桜守

　高校に入学したばかりの絵梨の実家はレトロな喫茶店。そのシンボルツリーである古い桜の木が、店のリフォームと共に伐採されることになり、絵梨と親友・三咲は心を痛める。そこへ生物担当と名乗る白髪の城先生が現れ、伐採後も接ぎ木で桜の再生を図り、絵梨の机の裏に、サプライズとして桜の蕾の絵まで描いてくれる。翌年の春、接ぎ木の桜は見事に花開いたが、机の裏の蕾の絵までが開花した。突如、絵梨と三咲の中で城先生の存在が謎めく。二人は城先生を訪ねて、先生と初めて出会った高校の裏門へ出掛け、思わぬ人物と遭遇する。桜古木の魂がちらつく、ミステリアスな春のファンタジーです。なお、本編は「カクヨム」サイトが初公開になります。