第5話【茅の輪くぐり】Eさんの語り(心霊)
皆さんは「茅(ちがや)の輪くぐり」って知ってますか?
(補足:また女性!彼って結構いろんな女性を自分の部屋に入れるタイプだったんですね。ちょっと幻滅です。声も若い!多分10代ですよ!そんな子を部屋に入れるなんて不潔です!五人目なので仮にEさんとしておく!)
「茅の輪」は大きな神社とかにあるんですけど、茅というイネ科の植物で編んだ直径数メートルの輪をくぐるあれのことです。
「茅の輪くぐり」は、心身を清めて災厄を祓い、無病息災を願う行事で、 茅の輪は、神社の境内や鳥居の下など、いわゆる「結界」の内側に設置されます。
これは私の妹が体験した話です。
中学3年生の修学旅行先で、自由行動の時にみんなで有名な観光スポットになっている神社に寄ったみたいです。で、その境内におおきな茅の輪があったんですって。
修学旅行ということもあり、テンションも上がっててクラスのみんなは次々とその茅の輪をくぐったそうですが、妹は数歩近付いたところで突然腹痛を訴えその場にしゃがみ込んでしまいました。クラスのみんなに心配されつつ、結局妹は一旦その場を離れ、体調が回復してからみんなとまた合流したらしいです。
でも妹の話では、その時は本当は別に腹痛なんて無くて。
妹は、茅の輪の内側に黒いヒトガタが見えていたそうです。
ハッキリ見えたわけではなく、ぼうっと輪郭がぼやけた状態で真っ黒な人間の形をしたモノがポツンと立っていて、キャーキャーと楽しそうに茅の輪をくぐるクラスメイトたちがそのヒトガタに触れるたびに、ブブブとスマホが震えるみたいにヒトガタが震えていたと。
その様子があまりにも気味が悪く、絶対にあそこを通りたくない!と思ってしゃがみ込んでしまったらしいんです。
淡々と私へのお土産を取り出しながら語られた「茅の輪くぐり」の話に、自然と興味が湧きました。
茅の輪は元々『古事記』に由来し、素戔嗚尊(スサノオノミコト)が蘇民将来という民に教えた「疾病を避ける方法」だそうで、小さな輪を腰に付ける風習が、後に大きな茅の輪を神社の境内に飾り置く方法へと変化していったようなのです。
私は「健康のためにくぐるんだったら、別にその影も変なヤツじゃ無かったんじゃないの?」って妹に言いました。私だったら多分くぐってたわって。
そうしたら妹がうーんと少し考え込んで…。
「いや素戔嗚尊って、日本古来の神じゃん?あたしの学校、キリスト教系じゃん?洗礼とかは受けてない子も、一応ミサとかには参加するしさ。キリスト教って他の神とか認めてないから、多分日本古来の神と相性悪いと思うんだよ。あの黒い影が、何だかあたしらの信仰を確かめてた気がしてさ。あんたらの信じる神がいるのに、わざわざ神社に来るなよって言ってる気がしちゃって」
私は別に宗教の信仰とかは無いですが、確かにキリスト教から見れば日本の神は邪教なんだと思います。逆に、日本の神から見たらキリスト教はどうなのか。もし邪教だったとしたら、その信仰者が自分のテリトリーに来たらどうするのか。
複数ある中の一つの神を選んで、それを信仰するって、生半可な覚悟じゃ出来ないんだなって思いました。
(補足:妹さん、もしこの投稿を見てましたら、この話の話者が誰なのかご連絡頂けますと幸いです。そして、お姉さんを彼の部屋に二度と入れないでください!
本当に会が盛り上がってなくてよかった。彼は私だけを見てればいいんです)
【少し間があり、次の話へ】
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