第25話. 新米戦士と新米僧侶3

「新人冒険者の方はみんなFランクからスタートです。基本職での基礎研修を受けて合格すると,Eランクになるり、晴れてこの国での冒険者になることができますよ。それでは今週中に試験を受けてEランクに上がってくださいね。」

 受付のお姉さんはマニュアル通り笑顔で対応してくれた。


 手続きが終わるとアリストはコウタローのところまでどって自分のギルドカードを見せつけた。

「ということで、さっさとEランクに上がりましょう。アリスト様。」

 コウタローはそう言って指輪を渡した。


「なんだこれは?」

 コウタロが渡したのもは変化の指輪と言われる代物でつけている間は自分になりたい形になれるというアイテムだった。


「こちらは僕には不要な物なので渡しておきます。何やら特殊な指輪で姿形が変わるそうです。ただし自分の大きさが近くないといけないのと、服やアイテムは変化しないようですよ。私の能力がいつ解けるかもわかりませんのでこちらを使用ください。」

 これは以前、勇者セダールから奪い取った2つの指輪の1つである。先ほどアリストが冒険者手続きをしている間に鑑定をしてもらい使い方がわかったのだ。

 因みにもう一つは力の指輪と言われる物で自身の力を倍にできる代物だ。

 

 人気のない裏路地にかくれ、コウタロは能力を解き、アリストは再度人間の姿になった。


「こんなものが無いと、ここで生活できないとは不便なものだな。」

 アリストはそう言いながら渋々と戦士の初心者講習に向かっていった。


「あんまり本気出さないでくださいね。アリスト様が本気を出すと勇者よりもつよいんですからー。」


 そう言ってアリストを見送ったコウタローは、自身の本職の仕事をやり出した。勇者の仕事だ。

 コウタローは今回基本職を後方支援職の僧侶に選んでいた。理由は僧侶の中には神託というスキルを持ちで数秒間、神と対話するものがいると事前の情報で知っていたからだ。

 僧侶でできるかは不明だったが、勇者である自信なら神託というスキルくらい手に入ると考えた。


「え?お告げを聞いたから神託のスキルを取得したい?……

悩んでいるのは僧侶の試験時にお世話になった神官様だった。

……まぁ。いいでしょ。夢だとは思いますが貴方のようななりたての僧侶でも稀に神託を受けるものがいると聞いたことがありますから。ですが、神官や僧侶の中には神託の儀式をできるものは本当に稀ですよ。神託のスキルというものは神から一方的呼び出されるわけで対等に話せるものでは無いと聞いております。」

 そう言って儀式の間に連れて行かれた。

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元勇者の魔王幹部と付人勇者 京天寺 きちえ @Kichie

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