概要
穏やかな魔女と苛烈な聖人は出会い、そして突然に婚姻を結ぶ。
――ちょうどよかったんだ。俺はどこかの国に肩入れする気はまったくないからな。
――あなたの事情に巻き込まないでください。わたしは静謐の魔女。騒がしいのは好みません。戦なんて、もってのほかです。
静謐と戦火。正反対ともいえる性質を持つふたり。
しかし魔女と聖人が一度結んだ繋ぎは解くことができない。好まない戦の要素を削ろうにも、婚姻によって紐づいてしまった自身の要素を崩すわけにもいかない。
静謐と戦火の繋ぎは成されたのだ。
しかたなく伴侶としての役目を果たすことにした静謐の魔女は、肌に合わぬ要素を最小限に抑えるため、友である明星黒竜たちに協
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- ★★★ Excellent!!!ひたむきに幸せを希う「静謐」と「苛烈」の婚姻譚
静謐を司る魔女・リヴェレークと、戦火を司る聖人・ルフカレド。相反する性質を宿す二人の「人ならざる者」は、ひょんなことから出逢って間もなく婚姻を結び、ある時は数多の物語の世界へ迷い込み、ある時は仲間たちと共に温かな食事に舌鼓を打ちながら、一人ではなく二人で紡いでいく幸福について、深く思考を巡らせていきます。
形式的な繋がりではなく、確かな温もりを伴った絆を育んでいく二人の歩みは、時の流れのように穏やかで、静謐な時間を過ごしてきたリヴェレークの無垢な透明感を、優しい色彩で染めていきます。かと思いきや、不意打ちで襲ってくる悲劇のように苛烈な試練が、二人の前に立ちはだかり、幸福への道のりを脅かしま…続きを読む - ★★★ Excellent!!!魔女と聖人の婚姻、濃厚な幻想譚
静謐の魔女リヴェレーク、戦火の聖人ルフカレド。
唐突な二人の婚姻から物語は始まります。
それぞれが備える要素は正反対に見えますが、相性は意外と悪くありませんでした。
趣味を楽しみ何処かズレた感性を持つリヴェレーク。苛烈で独占欲も強いルフカレド。
望まぬ婚姻から、徐々に夫婦らしく関係性や考えが変化していく過程が楽しいです。
奔放な妖精。世話好きな竜。書の迷い道。
幻想的で神秘的な、重厚に造り込まれた世界にも魅力されます。
エピソードの一つ一つが不思議で美しく、それを綴る表現力もまた圧巻。
人ではないキャラクターの独自の感性、自らの幸せを優先するリヴェレークの価値観も素敵なものです。
ファン…続きを読む - ★★★ Excellent!!!『わたしは、自分が幸福であることを願ってやみません』それは魔女の信念。
とある国の書庫の奥の奥、乾いたほこりの匂いと魔法の光に包まれたその場所で、いつも通りに過ごしていた彼女の元に届いたのは、不穏な争いの気配。
何とも唐突な出会いから、不思議な方法で婚姻を結んだ静謐の魔女と戦火の聖人。魔法に満ちた世界で、人とは違う彼らが少しずつ互いを「揺らし」ながら絆を育んでいく様子は本当に不思議で美しく、それを紡ぐ言葉そのものが持つ想像力や豊かさを改めて感じさせてくれます。
何より静謐の魔女、という性質ゆえに孤独の影を常にまとっているように見える彼女は、それでもその長い時の中で倦むことなく、たくさんの素晴らしい物語やお気に入りのものを蓄えとして身のうちに積み重ね、友…続きを読む