魔女と聖人の婚姻、濃厚な幻想譚

静謐の魔女リヴェレーク、戦火の聖人ルフカレド。
唐突な二人の婚姻から物語は始まります。
それぞれが備える要素は正反対に見えますが、相性は意外と悪くありませんでした。
趣味を楽しみ何処かズレた感性を持つリヴェレーク。苛烈で独占欲も強いルフカレド。
望まぬ婚姻から、徐々に夫婦らしく関係性や考えが変化していく過程が楽しいです。

奔放な妖精。世話好きな竜。書の迷い道。
幻想的で神秘的な、重厚に造り込まれた世界にも魅力されます。
エピソードの一つ一つが不思議で美しく、それを綴る表現力もまた圧巻。
人ではないキャラクターの独自の感性、自らの幸せを優先するリヴェレークの価値観も素敵なものです。

ファンタジー好きな方にオススメしたい一作です。

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