世界の九割以上を占める海。そこで生きていくには、水霊の力が使える巫女が必要不可欠。唯一巫女が生まれる国・聖ルオ国を巡って壮大な陰謀が動き出す。
巫女を諸外国へ派遣することを止め、鎖国を続ける聖ルオ国の田舎町に、かつて神殿に仕えた巫女・ウィスタが暮らしていた。期待されていた水霊の力を行使することができず、顔も見たことのない夫の船も海に沈み、逃げるように町を転々としていたウィスタ。ある日、彼女は転覆した船の残骸が浮かぶ海の底からある男を救い出す。お互いの胸に刻まれた紋章が紡いだ、まさに運命の出逢いだった。
作者様の作品を始めて拝読させていただきました。おそらく、作者様の脳裏には細部まで鮮明に映像が浮かんでいて、それを言語化する力にとても長けているのだと思います。海が裂け、船が沈み、雲間から光差す。体験したことがないような壮大なシーンでも、読者を引きずり込む力を強く感じました。詩的で、だけど的確で。まるで動く絵画のように鮮やかで芸術的な文章に、きっと惹き込まれることでしょう。
身を委ねて海を揺蕩うように、じっくりと読んでいただきたい。波のうねり一つ一つが感じられるような、初めての読書体験ができるかもしれません。
60000字くらいあるよ、長いよ、とのことでしたが
全く長いと感じませんでした。一気読みしてしまいました!
途中まで読んであったのですが、改めて最初から読み直して震えました。
この物語を書いた、壱単位さんの気迫を感じる文章と物語展開。
文章は時に静謐に時に詩的に時にダイナミックに。
場面により、文章が美しく変化して、読むものを惹きつけました。
素晴らしいです。
これは大きな物語のプロローグ部分だと思いました。
これから船出をするのです。出発するのです。
そして、運命の恋は暗示されていて、期待で胸が膨らみます。
星海(ほしうみ)の巫女、はじまりの巫女の転生者(うまれかわり)。
胸にずきゅんと来るワードではないですか!!
壮大なストーリーの幕開けです。
わたしは、映画館でスクリーンに映し出された映像を見るのです。
そんな雰囲気。
ああでも!
脳内で映像展開するのだけど、壱単位さんの文章も読み味わいたい!!
世界観も素敵なんだけど、この文章がすごくすき。
ふう(満足の溜め息)。
ぱたん(本を閉じる)。
主人公は、しがない田舎の巫女。
お仕事は、船の宝珠に、巫女のエネルギーを注入すること。
でもね、そんなに力は持ってなくて……。4,5船、注入したら、エネルギー切れになっちゃう。
つまり、田舎でかつかつ暮らしがお似合い、という事。
そんな彼女、とある船が遭難したのを助けたところから、運命の歯車は廻りはじめます。
もうね、その、船を……水底の人物を助け出すシーンが、圧巻なの!
とにかく、文章が綺麗。
そして、波風を、海の水しぶきを、感じる迫力。
さらには、星海《ほしうみ》の悠久の長さを感じる、ロマンティックな、一枚の絵画のようなシーンがあります。
とにかく、それが素敵なんですよ〜。
面白いですよ。
ぜひ、ご一読を!
僕はこの物語を読んで、随所の表現力の巧みさと配置された設定、そして筆者様の視野の広さに改めて凄みを感じました。
さて、「運」コンに向けて書かれたこの物語ですが、不遇なヒロインがいてかなりマイペースです。とても失礼な言い方だけど「天然」でした。僕は心の中で思いました。「ちょ、君! 世界を変えるんだけど、わかってる?」って。
でも、人は生きていく上で運命なんか知りません。運命を感じる時と言うのは得てして後で想う時です。それは素敵な女の子に出会えた時や、とても不幸な目にあった時で、「ああ、これは運命だ」なんて後で考えます。予兆で運命を感じるのは占い師さんだけです。
だからね、「世界を変える運命の恋」なんて求められた物語のヒロインは、自覚するのにとっても時間がかかるんです。ぽっと出会って「これが運命だ、さぁ世界を変えよう」って流石にわざとらしくて駄目でしょう? だからね、ヒロインはジャンヌ・ダルクタイプじゃない限り、ラノベとしては無自覚な天然系じゃないと成立しにくいのです。
そんなヒロインが、じわじわと運命のばらまいた多くのピースに出会って絡み合って、気がつくと一つの危機に直面しないと、物語の深みも何も出ないのです。ピンチ設定のの中にただ巻き込まれてゆくだけだと、「そんな出会いは恋じゃなくて吊り橋効果です」って僕は思ってしまうのです。
そこでこの物語です。とってもじわじわと動きます、じらされます。ヒロインは世界の運命に出会わずに、普通に僕や皆様と同じく日常に懸命です。でも心配はいりません。少しづつピースが揃って来ます。突発的な出来事も起こります。そしてどうすんだって思った時に、ああ、やっとこの筆者様がついに「物語に息吹を吹き込んだ」って思えて視界が晴れ、世界が動き始めます。
今日、僕はそう思いました。
だからね、お勧め致します。
たぶんね、ここから一気に来る、そう感じました。
皆様、宜しくお願い致します( ;∀;)