第10話. 契約とルール1
本日の会議は出席の幹部は7名中5名、さらに付人が3人である。議題は先日アリストが,倒した勇者セダールについてだ。
「アリスト様の部下の方、先月話した勇者を倒したそうですね。」
紅茶を一口飲み、そう言い始めたのは、暴食のシャルロッテ。
「流石、アリスト君の部下だ。しかし私の強化魔獣よりも彼が強いとはな…。」
落胆しながらも、賞賛するの嫉妬の鬼頭。
「キノコすげーな。えー俺もそういう出来る部下ほしいなー。」
働く気がないのは怠惰担当のセツナ。
付人コウタローが勇者と相打ちになり、アリストが全てを収めた。と言うことになっている。
「収めたと言っても奴らは私の姿を見るなり逃げてな。どうやら魔獣にも襲われていた後のようで、うちのコウタローでもなんとかなったと言うところだ。」
アリストは続けて、詳細な能力、また深手を負わせたため魔王領土内から雷帝セダールが出たことを報告した。
「せっかく弱らせたのに殺さなかったのは勿体無いですね。勇者の体、一度は分析してみたいものですね…。この前来た勇者はシャルロッテ君が食べてしまったようですし。」
「勇者様をどうするかは倒した者が決めていいって言うルールですわ。鬼頭様、お忘れかしら?」
魔王城にはいくつかのルールがあり、戦闘における他種族の生死は、戦闘に携わった者が決めていいのだ。このルールは勇者に限らず,魔人、亜人を除くすべての生物に適用される。
「そうですぞ。鬼頭殿。私奴ならイケドリにして奴隷。見てよし、売ってよし、ヤッてよし。楽しいですぞ。」
そう言うのは魔王幹部、強欲担当のダだ。
名前 ダダダ ダ
種族 最上級悪魔
性別 男
能力 枷…烙印を押したものに枷をつけることができる。枷による動きの制限、苦痛を与える。
「ダ!貴様、私の目の前で奴隷を見せびらかしてみろ。奴隷は全て解放して、そしてお前は二度と悪さをしないように、目を抉り、四肢を切り刻んで、魔獣の餌にしてやろう。」
魔族奴隷の解放をするために王国に喧嘩を売ったことのあるアリストにとってダの趣味は理解できない。
「ダッハッハ。幹部同士の戦闘はルール違反ですぞ。我々魔王幹部は魔王との契約で縛られている限り、ルールには忠実であるべきですな。……
一方、ダはアリストのことが大好きである。
もちろん性的な意味ではない。元勇者の魔王幹部ドラゴンニュートの奴隷がコレクションとして欲しいだけだ。
……幹部同士で争うなら、ルールの隙間を縫ってやるのが是ですぞ。」
暇を持て余しているダは更にアリストを煽る。
「貴様。何が言いたい。今ここで我が剣の錆にしてやろうか。」
「いえ。私奴は何も。契約とルールを守るべきと言っているまででございます。」
ダの指摘は最もだった。
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