第15話【録音テープの続き】彼の語り語り(人怖?)
(補足:前回聞いたパートからの続きを再生します)
…今からお前んち、行くからな。
【大勢の人間が声を合わせてお経か何かを唱えるような声】
あーれーにーはーづーかーしーけーるーをーみーしーむーとーいーひーきー
うーつーくーしーあーがーなーせーのーみーこーとーよーこーのーごーとー
くーしーたーまーへーばーなーのーくーにーのーひーとーくーさーをーひー
とーひーにーちーちーがーしーらーしーめーこーろーしーまーつーらーむー
【15秒ほど無音】
(補足:彼の声。ボソボソとして独り言のように聞こえる)
もう手遅れなんですよ。何をしてももうね。
今ではただ殺されるのを見るだけで、生まれることはありません。
もう諦めるしかないんです。
【30秒ほど無音】
(補足:彼の声)
あ、もうみんな話しちゃいました?
じゃ、もう一周やれます?何度もやるから意味があるので。
(補足:このあと、またAさんが怖い話をし始めたので、今日はここで一回止めます。
途中で聞こえたお経?ですが、ネットで調べたら簡単にその内容がわかりました。
これは古事記の一節でした。私はよく知らなかったのですが、かつてイザナギとイザナミという神の夫婦がいて、日本という国を地形から形作ったそうです。その過程で様々な神を産んでいた際、イザナミが火の神を産んだ時に身体に火傷を負って死んでしまいます。
イザナギはイザナミの死に耐えられず、黄泉の国から彼女を助け出そうとしますが、イザナミの体にはすでに腐ってウジがわき、黒いボロボロの塊になっていました。
イザナギはなんとか黄泉の国から追ってきたイザナミから逃げますが、その時の会話を読み上げていたようです。
まず、
「吾に辱しけるを見令むといひき」
これは、自分の死体を見られたイザナミが怒り狂い、
「私の恥ずかしい姿を見たな」と怒るところです。
また
「我が那勢命よ此の如く為たまへ者汝の国之人草を一日に千頭絞め殺しまつらむ」
これは、イザナギに逃げられたイザナミが「あなたの国の人間を一日1,000人しめ殺す」と宣言するところです。
イザナギはこれに対し、「それなら私は1日に1,500の産屋(出産のために使う部屋のこと)を立てる」と言って逃げていきます。
彼らが何の目的で古事記を読み上げたかは分かりませんが、イザナミの死因が火傷だったり、イザナギが見た彼女の姿が真っ黒な塊というのは、何となく今までの事件や話の整合性があって気持ち悪いですね。
次はまたAさんの話を文字起こししていければと思います。
あ!ちなみに怪奇現象はもう起きてないですよ!ご心配をおかけして失礼しました!)
【少し間があり、次の話へ】
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