概要
ウィスタは、水を操る力、水霊の紋章をもって生まれた。
しかし期待された能力が発現せず、意に沿わない縁談を受ける。
が、夫となるひとは、祝言に向かう船の事故で命を落とした。
顔をあわせたことがない夫の死により、彼女はすべてを失う。
ちいさな港町で、船護りの巫女をしながら一人、生きてゆく。
だが、ある日。
波にのまれかけた男を救う。
そしてその、男の胸には……。
水霊の神殿を擁するちいさな島国、聖ルオ国。
数百年の鎖国の歴史が、ウィスタとともに、大きくうごいてゆく。
*「世界を変える運命の恋」中編コンテスト 中間選考通過作品
https://kakuyomu.jp/contests/lbunko_sekaiwokaeru
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!海の原を船艇が行く。星海の聖女と航帝を乗せて――。
世界の九割以上を占める海。そこで生きていくには、水霊の力が使える巫女が必要不可欠。唯一巫女が生まれる国・聖ルオ国を巡って壮大な陰謀が動き出す。
巫女を諸外国へ派遣することを止め、鎖国を続ける聖ルオ国の田舎町に、かつて神殿に仕えた巫女・ウィスタが暮らしていた。期待されていた水霊の力を行使することができず、顔も見たことのない夫の船も海に沈み、逃げるように町を転々としていたウィスタ。ある日、彼女は転覆した船の残骸が浮かぶ海の底からある男を救い出す。お互いの胸に刻まれた紋章が紡いだ、まさに運命の出逢いだった。
作者様の作品を始めて拝読させていただきました。おそらく、作者様の脳裏には細部まで鮮明…続きを読む - ★★★ Excellent!!!さあ、船出をしよう。ここからウィスタの物語は始まるのだ――!
60000字くらいあるよ、長いよ、とのことでしたが
全く長いと感じませんでした。一気読みしてしまいました!
途中まで読んであったのですが、改めて最初から読み直して震えました。
この物語を書いた、壱単位さんの気迫を感じる文章と物語展開。
文章は時に静謐に時に詩的に時にダイナミックに。
場面により、文章が美しく変化して、読むものを惹きつけました。
素晴らしいです。
これは大きな物語のプロローグ部分だと思いました。
これから船出をするのです。出発するのです。
そして、運命の恋は暗示されていて、期待で胸が膨らみます。
星海(ほしうみ)の巫女、はじまりの巫女の転生者(うまれかわり)。
胸にずきゅ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!運命……素敵! ロマンティック・ファンタジー!
主人公は、しがない田舎の巫女。
お仕事は、船の宝珠に、巫女のエネルギーを注入すること。
でもね、そんなに力は持ってなくて……。4,5船、注入したら、エネルギー切れになっちゃう。
つまり、田舎でかつかつ暮らしがお似合い、という事。
そんな彼女、とある船が遭難したのを助けたところから、運命の歯車は廻りはじめます。
もうね、その、船を……水底の人物を助け出すシーンが、圧巻なの!
とにかく、文章が綺麗。
そして、波風を、海の水しぶきを、感じる迫力。
さらには、星海《ほしうみ》の悠久の長さを感じる、ロマンティックな、一枚の絵画のようなシーンがあります。
とにかく、それが素敵なんですよ〜。
面白…続きを読む - ★★★ Excellent!!!凄みのある筆力と緻密な構成( ;∀;)
僕はこの物語を読んで、随所の表現力の巧みさと配置された設定、そして筆者様の視野の広さに改めて凄みを感じました。
さて、「運」コンに向けて書かれたこの物語ですが、不遇なヒロインがいてかなりマイペースです。とても失礼な言い方だけど「天然」でした。僕は心の中で思いました。「ちょ、君! 世界を変えるんだけど、わかってる?」って。
でも、人は生きていく上で運命なんか知りません。運命を感じる時と言うのは得てして後で想う時です。それは素敵な女の子に出会えた時や、とても不幸な目にあった時で、「ああ、これは運命だ」なんて後で考えます。予兆で運命を感じるのは占い師さんだけです。
だからね、「世界を変える運…続きを読む