第8話. 魔王軍幹部と雷帝勇者2
そして今に至る。
「アリスト様全くもっていい敵になってしまった。にしても雷帝セダールなんて自分勝手なやつなんだ。」
コウタローは遠くから雷がアリストに落ちたことを確認した。
「だから、私は争う気はないんだ。勇者君。」
部下の手間かっこよく登場し、一言で話し合いをつける気だったアリストは、黒焦げになっても挽回しようとしている。
「俺の雷帝が…効いてないだと……。これが魔王軍幹部か!!」
絶望に打ちひしがれる勇者。
逃げる勇者パーティ。
攻撃が止んで安堵するアリスト。
傍観者コウタロー。
「勇者君。私も君の立場をよく理解している。だが、いきなりの攻撃はいかん。ちゃんと口上を述べて、私は君がなにものか…
アリストの元の世界では口上中の攻撃はタブーとされていた。また、アリストはセダールの口上を待っていた。
「俺は引くわけにはいかない。仲間、家族、王国の人々、全てが俺の帰りを待っている。そして魔族を滅びることもな!俺はこれで魔王幹部を倒す!必殺!…
「えーっと…何度も言うように、私は君たちとやる気は全くないのだ。話し合いをしよう。それに君の攻撃は実を言うとあまり効いてなくてな。むしろ上空から落ちた方が痛かったし…
セダールは雷雲を呼び、自身の魔力を曇天へ向けた。
戦闘中に何度も落とした雷では隠れなかった太陽も、今ばかりはその姿を見せることはない。
技の大きさから雷帝セダールと呼ばれる勇者の最大の技。
大地を割る雷を見せてやるよ!魔族!…必殺!!雷帝 黒‼︎」
雷鳴ともに黒い雷がアリストに再度直撃をしたと共に
アリストの断末魔のような叫びが草原に響きたる
「うぎゃー!!!!」
「あっ…アリスト様に直撃してしまった。」
落ちた雷の凄まじい威力は爆風となり、コウタローまで伝わった。
勇者コウタローとしては魔王幹部が1人ここで死ぬ分には何も問題はない。しかしだ…しかし、魔王軍幹部付き人コウタローとしては上司が倒されるのを傍観していたと言うのはあまりにもバツが悪い。
そのため、コウタローはすぐ様、と言っても10分くらいはかかったのだが、アリストの元に駆け寄った。
勇者として、部下として、アリストが死んでいようと、生きていようと確認する必要があったからだ。
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