第4話【松本さん】Dさんの語り(心霊/人怖)
短い話でもいいですか?
(補足:男性の声。かなり若く聞こえる。多分20代前半?ひょっとしたら10代後半かも。四人目なので仮にDさんとしておく)
これ同じバイト先の松本さんの話なんですけど。
松本さんが前に勤めてたコンビニ、店出てすぐの駐車場脇にあるゴミ捨て場に幽霊出るって噂があったらしいです。
深夜バイトの間で、ゴミ捨ての時に黒い人を見た、なんて報告が何回かあったし、お客さんからも「黒い服を着た不審者が店の外にいる」とかレジまで言いに来ることが何回かあったらしいんですね。
話をまとめると、どうやら黒い人影みたいなやつがゴミ箱の脇に立ってるらしいんです。
松本さんは深夜バイトでも無いし、そもそもそんな影を見たこと無いから全然気にしないで仕事してたらしいです。
夏、バイト中にゲリラ豪雨が降って、ちょうど松本さんゴミ出しの時間だったんですけど、濡れるのがイヤで雨が止むまで待ってたらしいんです。
数十分でやっと晴れてきて、その時に外にごみ捨てに行ったら、ゴミ箱の前だけ、ぽっかり濡れてない場所があって。そこが、いつも幽霊が立ってるって言われてた場所なんですよね。
雨を遮るような物も無いし、そこだけいきなり乾くのもあり得ないから、本当に目に見えない人がそこに立ってたみたいな感じだって言ってました。
松本さん、その乾いてる場所に向かって廃棄になる弁当の中身ぶん投げたらしいんですよ。そこに何かがもし本当にいるなら反応とか有るかもなと思って。
でも弁当の中身はそのまま地面にビシャッて落ちて。掃除しなきゃいけなくなって松本さんめっちゃ機嫌悪くなって。弁当の中身片付けながらずっと「いるなら出てこいよバーカ」とか「ずっと雨に濡れてるザコ」とか、何かと悪態ついてたらしいです。
でも、結局その後も何も起きなくて。結局幽霊なんていないんだなーと思いながら仕事してたらしいです。
で、その日そのままシフト終わって、コンビニ弁当買って家について。いざ弁当食べようとしたら、レジ袋から出したコンビニ弁当が自分の足元にズシャッて落ちちゃったみたいなんです。中身は飛び出して足につくし、床はご飯がこびりつくしもう散々だったらしくて。しかもコンビニでレンチンしてたからめっちゃ熱かったらしいですよ。
とりあえず雑巾持ってきて床拭いてたら、なんか耳元で「バーカ」とか「ザコ」とか悪口が聞こえてきたんですって。独り暮らしなのに。
それ以降、ずっと耳元で自分への悪口が聞こえるらしいです。もし幽霊が、自分が受けた嫌がらせの仕返しをしてるとしても、弁当ひっくり返して悪口言ってくるってちょっとダサいよなぁ?ザコだよザコ。いっそ呪い殺すとかしてくれたほうがまだええわ。って松本さん言ってました。
その後も松本さんは元気にバイトに来てます。いつもは気のいい、ちょっと口の悪い先輩って感じで、まぁまぁ頼りにされてる人なんですけど。
僕たまーに街歩いてると、プライベートの松本さん見かけるんですよね。多分住んでる所が近いのかな。
松本さん、自分が見かける時はいつも自転車乗ってるんですけど、その時にいつも通りの反対側くらいまで聞こえる大声で「バカ!」とか「ザコ!」とか「うせろ!」とか叫んでるんですよね。たまーに警察呼ばれたりしてるみたいですよ。うるさいし気持ち悪いから。
僕以外のバイトメンバーは全員そんなこと知らないです。普段の松本さんは全然そんな感じじゃないんで。逆に知ってたら、一緒に仕事しようなんて思えないですよね。そんなやばい人。
松本さんがいつも聞いてる声、本当に幽霊なんですかね。自分の大声がただ頭の中に響いてるだけかも知れないですよね。
一昨日も松本さんとシフト一緒だったんですけど、普通に仕事してました。でも多分、シフト終わって帰る時は、自転車乗りながら怒鳴ってるんだろうなと思います。
(補足:松本さん、もしこの投稿を見てましたら、この話の話者が誰なのかご連絡頂けますと幸いです。
今回も特に雑音は聞こえませんでした。というか、周りの人たちの反応も無さすぎる気がします。本当に怪談会やってるのかな?)
【少し間があり、次の話へ】
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