陸にある3つの大国の王に頼んで、脅しの書簡を送ってもらったら、簡単に諦めてくれたのであった。


 誰しも、カマリカ大陸の超大国(マリリナ王国も含む)と、争いたくないしね。


 こうして、アマン貿易国の女王になったリーナは、得意の炊き出し無双。


 アマン貿易国は、人口10万人ぐらいの小さな国なので、炊き出し女王の噂が拡がるのも早い。


 新たに女王になった聖女リーナ・アマンは、どんな怪我人でも癒し、滅茶苦茶美味い炊き出しを、腹一杯食べさせてくれると。


 そして、奇病のせいで親が死んでしまった孤児を、自分の経営する孤児院に引き取ったり、大黒柱の男親が死んでしまった家には、補助金や、仕事の斡旋をしたりと。


 そして、極めつけは、滅茶苦茶になった経済を復興する為に、大規模な公共事業まで発注したのだ。


 新たなアマン貿易国の王城と、リーナ商会本店の建設をね!


 しかも、アマン貿易国の公庫から金を出すのではなく、全て、リーナの私財からお金を出したのである。


 これらの政策により、アマン貿易国は、王族全てが死んでしまうという、アマン貿易国史上始まって以来の、滅亡に危機を乗り切る事に成功したのだった。


 ーーー


「リーナお嬢様、ついにカマリカ大陸を統一する、足掛かりを得る事が出来ましたね!」


 なんか、ミミが、感動しながら話し掛けてくる。

 ハッキリ言うと、リーナは、炊き出ししてただけで何もしてない。

 他国とのやり取りも、全て、ミミが取り仕切っていたし、他国との王様との手紙のやり取りも、全て、ミミがリーナの替わりに代筆してたのだ。


 でも、アマン貿易国の女王になったのは、気分が良い。

 だって、アマン貿易国って、南国リゾートとしても人気がある国なのである。


 アマン貿易国は、商売と観光の国。

 新たな王城も、南国リゾートホテルのような感じにしたし。


 プライベートビーチまで有るので、サマーベットに腰を下ろし、ビーチパラソルの下で好きなだけ本を読めてしまうのだ。


 しかも、リーナが大好きな素っ裸で。


 今迄は、誰にも見られない庭で素っ裸になってたが、今度は、女王になった事でグレードアップしてるのである。


 だって、完全お外だし、バスタブに張った水じゃなくて、自然の海まであるのだ。

 因みに、王城には大きなプールまで作ってるので、海でもプールでも、どっちでも好きな方を楽しめる。


 ん?息子のライス君は、どうしたのかって?


 そんなのアーモンド侯爵家に置いてきたに、決まってる。

 ライス君は、アーモンド侯爵家の、大事な跡取り息子だから、当然だよね。

 ライス君が15歳になって成人したら、とっとと、アーモンド侯爵の爵位も譲る予定だし。


 元アーモンド侯爵も、マリア夫人も、シャーロットちゃんも、ライス君を可愛がってるので、リーナが育てなくても良さそうな感じだったので。


 というか、リーナも、まだ子供だったりするし、何で、子供だったのに子供産んじゃったのだろうと、今更ながら思うリーナなのであった。

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