第15話 食事会
その夜、アーモンド侯爵にディナーに誘われた。
どうやら、助けてくれたお礼を言いたいらしい。
まあ、お義父さんになるのだから、流石に最初ぐらいは顔を出しといた方が良いと思い、出席する事にする。
無駄に豪華なダイニングテーブルには、アーモンド侯爵家の家族が勢揃い。
揃いも揃って、金髪碧眼の美形。
少し緊張するが、リーナの方がそれ以上の美形だったりする。
エドモンド様の妹に至っては、リーナの事を女神様とか言っちゃってるし。
まあ、死にそうな所を助けてあげたので、本当に女神に見えたかもしれないけど。
「この度は、アーモンド侯爵家の危機を救って貰って、本当にありがとう!」
アーモンド侯爵は、深々と頭を下げる
実を言うと、アーモンド侯爵家では、リーナの評価が地よりも低かったりする。
だって、勝手に引き篭って、エドモンド様との婚約を破棄してしまったから。
そして、代わりに、ドレスナー伯爵家に養女に来て、リーナの代わりにエドモンド様の婚約者になったアイナの事を、本当の娘のように可愛がっていたのである。
それなのに、アイナは、アーモンド侯爵家を裏切ったのだ。
アーモンド侯爵夫人などは、今でも信じられないみたいで、リーナに複雑な感情を持ってるようだけど。
しかしながら、リーナが、アーモンド侯爵家の者達に、1つ10億マーブルするエリクサーを使った事実は変わらない。
そして、1つ10億マーブルというのは、売っていたらという話で、王家が2つ保有してて、それ以外は、今では売ってない事となってるので、実際は値段が付けれるものではないのである。
しかも、話によると、今回の肉が腐る奇病の流行で、王家も最後の2つのエリクサーを使ってしまったという噂が流れていたりする。
「質問なんだが、何故、リーナ嬢は、エリクサーを持っているのだ?」
まあ、そりゃあ気になるよね。
エリクサーは、死んだ大賢者モッコリーナしか、作れない事になってるのだから。
「黙秘します」
リーナは、毅然と対応する。
わざわざ、教える必要もないしね。
「そうか。分かった。こちらも助けてもらった身だから、これ以上は追求しない」
リーナは、アーモンド侯爵に向かって、ニッコリと微笑む。
必殺、貴族令嬢スマイルは、とても役に立つのだ。
「それから、もう1つ質問いいだろうか?」
続け様に、また、アーモンド侯爵が質問してくる。
「ドレスナー伯爵領だけ、肉が腐る奇病の被害が殆どなかったのは、リーナの仕業か?」
「ご想像にお任せします」
リーナは、また、ニッコリしながら答える。
「最後に、もう1つ」
「どうぞ」
「今回の肉が腐る奇病に、ドレスナー伯爵家の魔聖水で作ったポーションが効果があったという報告があるが、それはリーナ嬢が作ったものなのか?」
「はい」
これについては、結構、知られているので、正直に答える。
話によると、今回の肉の腐る奇病で、初期の段階なら、リーナの魔聖水(上)で作った上級ポーションを使ったら、肉が腐る奇病が治ったという報告がたくさん入ってきてるのである。
そして、肉が腐る奇病のせいでゾンビになってしまった者達も、リーナの魔聖水(上)で作った上級ポーションを使い続ければ、肉の腐敗が止まるという報告が、最近、貴族間で情報が共有されてるらしい。
実際、アーモンド侯爵家でも、ドレスナー伯爵家の魔聖水(上)で作った上級ポーションを使って、肉の腐敗を止めていたとか。
それにより、現在、ドレスナー伯爵家では、空前の大景気。魔聖水を売りまくって莫大な利益を得ているという話らしい。
それもあり、エドモンド様にも強気な態度を取っていたと思える。
「それでなんだが、どうかリーナ嬢に、魔聖水の生産を、このアーモンド侯爵家で行って欲しいのだが、どうだろうか?
最近、ドレスナー伯爵家が、魔聖水の価格を釣り上げてて、他の貴族に、ドレスナー伯爵家に一言言ってくれないかと、苦情の話が、結構舞い込んでいてな」
まあ、それはそうだろう。ドレスナー伯爵は、金にガメツイし、売れると分かれば、そりゃあ高くするだろう。
そして、リーナが毎日、たくさん魔聖水(上)を作ってたので、それなりのストックはある。暫くはウハウハだろうが、そのうち魔聖水(上)のストックが切れて、魔聖水(下)しか、作れなくなってしまうのだ。
そしたら、この国の貴族達がさぞかし困るだろう。
だって、ゾンビになってるのは、この国の貴族ばかりだし。
リーナが、魔聖水(上)を作らなければ、この国の貴族がみんな死んでしまうのである。
まあ、エリクサーを作れと言われると困るが、魔聖水(上)なら、今迄も、ドレスナー伯爵領で生産してたので、なんら問題ない。
ただ、魔聖水(上)が湧き出る瓶を作って、ミミに注がせるだけだしね。
そうと決まれば、交渉に入る。
「あの魔聖水(上)の売上は、全て私の物にして宜しいでしょうか?」
「勿論!」
「どうやら、アーモンド侯爵家は、魔聖水(上)で、儲ける気はないようである。
まあ、他の貴族に借りが出来るだけで、良いと考えてるのだろう」
早速、食事会が終わると、魔聖水(上)が湧き出る瓶を作って、サラとミントに量産させる事にした。
ミミに頼んでも良いのだが、ミミは優秀なので、他の仕事を頼む方が建設的だと思ったのだ。
ん?サラとミントが、秘密をバラすかもしれないじゃないかって?
2人は、絶対の忠誠をリーナに誓ってるから大丈夫。
それから、これが、元々のサラのステータス
名前: サラ
称号: リーナに忠誠を使うお母さん
魔法: 生活魔法
スキル: 掃除、皿洗い
リーナに忠誠を使うお母さんという、称号を持ってるので、まず裏切らないだろう。
だけれども、これに3文字付け加えてやった。
名前: サラ
称号: リーナに絶対の忠誠を使うお母さん
魔法: 生活魔法
スキル: 掃除、皿洗い
そう、
これで、サラとミントは、リーナに絶対の忠誠を誓う事が確約できたのである。
「リーナお嬢様、魔聖水(上)の値段は、どうしましょう?」
ミミが聞いてくる。
「ドレスナー伯爵家が値段を上げてるなら、元々の値段で売ればいいだけじゃないか?」
「ですね!」
リーナが値段を決めると、早速、アーモンド侯爵領の商業ギルドに行って、話を付けてくると、ミミが出掛けていってしまった。
本当に、役に立つ。
だって、リーナは、アーモンド侯爵家の屋敷を一歩も出ずに、ミミが交渉をまとめて来てくれるから。
持つものは、優秀なメイドであると、つくづく思うリーナであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます