第21話 アイナ、アーモンド侯爵家に突入する
アイナは、2日掛けて、アーモンド侯爵の屋敷に到着する。
そして、いつもだったら、御者がアーモンド侯爵家の守衛に挨拶すると、屋敷の門が開くのだが、全く開く様子がみえない。
5分立っても開かないので、業を煮やしたアイナは、馬車から出て、守衛と押し問答してる御者に話し掛ける。
「どうなってんのよ?」
「すみません。何故か、話が通じないんです。私共は、ドレスナー伯爵家の者で、しかも、アイナ様が乗っていると言ってるのに、ドレスナー伯爵家の者は入れれないと、一点張りで」
御者は、困惑しながら答える。
全く、意味が分からない。
今迄、アイナが訪れると、すぐに門が開かれ、屋敷の前まで、馬車を横付け出来たのに。
そして、アーモンド伯爵一家総出で、屋敷の前で出迎えてくれていたのに……
『やはり、臭すぎるエドモンドと婚約破棄して、リーナに押し付けたのかいけなかったの?
いや、そんな事ないわ!
アーモンド侯爵も、アーモンド侯爵夫人も、アイナにメロメロだったし。
きっと、臭過ぎるリーナと上手くいってなくて、ドレスナー伯爵家に怒ってるんだわ!』
と、勝手に、都合よく勘違いしてしまう。
「全部、分かってるわ! 臭いリーナが、アーモンド侯爵や、アーモンド侯爵夫人に迷惑掛けてるせいで、ドレスナー伯爵家に頭に来てるのよね!
私に、全て任せてくれない?
私が責任もって、アーモンド侯爵と夫人に話して、誤解をとくから!」
アイナは、話の通じない守衛を無視して、閉じられた正門ではなく、守衛用の入口の方から、アーモンド侯爵の屋敷に侵入する。
「ちょっと、困ります!ドレスナー伯爵家の者を入れるなと、固く言われてるのですから!」
守衛が慌てて、アイナを止める。
「心配しないで、本当に分かってるから。 私に会えば、アーモンド侯爵も、アーモンド夫人もみんな分かってくれるんだから!
なんてったって、私は、アーモンド侯爵と夫人に、本当の子供のように愛されてるんだから!」
アイナは、何度も来た事ある見知った屋敷なので、勝手、アーモンド侯爵家の母屋に入っていってしまう。
そして、会ってしまったのだった。
たまたま、昨日、王都から届いた新刊を読むため夜更かしして、その為、変な時間に起きてしまい、無性にお腹がすいてたのだけど、余りに変な時間だったので、タイミング悪く、ミミもサラもミントも居なく、仕方が無いので、パジャマのまま、食べ物探しに台所に行こうとしてたリーナと、会ってしまったのである。
「ちょっと、アンタ、どんな格好で屋敷で彷徨いてんのよ!」
パジャマ姿のリーナを見つけたアイナは、高圧的にリーナに言い放つ。
「何で、アイナが……」
まだ、寝ぼけているリーナは、頭がついていけない。
「何で、アンタは、そんな端たない姿で、屋敷をウロウロしてんのよ!
そんなんだから、ドレスナー伯爵家に支度金が届かないんじゃない!」
「支度金?アーモンド侯爵が、払ったんでわ……」
リーナは、アーモンド侯爵が、支度金を払ってない事を知らないのだ。
そもそも、その辺の話はノータッチだから。
まあ、普通は、家同士の話なので、リーナが口出す事じゃないんだけど。
「兎に角、全て、アンタのせいなのよ!
私が、一緒に謝ってあげるから、とっとと、アーモンド侯爵とアーモンド侯爵夫人に会いに行くわよ!」
アイナが、リーナの腕をガッチリ掴み、アーモンド侯爵が居るであろう書斎に進む。
その間にも、アーモンド侯爵家の使用人に出ていってくれと、何度も言われてるのに、アイナは、大丈夫だから。全部分かってるからの一点張りで、書斎に突き進む。
そして、書斎の扉をノックして、そのまま扉を開けて、書斎の中に入ってしまった。
「アーモンド侯爵様。お久しぶりでございます!
今日は、アーモンド侯爵家に、リーナが迷惑掛けてると思い、謝りに来たのでございます!」
アイナは、リーナの腕を引っ張り、アーモンド侯爵の前に突き出す。
「アイナ嬢、何故、屋敷に入ってきてるのかな?
家の者には、ドレスナー伯爵家の者が訪れても、絶対に屋敷に入れるなと命令してた筈なのだが?」
アーモンド侯爵は、アイナ向けて冷たく言い放った。
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