第3話 厳しい異世界
「うぇ、交代だぞ!」
「あいよ」
大治郎が剣を担いで出ていく。
返り血を水で洗い流して車に乗り込むと、
「なぁ、ガチャ回せないかな?」
健太がガチャをしたいらしい。
「ここで?銀貨なら良いけど一回だけな」
「うっし!何がでてくんだろ?」
“ガチャガチャ”
鉄の剣
カプセルに書いてある。
「うぉー!まじか!」
「まじか!つかよくカプセルに入ってたな!」
「やっぱ特別なガチャだったよ、ラノベでよくあるんだ」
「まじか!銀貨49枚も浮いたじゃねーか!」
お得なガチャだな。
「もっかいやるか」
「おう」
“ガチャガチャ”
鉄のナイフ
「うぉー!これで三人でいけるな!」
「誰がナイフ使うの?」
「……もっかいやるか」
「……だね」
それからやること三十回。
「やっと鉄の剣がでた!」
「……フライパンとかいらねー」
「だね、あとで売れるか確かめよう」
何にしてもようやく三人とも武器が揃ったので気分良く外に出ると、
「おわっ!お前ドロドロじゃねーかよ!」
大治郎は振り回してたから返り血をモロに浴びながら倒していたらしく、ドッロドロ。
「もうやだ」
「お、教えてやっからとりあえず洗い流せよ」
車の水も無限じゃ無いからある程度落としたら川を探す。
「さっぶ」
「濡れたまんまだからな、てか汚すなよ?」
「無理言うな」
「んじゃ走れ」
「無理」
一応ビニールしいてあるから少しの汚れはあとで掃除するか。
ナビで川を探して見つけたところまで行くと、
「さっびーよ!つめてーよ!」
「うっせー!俺だってタンクに水溜めてんだから静かに浴びとけ!」
大治郎がうるさい。
「火を起こしたからこっちで乾かしなよ」
流石健太!薪で火を起こしてくれていた。
「う、うぅ」
ずぶ濡れの大治郎は火にあたって乾かしているが、俺と健太はモンスターを探しては首チョンパしていく。
「ナイフ出て良かった」
「あぁ、魔石ってのが取りやすいな」
にしても、ゴブリン、コボルト、スライムとここは初期ステージなのか?
「草原だからあんまり強いのいないねぇ」
「まぁ、いたらそっこーで逃げるけどな」
RPGも雑魚狩りしてレベル上げするしな。
「乾いた!俺にも教えろ!」
「っせーな、返り血浴びないように斬るだけだろ?」
「だからそれがわからんのだ!」
俺も健太もそれなりに返り血は浴びてるが、あんなドロドロにはなっていない。
「見てみろ、健太があんなふうにやってるだろ?」
「ほぉ、あんな感じか」
「少しは考えろよな」
「うっす」
それから夕方までレベル上げをしつつ、街に戻る。途中で車は収納だ。
「ガチャで出たのうれるかな?」
「さぁ?雑貨屋にでもいくか?」
「それより魔石の買取だろ?」
だな、あんだけ苦労したんだ、少しは金になるだろ。
「全部で銅貨三枚に鉄貨十二枚ですね。それと討伐部位はしっかり持って帰って下さい。ゴブリンなら右耳ですから」
「は、はは」
あんだけ頑張ってこれだけかよ。
「あの、討伐部位を持って帰ってたらいくらくらいになりますか?」
「常設依頼ですので三体で銅貨一枚ですね」
計算すると銀貨一枚分くらい損していた。
「ま、まぁ、雑貨屋いこうよ」
「だな。フライパンとかうれるだろ!」
「ガチャから出たって奴だな」
大治郎にもちゃんと話はしといた。
雑貨屋といえばウスイのおっさんのところにやってきた。
「三人ともすこしは冒険者らしくなったみたいですね」
会うなり鉄の剣を腰にさしてる俺らを見てウスイが褒めてくれる。
「ウスイさん、今日は売りたい物があるんですが、良いですか?」
「おっ、なんかいいものでもてにいれましたか?さっそく出してもらえます?」
ガチャででたフライパン、トング、バット、オセロ、鞄などを並べる。
目をキラキラさせてウスイは鑑定していく。
「これはなかなか質の良いものですねー、金貨十枚と銅貨五十枚でどうでしょう?」
「「「お願いします!」」」
店からでてきたら健太が、
「ガチャだけで生きてけるんじゃね?」
「いや、中身がどんだけ入ってるかによるだろ」
「だな、なくなったらまた金策しないといけなくなるからな」
俺たちは肩を落として宿屋に帰る。
「宿代も馬鹿になんねーな」
「金貨一枚で一万くらいだろ?」
「そんなもんじゃね?」
そんなにもたねーじゃねーかよ、ウスイ!
「冒険者ギルドで売れる奴を狩ってくしかねぇかな」
「でも俺らまだレベル上げしねぇと」
「だよねー、はぁ、異世界きびしいわ」
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