第20話 アパート
しょうがないから依頼を受けにきた。
「はーい、やっときてくれたんですね」
受付のそんな可愛くない受付嬢が何やらくねって言っている。
「なにが?」
「いや、魔法使いがいるってのに、ギルドに来ないからなんでかなーって」
「そりゃ、開拓を手伝ったに決まってるじゃねーか!」
「ふぇーん、私にそこを怒られても」
「うぇ、俺無理」
「俺もだ、ジョウ頼んだ」
「俺も苦手なんだけど、はぁ、で?俺たちに依頼来てるだろ?」
「うっわー傷つくんですけど、クスン」
「良いから依頼」
「わかりましたよ、領主様からの依頼ですね。他にも依頼はたくさんあるので」
「いや、これだけで良いや」
「そんなこと言わずにぃ」
「うるさい」
「もーそんなこと言ってー」
「はぁ」
俺は依頼の内容を見て、後ろへ回す。
「なーんだ簡単じゃん」
「お、そうだなこれで大金貨20枚ならやるしかないな」
「受け付けた」
「えーまだ、自己紹介なんかもしたいんですけどー」
「うるさいよ」
「チッ」
俺たちはギルドの外に出てもう二度と来ないことにした。
さて、領主様の館に行かないと行けないのでそちらに向かう。
「すいません、依頼を受けたものなんですけど」と依頼書を見せるとすんなり領主の館
に入れてもらう。
「やぁ、君達、座ってくれたまえ、私も忙しくてね、このままで話を進めさせてもらうよ」
書類仕事をこなしながら喋っている。
銀髪の綺麗な髪も少し乱れているな。
「これから依頼は直でお願いします。ギルドに行きたくなくて」
「あぁ、そう言う苦情も入っていたな。考慮する」
「ありがとうございます」
「で?出来そうか?」
「私兵の部屋の問題ですね。二十名ほどと聞いていますので大丈夫です」
「良かった。こいつを連れて行かせるのでそこに頼む」
この暑い中甲冑の女の人がいた。
「わかりました。すぐに始めましょう」
甲冑のお姉さんはあまり喋らないタイプなのかな?ダンマリでその場から動き始めた。
それについて行く俺たちは顔を合わせていたが、突然、
「私兵の部屋なんて簡単だと言っていたが馬小屋みたいなのだと怒るからな」
「喋るんだ」
「当たり前だろ」
「あぁ、大丈夫だ。問題ないと思いますよ」
「ならいい、こっちだ」
向かっているのは館のすぐ隣、芝生のあるほうだ。
少し奥に進むと空き地になっていてここに建てて欲しいらしい。
「んじゃこっちの向きでいいかな?」
「あぁ。そっちでいいだろう」
ガチャを開けるとアパートが出現する。一人一部屋であとはもう一棟建てれば大丈夫。
「な、なんだと」
「あー、危ないんでちょっと避けといてもらえますか」
「もう一個いくぞ」
「あいよー」
もう一個のアパートが隣同士で立っている。
「中を確認しますか?」
「も、もちろんだ!」
中を確認するとワンルームタイプの部屋でエアコン完備ユニットバス完備でいうことなしだった。
「な、なんだこりゃー!」
「ここはこうです。そうそう、んでトイレはこうですね」
「ふむふむ、そしてこれは何処に流れるんだ?」
「異空間じゃないですかね?僕らもまだ勉強中ですので」
「ほう、これでも勉強とは大したもんだな」
「じゃあ、これで依頼完了でよろしいですか?」
「あぁ。ありがとう。そして最初は疑って悪かったな」
「いえいえ」
館に戻り依頼達成の紙にハンコを押してもらうと、なにやらゴニョゴニョと話している。私も見に行くと領主自ら走って見に行き、一部屋を見るとここを執務室にすると言っていた。クーラーが効いててトイレも近いしそりゃ、こっちのほうがいいよな。
俺たちは荷物運びを手伝った後お暇し、また着たくないギルドに来た。
「あー、もう依頼完了ですかぁー?」
「そうだ」
「すごーい!これで」
「いいから金を頼む!」
睨んでやると、
「はい!こちらが達成金の大金貨20枚です」
「やれるなら最初からちゃんとやれ!」
「はい!」
半べそになりながら受付嬢は頭を下げる。
俺たちは無言で依頼料を受け取ると帰って行く。
「流石のジョーもあれはダメか?」
「あの手は虫唾が走る」
「俺も無理ぃー」
「真似すんな」
「はぁーい」
「怒られるぞダイジロウ」
「うっす」
家に帰ってみるとエリーが料理をしていてくれた。サティも手伝ってるみたいだ。
「エリー、サティありがとう」
「いえ、私なんて」
「私も手伝ったよ!」
「あぁ。ありがとうな!」
「すっげーうまそー」
ダイスケがつまみ食いをしそうになるのをケンタが叩いて止めると、サティから拳骨をもらうダイジロウ。
「ダメでしょ?」
「はい、もうしません」
「あははは」
その後は各自ダイニングに座って食事をいただく。
「美味い!」
「ほんとだ!美味しいよエリーさん」
「本当にうまいな」
「あ、ありがとうございます」
「こーゆー嫁さんが欲しいぃー!」
「心の叫びを口にするなダイジロウ」
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