第13話. 制約とルール4

後日、再度円卓会議で魔王軍ルールが議題に上がった。

 魔王軍幹部出席者は7名中4名と付き人3名だ。

鬼頭、シャルロッテ、ダ、そしてアリストであった。


「いやはや。アリスト殿は実にひどいお方だ。奴隷制度撤廃とはどう言った要件か!」


「何が悪い。人を人らしく生きるためには自由が絶対必要だとなぜわからん。貴様がやっていることは人権侵害だ!」


「奴隷に人権などあるわけないでしょ!何を言われてるんですか!」


 初っ端からかなり荒れ始めた会議を納めるものはなかなかいない。普段はこう言う時はアリストが場を納めるが当の本人による会議荒らし。


 口を開いたのは鬼頭だった。

「いや。確かにダ君の能力上、今回のアリスト君の提案は飲めないはずだ。」

 

そうでしょうと言うようにダはアリストを見る。


「しかし、この様にセツナにもサインはもらっている。少なからず同意見のものもいるはずだ。」

そのセツナは付人探しでいない。


「彼は今回の会議をサボるためにサインだけしたんだよ。話を戻すとダ君は魔王様との契約で奴隷保持を許されている。」


「くっ。それは…」

 アリストは言い返せない。


「ふう。そうであります。私奴は魔王様との契約で奴隷を持つことを許させております。今回は残念ながらと言うことですな!」

ダは息巻いていた。


「だが、しかし、ルールの明確化は実にいい。今後はお互い、勇者や王国との戦闘が増え、衝突もあるかもしれない。ここは魔王様もしくは代理人のゼブラ様に話を通すのがいいかもしれないな。」

鬼頭は淡々と会議を進めてくれた。


ゼブラとは魔王の付人の名である。

現在、魔王が能力により寝たきりになっているため代理の魔王をしている。


「私奴としては関係なくなっやってもいいとは思いますが、鬼頭殿がいうのでしたら。」

 ダは渋々だが鬼頭の案に賛成した。


「と言うことは今回の会議はルールの明確化だけでございますね。私も奴隷を幾つか所持されているので、アリスト様の案には賛同できなかったんですよ。」

 シャルロッテはそう言いほっとした表情を浮かべた。


 そこからは4人と付人達でルールの明確化。最終確認は幹部全員が揃わないとできないと言う判断になり、この日は解散になった。


「くそー。なぜなんだ。皆なぜわかってくれないんだ。」

 アリストは怒りをあらわにした。


「いえ。ルールの明確化が決まっただけでよしとしましょう。何かいい案があれば僕からもアイデアを出しますので。」

 コウタローはアリストの味方だった。


「コウタロー。やはり私をわかってくれるのはお前だけだな。」

コウタローを味方につけ、アリストはリベンジの火を燃やすのであった。

 

 

 

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