第22話. 遠征とグランドル王国3

「中立地帯にドラゴンなんかで行ってみろ。魔王国全てが出禁になるぞ。」アリストは言葉を遮る。


「近くまで行って歩けばいいでしょ?アリストちゃん足早いんだし。最悪コウタロー乗せて飛べばいいじゃん。それか、一度行ったことある奴がいればゲートの魔法を使うって手もあるけど。」

 ゲートの魔法とは一度行った場所に再度行ける瞬間移動魔法のことだ。

 

「いえ、それでしたら直接グランドル王国にドラゴンで行くのはどうでしょう?通行許可証の提示が必要なのは転移門の前くらいです。」

コウタローは2人の意見から、最短でグランドル王国に向かう方法を提示し2人が喧嘩する前に話を進めた。

 

「じゃあ、ついでにドラゴンを首都グランに突撃させて騒ぎが怒っている時に入れば?こっちの世界は入っちゃえば通行許可証なんて見せる機会ないんだろ?」

 

「セツナ。ドラゴンに王都の人達を襲わせようと言うのか!」

 

「いや。王都の人々に危険が迫らない程度の騒ぎなら、やるってもいいでしょ。上空を旋回するだけでもかなりの騒ぎになるはずだし、俺も元人間で前の世界では魔獣倒してたタイプだから、人を傷つけるの好きじゃないんだよ。」

 アリストの逆鱗にセツナは触れてしまったかに思えたが、セツナも人を傷つけなくない魔族ということが知れたアリストは穏やかな表情を浮かべていた。


「セツナ。お前も私と一緒で人との戦争を拒む魔族だったのか。私はお前はただぐうたらと会議に出てはやる気のない返事をし、たまには興味のないけど、とりあえず、話を聞いているアピールでもしとくかと言うどうでもいいことを聞いてくるアホだと思っていた。すまない。」

 因みにアリストは全く悪気がない。


「…まぁ。人類の敵とまで言われているアリストちゃんと一緒にしないでほしいけどな。」

 因みにセツナは悪気しかない。

 

「くっしょ!!次その名を呼んでみろ!魔族の敵なり、まずお前から殺してやる!」

 セツナに対してメラメラ湧く闘志はあったが、幹部の中に自分と同じ考えで悩み戦えない物がいるのを知ったアリストは少しだけだが気分が良かった。


グランドル王国への向かい方は決まってからはアリストとコウタローの動きはかなり早かった。

 部下のドラゴンの翼でグランドル王国まで約7日、

朝日が登る前に首都グランに着いた。

 予定は完璧だった、王国兵士達は門番から警備から何から何までドラゴンが上空旋回をすると一箇所に集まり迎え撃とうとする。

 その間にアリストの翼を使いコウタロー達はグランドル王国、王都グランに着地した。

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