第2話 レベル上げ



「とりあえずガチャは置いとくか……これからどうする?」

 大治郎と健太に聞いてみる。

「レベル上げようぜ!」

「いや、まずは街とか第一村人探さないと」

「あ!ナビはどうなってる?」

 ナビを見ると大草原のど真ん中にいることになってる?少し先に道があるのが分かる。

「ナビが生きてる!あと問題は……まぁいっか」

「道に向かうぞー」

 車を動かし道を目指す。

 途中に出て来る特大芋虫やスライムは踏みつけて無視。

「道がアスファルトじゃないだと?」

「土だねぇ」

「剥き出しだねぇ」

 道は田舎の畦道のようですこし広め。

 とりあえず名前はカタカナで表記しておいてダイジロウ、ケンタ、ジョー、でいくことにした。


「第一村人くるまでガチャでも見てみるか」

「それよりも車隠したほうがいいんじゃ無い?」

「んだ!隠したほうが安全だ」

「どーすんだよ?」

「ジョーの収納でなんとかならねぇ?」

 俺の収納ってスキルってやつか。

「収納」

「「「いった!!」」」

 車が消えて俺たちは外に弾き出された。


「痛いよ!考えて収納して!」

「ケンタの言うとおりだ、いつつ」

「知るかよ!俺だっていてぇよ」

 収納のことを考えると車一台入ってることが分かる。

「ほぉ、収納すげぇな。帰ったら使っちゃダメなことにまで使いそうだ」

「いいなぁ、俺なんか柔道だけだぜ?」

「鑑定!雑草、雑草、ヒール草、雑草」

 ケンタは片っ端から鑑定しているし、ダイジロウはいじけてる。


「あ、ば、馬車?」

 畦道を馬車が走ってきて俺らの前で止まる。

「怪しい奴だな、なんでこんなとこにいるんだ?」

 後ろから馬に乗った金髪の男が槍を向けて来る。

「は、はいぃ?俺たちもよく分からないんですが」

「ですです」

「気付いたらここにいて」

「ですです」

 槍とかまじ危ないって!どかせ金髪ばか!

「ますます怪しいな、ステータスを見せてみろ」

「ステータス??あぁ、ステータスオープン」

「は?レベルが2?お前たち全員か?」

「ですです」

 さっきからケンタはですですしか言ってない。

「ちょっと待ってろ」

 馬車の中の人と何か喋っているようだ。

「逃げるか?」

「馬鹿!逃げてもあいつ槍持ってるっつーの!」

「お、大人しくしとくべ」

 俺らはその場で待っていると、

「次の街まで乗せてくれるそうだ、金はあるか?」

「え、えー二、三万なら渡せますけど」

「は?それは銀貨?まさか金貨じゃないよな」

 金貨?こっちの通貨は貨幣なの?

「いえ、やっぱり無一文です」

「はぁ、やはりなぁ。まぁ、商人がお前達の服に関心を持たれておるからそれを売ればいいだろう」

 服?まぁ、着替えもあるから売ってもいいけど、

「ほれ、早く乗れ」

「はぁ」

 荷馬車の後ろから乗り込むとそこにはウスラハゲのおっさんと目つきの悪いおっさんが座っていた。ウスラハゲはなんか派手な服を着てニタニタしてるし、目つきの悪いのは皮の鎧みたいなのを着ていて、腰には剣が差してある。

「どもども、失礼します」

 三人乗ってもまだ余るくらいの広さだ。

「出発するぞ」


 ガタゴトと荷馬車に乗ってドナドナされてる気分だ。

「あんたらどこから来たんだ?」

「さぁ?気付いたらあそこにいたんで」

 早速ウスラハゲが話しかけて来る。

「わしは商人やっとるウスイだ」

「ジョーで、こっちがダイジロウ、ケンタっす」

「「よろしくっす」」

 名前通りのウスイは商人で目付きの悪いのと外にいるのが護衛らしい。

「ジョー達の服は見たことない素材だな、良ければ売ってくれんか?」

「俺たちの服っすか?いいっすけど替えがないんですが」

「なら、これをやるから金貨20枚でどうだ?」

 聞くと金貨一枚で一週間は暮らせるらしい。

 俺たちは大事な物を収納して、ウスイが用意した服に着替える。

「着心地は悪く無いな」

「まぁ、ポケットがないね」

 金貨を収納して服の感触を確かめる。

「アイテムボックス持ちか、なかなか良いスキルを持ってるじゃ無いか。うちで働くかい?」

「いえいえ、まだ右も左もわからないのでしばらくは次の街で細々と暮らしますよ」

 異世界で早くも仕事なんかやってられないよ!金はいまもらったのがあるし。

「そうか、気が向いたらウスイ商店に来ると良い、これを渡しておこう」

 鉄のような素材の名刺をもらう。

「それを見せれば話がしやすいからね」

「「「ありがとうございます」」」

 それからは聞きたいことが沢山あったので聞いていると次の街まですぐ着いてしまった。

「たはーー、やっぱラノベと一緒」

「ゲームだな」

「でけぇ」

 街は外壁がやたらデカく、中は見えないがここが街なんだと分かるのは現代人だからだろうなぁ。


 身分証はステータスを見せれば良かったのであとで作ることになった。

「あの、ギルドってとこで作るんですか?」

「あぁ、剣と盾の交差してる看板が冒険者ギルドだ。一応登録して身分証を作ったほうがいい。あとは宿屋は早めに取ること、わかったね?」

「うっす!ありがとうございます」


 ウスイと別れ俺たちは教えてもらった冒険者ギルドに到着。

「ほぉ、これが冒険者ギルドか」

「なかなか綺麗じゃね?」

「んじゃテンプレなしで行きますか」

 俺たちが中に入るとチラ見のゴツいひとが結構いてビビるが、中央のカウンターで手をヒラヒラしているお姉さんに向かって歩いていく。


「ギルドへようこそ、加入かな?」

「はい、三人ともで」

「んじゃ、新規三名で!ここに手を置いてね」

 板の上に手を置くとブゥゥゥンと音がして手前からカードが出てきた。

「それがギルドカードだから無くさないようにね」

 茶色の銅板のようなカードに名前と年齢、あとはこのギルド、アサバギルドという名前が書いてあった。

 ダイジロウとケンタも無事カードを手にして、俺たちは宿屋を探しに向かう。


「なかなか綺麗な街だな」

「あぁ、中世っていうからもっと汚いかと思ってたよ」

 話しながら街を探索していると宿屋の看板があった。

「すいません。三人で一部屋空いてますか?」

「あいよ。四人部屋になるけどオマケしておくよ!何泊だい?」

「じゃあとりあえず五泊で」

「それじゃ金貨五枚と大銀貨一枚ね。朝ご飯はつくからちゃんと食べに来なよ」

 俺らは金を払って部屋に入るとベットに横になる。


「うがー!疲れたぞ!」

「俺もケツが痛い」

「ふぅぅー」

 三者三様疲れて寝てしまいそうだ。


「んで、これからどうする?」

 ダイジロウが横になりながら喋る。

「知らんがな」

「ジョーがそれじゃダメっしょ!俺は冒険者になってレベル上げしたいかな」

「それな、この世界でレベル2は子供らしいしな」

 ウスイから聞いた話だ。

「とりま武器いるっしょ?防具も」

「金貨が何枚飛んでくんだよ、最初は剣一本買ってみて三人で使い回せばいいんじゃね?」

 金がいくらかかるかも分からないからな。

「つか腹減った」

「下で飯食うべ」

 硬いパンとクリームシチューで腹を満たし即寝した俺たち。


 翌朝ははやくから起きた。

「鉄の剣で銀貨五十枚?高くね?」

「そんなもんなんだろ?」

 武器屋に来て見て回るがそれが一番売れてるらしい。

「やっぱ一本だな、んで二人は車にいればいいべ」

「んー、それしか無いな」

 鉄の剣一本を買って外に向かう。


『レベルアップ』

 おっし!順調だな!

「おーい、ジョー!」

「なんだー?」

「魔石があると思うからとっとけよ!」

 魔石?

「どこに?」

「心臓らへん」

「ざけんな!ほじくり返すのか?」

「それが金になるんだって」

「くっそ!まじか」

 俺は剣を刺して手を突っ込むと、確かに石のようなまで物がある。

「ちっさ……まじこれが金になるのかよ」

 気持ち悪さを抑えながらほかのモンスターも斬っていく。俺のレベルも5まで上がった。

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