天使教団 詳細設定

【地下大空洞】

メディオ地区の最下層街区、そのさらに下に広がる天然の大迷宮。

一説には死の砂漠へと繋がっているとも言われ、その規模は計り知れないものとなっている。

地上へと通じる入口で確認されているのはただ一か所。

教会街区の中心、大教会の『聖域』である。



【大教会】

教会街区の中央に位置する、ゴシック様式の大型建築物。

天使教団の権威を象徴すると同時に『聖域』の最終絶対防衛ラインでもある。



【天使達の檻】

大教会より遥か地下に広がる大空洞の別名。

そこには表とは完全に切り離された、全く独自の生態系が展開されている。

天使教団の上位信徒たちはその食物連鎖に下位するモノから妖精、精霊、そして天使と呼び連ねている。

彼らは古の聖書に謳われる天使達をそれらに重ね、けれど決して崇拝しているのではない。

「いずれ彼らの力を支配し、人を超え神へと至ろう。ゆえに彼らの居場所は檻と呼ぶのがふさわしい」



【キサラギ地下プラント研究機構】

地下大空洞の最浅層域に建造されるキサラギ化成最大の闇。

本社機能とは完全に切り離されており、その成果だけを排出し続ける技術屋・科学屋集団である。

そこではあらゆる倫理・道徳・人権は平等に無きものとされ、力と知恵無き者はただの労働力または実験体として、力と知恵有る者は頭脳労働の畜生として、ただひたすらに使役され、使い捨てられる。

キサラギ化成の最先端化学技術はその大部分がここで生まれ、完成し、また成長する。

正式には存在せずゆえに正式名称も存在しない。



【キサラギ化成と天使教団の関係】

キサラギ化成、特に地下プラント研究機構は天使教団と一蓮托生の関係にある。

その結びつきは強く、ある種の(歪みきった)信頼関係にあると言っていい。

彼らは地下大空洞の探査攻略と、その入口の独占という共通テーマのもとに、実働部隊として教団が、頭脳集団としてキサラギが役割を担っている。

なおこれだけ強いつながりを持ちながら、天使教団とキサラギのつながりに気付くものはいない。

その決め手は独立研究機構に属する誰一人として、自分がキサラギの人間だということを知らないことである。



【大空洞の研究】

キサラギ化成の研究により、大空洞が出現したのは大戦争後期だと判明した。地層から

発見された化石等の調査により、大空洞の生態系も同時期から大きく変異していることも突き止められた。そして、大空洞内部が常に重度のニューアーク粒子によって汚染されていることも。

地表の汚染区域との違いを突き止め、汚染区域でも人類が生きていけるようキサラギ化成は研究を続ける。



【工房】

下層街区では考えられないような高度な技術製品を提供する集団。

彼らの居場所は秘中の秘とされ、教会街区に住まう者はおろかその製品を取り扱う者たちさえ知りえない。



【サンプル】

地下大空洞に住まう独自生態系の生物、その死骸や捕らえた物を指す。

これらは生物として人類より遥かに優れており、治癒能力、身体能力、果ては人語を解するような高い知性までも備える。

キサラギが誇る精鋭部隊 B.A.B.E.L.を生み出したのは、この生態系を研究、人体に応用する実験の数々に他ならない。



【独立研究機構の職員たち】

独立研究機構に所属している職員はたった七人をオリジナルとするクローンで構成される。

彼らの基となった人間は富や名誉などには目もくれず、掲げる崇高な理想も持たず、ただ欲望のままひたすらに、

研究へと没頭する”知と探求の怪物”だった。

その中の一人が偶然にも発見した新たなるフロンティアが地下大空洞であった。



【独立研究機構の管理者】

独立研究機構には職員同士の上下関係が一切存在しない。

クローン同士にとって年齢も経験も大した意味をもたない。

こと天才である彼らにとっては、たとえ培養槽から出て1日目であろうが地下での研究を30年続けていようが、その能力に大差はない。

互いが互いにとって自己の研究に必要な”機能”であり、利用しあう関係性にある。

そんな彼らを飼いならし、煽て上げ、知的欲望をくすぐり、また管理するのは、始まりの一人が組み上げた彼らの理想の上司を体現するAI(人工知能)である。



【不適物】

研究職員は常に50~60人が配備されており、病死や過労死、事故死(主にサンプルや被検体、労働者の取り扱いミスによる)で欠員が出た場合、培養による補充が行われる。

だがしかしクローンの中にはこの環境や状況を是としない者が発生する場合があり、これらはAIにより”不適物”として判断、処分される。



【観測者たち】

比較的入信の浅い下位信徒で構成される工作員集団。

教会街区だけでなくメディオ地区の下層街区全体に監視網をもっており、裁定者たちの目となり耳となる者たち。

教会にとって有害な、あるいは有益な情報の収集を行う。



【執行者たち】

下位信徒の中でも狂信的な者たちで構成される戦闘部隊で、裁定者たちの手足として敵対者を攻撃、破滅させる。

もとは下層街区の一般貧民であった者が大半であるため、戦闘技量は高くないが、強化催眠術式により肉体の限界を超えた運動能力を発揮する。

また、狂気的な信仰心は死の恐怖を払拭させており、その圧倒的な数による暴威は戦力として十全に機能している。



【裁定者たち】

観測者たちの情報を統括し、執行者たちをとりまとめ、排除すべき対象にしかるべき戦力を割り振る参謀集団。

教会においては修道士や修道女といった中位信徒に位置し、理性的に、けれど狂信的に教義に染められている。

個々人もまた生体改造を施された強化人間であり、戦闘力は決して低くない。



【聖剣】

裁定者たちの中において特に秀でた能力を持つ者から選抜され、特別な『試練』を乗り越えた上位信徒。

聖剣と呼ばれる彼らは大教会を守護する近衛であると同時に『聖書』に記された聖遺物探索の任を帯び、また信徒たちへ教義を説く神父や司祭の役割を担う。

性質上、信徒以外の人間が相対することはなく、その実力や規模は謎に包まれている。



【弔い人】

裁定者たちの中において特に秀でた能力を持つ者から選抜され、特別な『試練』を乗り越えた上位信徒。

弔い人と呼ばれる彼らは教会のもう一つの教義、『黙示録』を授けられた者たちであり、聖剣と並んで信徒たちの英雄的存在である。

その任務は裁定者たちの手に余る教会の敵を"単独で"排除することであり、

戦闘能力は人間のそれを遥かに凌駕している。

個々人の戦闘スタイルや武装に統一されたものはないが、銃火器においてはミサイルランチャーやガトリングガン、近接武器においては大槌や大鎌など、およそ対人に用いるに適さない

大型・超重量のものを好んで使う。



【再誕の祝福】

天使教団入信の儀式。

定期的に開催されるミサへの参加もこの名で呼ばれる。

入信者は教会街区の各所にある礼拝堂や教会で、繰り返し繰り返し、教義の刷り込みと洗脳を受ける。

そして粗暴な狂信者と、理性的な狂信者へと篩分けがなされる。



【はじまりの試練】

理性的な狂信者と判断された者たちは、大教会にて特別な訓練を施される。

そして十分な能力と信仰心を認められた者は"はじまりの試練"と呼ばれる試験に挑む。

その実態は無意識下での工房による生体改造であり、これにより理性を失ったものは二度と工房から出られずそこで死ぬまで使役される。

試練を耐え抜いたものは、裁定者として大教会へと迎え入れられる。



【超越の試練】

裁定者としての働きか、あるいは個人の才能を認められた者は再び工房に送られ、意識の無い夢の内に肉体を改造される。

目覚めた彼らに待つのは広大な地下迷宮からの脱出、およびそこに住まう異形との戦闘である。

檻から抜け出すことができても、相対した異形こそが信奉してきた天使であることを突き付けられ、発狂する者も少なくはない。

そして『黙示録』と呼ばれる真の教義を受け入れられた者だけが、大教会の運営者"上位信徒"として迎えられるのだ。



【上位信徒と不死性】

『超越の試練』を突破した上位信徒の一部には、ある種の不死性が宿る。

ただしそれは大空洞内部だけに限定され、大空洞外ではこの特異性は完全に消失する。

仮説ではあるが、大空洞に充満するニューアークのエネルギーが直接体内で作用し、死をも超越する再生能力を生み出しているのではないかと言われている。

この再生能力はB.A.B.E.l.の一部が有する超回復能力とは比肩できないレベルのもので、たとえ木っ端微塵に砕かれたとしても脳幹部を中心に再生する。

しかし死に伴うダメージは精神へ多大な負担をもたらすため、臨死状態からの異常再生の際に記憶の欠落または精神の崩壊が進行していく。

強靭な精神を持っていてもこれを繰り返した者は不死の廃人となるか、完全な狂人と化すのみとなり、教団の手により大空洞外で処分される。

洞窟にて人間性の崩壊と隣り合わせとなりながら不死の時を生きるか、外で多くの信徒と共に危険の満ちる動乱の時を生きるか、再生能力を有した上位信徒は選択に迫られることになる。



【他組織からみた天使教団】

教団はその街区を積極的に広げようとはせず、現状の維持に注力している。

また有望な資源も生産性のある土壌も一切ないため、他勢力にとっては攻め取る価値の無い土地であり、交戦は専ら他下層街区の住民たちである。

しかしながらそのような場所にあってなぜ高度な自治区域の体をなしうるのかを探る"鼠"は後を絶えず、またその排除を徹底する組織体系の存在から、秘密があることは明白である。

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