第5話. 魔王幹部と円卓会議2

セツナの意見に賛同して他の2人もアリストの方を見る

アリストはかなり悩んでいた。

元勇者の立場で勇者と戦うのは避けたいのだ。

「皆様、勇者というのはそんなに強いんですか?」

 口を開いたのはアリストの付人コウタローだった。


「そりゃここまで来るんだから強いでしょ。」

 セツナ君は再度やる気の無さそうに話す。

「少なからず、私が強化した魔物を倒す程度は強いと思うが…」

 鬼頭も強いということを再度繰り返す。

「いえ。僕が言っているのは、魔王幹部を倒すほどのものかと聞いてるんです。」

鬼頭の方をじっと見つめてコウタローは問いただす。

「うーん。我々はそうは言っても特殊能力もちばかりだからなー。魔王幹部よりかは弱いだろうな。」

「ではアリスト様ではなく、どなかだ出ても同じと言うことですね。」

 コウタローの意見はもっともだった。


「まぁ。確かにそうなんだけど怪我とかしたくないし。元勇者の真面目なアリストちゃん引き受けてくれるでしょ。」

「ゴーレムのシャルロッテ様なら怪我をしても核の入れ替えで修復可能です。」

 この世界のゴーレムは核さえ壊されなければ基本死なない。ボディーを変えれば元通り復活できる。


突然自分の名前が出たことに対して面食らうシャルロッテ。

「先ほども言いましたが、美味しくない勇者と戦ってもメリットがございませんわー。と言うか、貴方様は付人でしょう?意見しないでくださるかしら。その……キノコ魔人さん。」

シャルロッテてコウタローの足から頭までを見て言葉を言葉を詰まらせながら指摘する。


「キノコ魔人なんて珍しいね。私の能力で少し改造すれば勇者にも勝てるかもしれないな。とりあえず君が行って見たらどうだ?」

 魔王幹部に意見した腹いせか、改造欲が出たのか鬼頭はコウタローに足の先から頭の先を舐め回す様に凝視する。


円卓会議の机を叩き、地響きと共にアリストは声を荒げた。

「貴様ら!揃いも揃っていい加減にしろ。いくら勇者と戦いたくないからと言って、私の部下をそんな危険な奴のところに行かせれるか‼︎」

 

「私は戦いたくないわけではない。純粋に忙しいのだ。魔獣の改造には時間がかかるのだよ。」

 

「俺も戦いたくないわけじゃないよ。アリストちゃん、怪我したらやだなーってだけ。」

 

「私はメリットがあれば戦ってもいいですわ。」

 

「アリスト様。僕はアリスト様の命令ならやってきますが…」

 

アリストは激怒していた。何もしない他の幹部のせいで、自らの部下の血が流れそうになっていることを。

 

「じゃあ。本人もいいと言っているのでこれはキノコ君に任せよう。」

「良いって言ってないです。あとキノコ君じゃなくてコウタローです。」

「まともに結論が出るなんて数ヶ月ぶりだなー。俺ら会議スキルあがったんじゃね?」

「上がったのは責任転嫁スキルですよ。」

「息の良いキノコ魔人を見つけたとシェフに行ってみようかしら。」

「食べようとしてます?」

 好きなこと言って各々席を離れ始めた。

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