第17話 奴隷


「ならいい、べつに要らないし」

「なんでですか?こんな立派な人の奴隷になれるのはいいと思いますよ?」

「わたしにしなよ!」

「ちょっと!私ならなんでもしてあげるよ」

 いきなりがっついてきたな。

 ダイジロウとケンタはまじまじと見ている。

「あいつはなんで何も言わないんだ?」

「あ、あぁ、戦争奴隷で片足がないのですよ」

「ならあいつでいい」

「「ジョー!!」」

「なんなら他の女もつけますが?」

「要らん、あいつだけでいい」

「分かりました」

 たしか古代魔法に組織回復呪文があったな。

「片脚で申し訳ないです」

「いい、それじゃあ車に乗れ」

「はい」

 馬車と別れて車の中ではダイジロウとケンタが機嫌悪そうにしている。

「俺はあのおっぱいの大きな子がよかった!」

「俺はエルフがよかったぞ」

「うるせえよ!まぁみてろ!」

 組織回復呪文を唱えると膝からなくなった左足が骨から段々と回復して行く。

「ウゲェ」

「キモイぞ」

「これで歩けるはずだ」

「あ、あぁ、ありがとうございます」

 涙を流してありがたがる女。

「名前は?」

「エリーと申します」

「んじゃ、エリーはこれで奴隷から解放する。楽しく暮らせよ?」

「そりゃないだろ?」

「ここじゃなんだから別の街まで連れてってやれよ」

「あぁ、そうだな」

「あ、あの!私がいたらお邪魔ですか?なんでもいたします。お願いします。おいてください!」

 あぁ、また旅の仲間が増えたよ。

「はぁ、エリー?俺たちは根無草だから旅することになるし戦闘も」

「はい!戦闘は一番得意でした。なんでもしますのでよろしくお願いします」

「分かったよ」

 金髪の髪は汚れていて服も貫頭衣だ。

「一旦地球にかえるぞ?」

「「「うい」」」

「日本帰還」


 日本に帰るとまずは風呂に入らせる。サティに任せて服はケンタのスウェット上下でいいか。

「うぇー、汚いよエリー!」

「す、すまない。風呂なんて何週間も入ってないからな」

「もっかいシャンプーするよ!」

 なんだかんだで面倒見の良いサティだ。


「さて、女が加わったけど手は出すなよ」

「ださねぇよ」

「俺もー」

「本当か?」

「だってお前にゾッコンだろ?」

「人のもん取れるかよ」

「なわけないだろ!」

 ワイのワイのやってるとようやく出て来た。

 金髪のストレートが綺麗な女だった。

「ふ、服は次の街で揃えるからな」

 こんな綺麗だったのかよ。

「おちつけよジョー」

「私なんかにありがとうございます」

 お礼をする横でサティが腕を組んでいる。

「サティもなんか膨れてないか?」

「私頑張ったなぁー!」

「あぁ、ありがとうサティ」

「パンが食べたいな!ジャムのやつ!」

 ガシャを回してジャムパンを確保するとようやく機嫌が治った。


 アレク帰還をし、道なりに飛ばして行く。

 サティと変わって助手席にエリーが乗った。

 なぜ?

 サティは後ろでトランプをしているのでべつに問題はないだろう。

「エリーはどこで戦闘奴隷になったんだ?」

「この国と隣の国の戦争で捕虜として捉えられました、逃げない様に足を切られてしまい、奴隷になりました」

 そうか、戦争があるのはやだなぁ。

「戦争はそれきりか?」

「いえ、まだ戦争は続いてます」

「まじか?今から行く街は?」

「遠く離れているので大丈夫かと」

 ならまだ良いか。

「しかし不思議な馬車ですね。馬がいないのに走っています」

「まぁそこら辺は特殊だからな」


 そこから二日ほどかかり次の街で服を買わせる、防具や武器も買わせて、一通りのものが揃った。

「ありがとうございますジョー様」

「ジョーでいいよ」

「いいえ、ジョー様と呼ばさせていただきます」

「はいはい」

「どうする?とりあえず拠点はこの街か?」

「気に入ったらでいいんじゃないかな?」

 なんともケンタらしい意見だ。

「そうだな。宿に泊まるか」

「四人部屋と二人部屋な」

「あいよ」

 料金を払い3人は四人部屋に入ろうとするがエリーも入ろうとする。

「お前はサティと一緒だ!」

「ジョー様達をお守りできないではないですか!」

「俺たちは強いの!サティ任せたぞ」

「ラジャ」

「いくよ!エリー」

「ジョー様ぁ」

 はぁ、ゆっくりできるな。

「なにニヤニヤしてんだよ?」

「べっつにー!」

「ダイジロウ言ってやれよ!隣でラブラブチュチュして来て良いぞって」

「な!テメェらこの野郎!」

「元はと言えばお前が巨乳を!」

「うるせえエルフちゃんが!」

 ドタバタやってたら女将に叱られました。

「お前のせいだぞ」

「お前たちのな」

「うるせえ!あんたたちがうるせえんだよ」

「「「はい」」」


 怒られて意気消沈…なことはなく、

「おい、今日はお前の奢りな!」

「は、金の管理は俺がやってるんだわ!」

「うるせぇよ、とにかく頼もうぜ」

 サティ達も下に降りて来た。

「お待たせしました、ジョー様」

「待ってないから座れよ」

「お腹すいた!」

「おーサティは元気だな」

「むー!」

 サティはご機嫌斜めと、

「エール四と飯五人前頼む」

「あいよ!」


「エールもう一杯」

「ダイジロウ飲み過ぎだぞ」

「飲まなきゃやってられねーぜ」

「んじゃエリーをここで捨ててくか?」

「誰もそんなこと言ってねーだろ!」

「じゃあなんだ?さっさと答えろ!」

「ダイジロウ!お前が悪い、少し酔いさませ」

 ケンタが外に連れ出す。

「私のせいで仲間割れですか?すいません」

「あー、違う違う、たまにあるんだよ」

 ダイジロウが拗ねて俺に突っかかるときがな。

「エリーは気にすんな」


「昨日は悪かったね、ごめんね、エリーにジョー」

「な、言ったとおりだろ?」

「はい、ダイジロウ様も機嫌が治ってよかったです」

「はいはい、んじゃ家でも探してみるか?」

「はーい!でけえ家がいいね」

「庭付きのな!」

「まじか?どれくらいかわからんぞ?」

「まぁ調べるだけ調べるか」



「こんなに高いとは」

「デカいの探し過ぎだ。なんだよ白金貨百枚って!」

「だってこれくらいじゃなきゃさぁ」

「俺らにゃ無理だ」

「やっぱ、キャンピングカーが一番だな」

「もっと拡張できないのかよ?」

 どんだけ中がデカいキャンピングカーにする気だ?

「ガチャで家当てる!」

「それ良いねえ!」

「はいってないだろ?」

「ないとは言えないだろ」

 大金貨をダイジロウに渡す。

「当ててみろよ」

「見てろよ」

“ガチャガチャ”

 銅色五個、銀色二個、金色三個、虹色一個。

「ダイジロウにしては当たりだなあ」

「あ、当たった」

「なにが?」

「家」

「家?!」

 虹色が家だったらしい。嘘だろ?

「どうすんだよ?土地がねーぞ?」

「だよなぁ」

「変なとこで持ってるな」

 はぁ。もっと田舎に行かないと土地なんかねーよ。

「開ける?」

「開けてどーすんだよ!開けるなよ」

「フリ?」

「フリじゃねーよ!」

「とりあえず土地のある場所探すしかねえだろ?」

 そこら辺に建てるわけにも行かないし、どっかまともなところに建てるしかないだろ。

「開拓村とかねーのかよ」

「聞いて来てみる!」

 ギルドに聞きに行くダイジロウ。


「あるってよ!ここから南だってさ」

「南か、その前にトロール倒してからだな」

「えー、南に行くついでな」

「わぁったよ」

 

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