第3話. 魔王軍幹部と勇者2
「我々が元人間と知っているのは魔王と魔王幹部、それと一部の側近ぐらいだ。」
「その話僕にして大丈夫何ですか?まだ会って数時間の私にするのはマズイかと…。」
アリストは少し俯いたが…
「お前は私の付人だ。我々の間柄に秘密話にしたい。私は前の世界では仲間と一緒に冒険をしていたんだ。仲間を信頼してもらうにはまず隠し事はしないことだ。」
アリストのモットーなのか。彼女はコウタローに信頼してもらいたい様だった。
そして、彼女は幹部達と会議を行う部屋へ行く間、ペラペラと元いた世界の話をしてくれた。自分が元の世界では勇者をしていたこと。
実は転生して数年。元勇者のせいか魔族は友達になってくれないということ。しかし勇者と知らないものは魔王幹部として慕ってくれるものもいること。魔族も人間も好きだから争わないで欲しいこと。
「……そして私達は魔王を倒したのだ。仲間の魔法使いはその時に命を失った……。
…勇者として私は皆に愛されていたんだ…。王からたくさんの報奨金をもらったが、それは全て街の人達のために使ってくれと…。魔王がいなくなって数年してな……。魔王のいない世界に勇者は不要なのだ。………魔王軍の抑止力?いや。むしろその逆だ。
王は私の名を語り、魔人や亜人を奴隷として捕まえてな。私の知らぬところで私の名は大きくなっていった。……だから私は王に反逆を…。
……勇者の力のせいで満足に死ぬこともできなかった…。子供に石を投げられるとこもよくあってな。
人からも魔族からは嫌われて、私は…私は…勇者失格だ!…そしてどこで間違ったかと思っていた時に、異世界の魔王と契約できる禁断の術を発動したんだ。」
コウタローは表面上は親身になって聞いてあげていたが、内では話し長い系の上司か、欲しい情報だけ教えてくれればいいんだけど、不要な話もして来て絡み辛いんだよな。と感じていた。
「もしかして、今私のことやりにくいとか思ってないよな?お前もやっぱり私が元勇者だから離れていくタイプの魔人なのか?」
少し目を潤しアリストはコウタローに詰め寄る。
(なぜバレた。心でもこの人読める力があるのか)
「そうですね。僕の様な一介の魔人風情が言うのは大変恐縮ですが…アリスト様は素敵な方だと思いますよ。勇者時代も今も…。俺もアリスト様に信頼されるように頑張ります。」
満面の作り笑い、内容を聞いてない薄い返答だが、
相手を傷つけない様に選び抜かられた言葉使い。
コウタローの能力、隠蔽による補正。
前世から承認欲求に飢えていたアリストは、自分の目を見てはっきりと自分を素敵と言ってくれるものはしばらく会っていなかった。
「……なさい。」
「え?何ですか。アリスト様?」
「任せなさい。ハァ…ハァ。」
荒い息遣い。ヤバい薬でも呑んだのかと思わされるイカれた目。アリストのアドレナリンは爆発していた。
「な、何を?」
「私に全てを任せなさい。勇者は…世界は…私が全て守ります!」
え。何この人。怖い。そう言ってアリストは他の幹部達の待つ円卓会議場へ向かった。
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