第2話. 魔王軍幹部と勇者1

クソ会議に寄る転生から数年、コウタローは手に入れたチート能力を使いキノコの魔人として魔王軍で働いていた…

「コウタローさん。今日からあなたも只の魔王城使用人から魔王幹部の付き人に昇格です。ここで学んだことをしっかり生かして幹部の方がより一層活躍できる様に努めてください。」

「はい!執事長。今までありがとうございました。」


名前:コウタロー

種族:人間

性別:男

能力:隠蔽

嘘や隠し事が上手くなる。幻覚で物や人の形程度なら変えることができる。あまりに大きさの違う物だとバレやすくなる。レベルが上がると幻覚や幻惑魔法が使える。


「まさか…近くがいいと言ったものの、魔王城の城下町に転移してしまうとは…」

 コウタローはトトリス王国、魔王城城下町エンドシティに転移し、魔王城使用人として数年働いた後、魔王軍幹部、憤怒のアリストの付き人となったのだ。

この数年は情報集めを主にしており,魔王軍幹部全てを倒さないと魔王は死ぬことはないことが分かった。

 そして本日は初勤務日である。



ノックをすると、どうぞと一言。

 魔王城アリストの部屋へやって来た。

「本日より付人をやらせて頂くことになりました。コウタローと申します。」


「やぁ。君がコウタロー君か。私は魔王軍幹部アリスト。何度かあったことがあったな。今日からよろしく頼む。最近、勇者がかなり近くまで来て、幹部の間で念のため付人をつけようと行く話になってな。」


 アリストの見かけは綺麗なお姉さんだがドラゴニュートのため背中にはドラゴンの翼、お尻には太い尻尾、頭には立派なツノがある。

髪の色は赤色で、防具で身を守り、レイピアのような細い刀を腰に刺している所謂戦士なのだろう。


「配属初日に大変申し訳ないのだが、これから幹部会議だ。死者の森に住んでいる魔族どもが勇者に被害を受けてな。勇者討伐班を早急に決めないといけない。レベルは150を超えている、名のある勇者らしくてな幹部が動くことになりそうなんだ。」


 魔王軍幹部は全員で7名いる。

 大罪をモチーフにされており、嫉妬、暴食、強欲、色欲、怠惰、傲慢、憤怒の7つだ。

 幹部の中には魔族の付人を数名抱えてるもの、数百人の魔獣を従えているもの、1人単独行動をするもの。

 7人7様で統一性はない。


「アリスト様、他の幹部の方に私、会ったことがないんですが…」

 嘘である。コウタローは全ての幹部に一度は会っている。根は真面目なため、神から頼まれた世界平和のために情報だけは使用人時代に集めていた。

 

「うむ。そうか。君は他の幹部達に会ったことがないのか。一言で言えば奴らは残忍だ。人や魔族を殺すことを何も思わない奴らもいる。」


敵にするとまずい連中なのは重々承知だ。

問題は順番だ。敵の能力がわからない以上は手出しはできない。


 「我々、魔王軍幹部は魔王様の力によって異世界から召喚された元人間ばかりだからな。人間達と戦う方が抵抗ある者もいる。」

「え?そうなんですか。」

「あっ。今のは忘れてくれ。今は我々は魔王軍。それも幹部として戦うわけだ。魔王様ともそういう契約で召喚されてるしな。安心しろ。裏切る様な奴はいないさ。」

アリストは訂正をしたが、コウタローは元人間ということに少し驚きを隠せなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る