第19話 開拓村完成


 開拓村での生活はいまのところ良好だ。

 魚も取れるし、他の人の手伝いをしている。

 みんな泥だらけになるまで働いて風呂に浸かると溶けていく感じが心地よい。

「家も何軒か経ってきてるしこの村いいぜ」

「だな。みんな穏やかだし、働き者ばっかりだ」

「この魚もわけてくれたしな」

 みんなで分け合う、これがこの開拓村での良いところだ。

「温泉欲しいよなぁ」

 だな、温泉があればみんなで入れる。

「ガチャの出番だろ」

「そう思ってたぜ」

「気合い入れて回すぜ」

 ダイジロウから大金貨を入れて回す。

 銅色六個、銀色二個、金色三個だった、

「ちっくしょー!」

「もう古いぞ」

「そんなんじゃねーよ」

「んじゃ俺な!」

 ケンタが回すと、

 銅色七個、銀色一個、金色二個、虹が一個でた。

「なんだった?」

「アパート」

「なんだよそれ。ここじゃ意味ないだろ」

「だよなぁ」

「さーて俺の出番かな!」

「おしいったれ!」

 銅色三個、銀色三個、金色三個、虹が二個、

「おう」

「なんだった?」

「大浴場とアパート」

「なんだよアパート!でも大浴場でたら当たりだろ!」

「な!」

「こりゃ村長に話して場所を開けてもらわないとな」


 村長のアビーさんはいいひとですぐに場所が決まった。


「んじゃ開けるぞー!」

「おおっ!」

“ボウンッ”

「て、でけえなぁ!」

「こんなもんだろ?」

 中はちゃんと男湯と女湯に分かれていて、番台もある。

 最初はみんな無料で入って、その内有料にすることに決まった。

 

「くぅー、沁みるねぇ」

「ですなー、これはいい」

「あっちぃ!」

「ちゃんと掛け湯してから入れや!」

 盛況だ。皆が湯船を汚さない様にちゃんと洗ってから風呂に入ってるのがいい。ちゃんとボディーソープやシャンプーなども、設置してあり、無くなることはないみたいだな!


「こりゃ、最高だな!」

「なんじゃこれは?」

「ここに銅貨10枚いれると飲み物が出るみたいだぞ?」

 自販機までついていた。

 最初は高いと言う意見があったが、ミルクやサイダーなど、飲んだことのない飲み物に釣られてみんな買ってしまっている。

 俺らも一緒に買って飲んでいる。

 サティはイチゴ牛乳がお気に入りで、エリーはコーヒー牛乳らしい。


 湯上がりのエリーは綺麗でこんな子が奴隷なのかと少し悲しくなった。


 さて、開拓も進みようやく領主の館に取り掛かる。まぁ、みんなが勝手に作っている様だがデカくて豪華だな。


 領主に村のリーダーがなるもんだと思っていたら違うそうだ。

 ほかからやってくるなんて都合のいい領主だな。


 ようやく完成した村、いや町と言って良いだろ。そこに初めて領主が来ると言うので見てみたくて待っていると馬車に乗った女領主だった。

 町並みを見て頷いている。


 そりゃ俺たちも手伝ったもんだから結構早く出来たと思う。


 大浴場を見て何が言ってるが聞こえないな。


「あれはなんじゃ」

「あれは大衆浴場でして、うちの魔法使い達が出したものです。

「なに、うちに魔法使いがいるのか?」

「はい、あの立派な家に住んでます三人いますね」

「そうかそうか、これでここも安泰じゃな」



 ニコニコしているのでまぁお気に召したのだろう。


「その三人は何処におるのじゃ?」

「あ、あそこに見ていますね」

「そうか、呼んで参れ」

「はっ!」


 リーダーが走ってこっちにきている。

「領主様がお呼びだ」

「えっ?俺たちを?」


 走って行くと領主様は歳は言ってるが綺麗な人だった。

「お主らが魔法使いか」

「まぁ、魔法使いですね」

「なんじゃ、ほかにも何かあるのか?」

「あぁ、冒険者をやっていますね」

「ほう、冒険者の魔法使いか、なら期待が持てそうだな」

「はぁ」

「よし、ギルドに指名依頼を出しておくから受けておく様にな」

「は、はい」

「ではな」


「ん、何か依頼されるのか」

「領主さまからの依頼なんて良かったな」

「良かったのか?まぁ簡単な依頼ならいいけどな」

「それよりあのギルドで依頼かぁ」

「な、それは思うけど受けないわけにはいかないよな」

 あの自分達だけ勝手に建てたギルドだろ?

「あんま良い感じがしないのがやだな」

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