第15話. 酔っ払いと後始末2

戦闘は禁じられている魔王幹部だが、この2人は以前模擬戦を行っている。お互い怪我はしなかったが、アリスト側から敗北を認めた。


「契約さえなければ、貴様を倒す方法など幾つもある。あのままやっては時間の無駄と判断したから敗北を認めたにすぎない。」


「ほー?言うねぇ。契約がなければって言うのはお互い様だけどな。今ここで再戦してもいいんだせ?俺は。」


 一触即発の空気がながれる。

 

「では、飲み比べとかで勝負してはいかがでしょうか?」

 コウタローは粋な提案をしてみた。


「さすが私の部下だ。中々いい提案をするじゃないか。魔王城の破壊をせず、お前の体だけ破壊できる。」


「俺と飲み比べとはいい度胸だな。アリスト。お前の醜態を部下の前で見せつけてやるよ。」


 


 すでに2人が飲み比べをして数時間。

アリストは意識が朦朧としてきた。

 

「ただ飲むだけなんてつまらねー。アリスト、俺に負けなかったら俺の宝をやろう。ただし、俺が勝ったらコウタローを1日貸せ。」

 

「ほう?好きにしていいぞ。ただしコウタローを殺すな。嫌がることもさせるな。私にちゃんと返せ。」

 

「まぁ。いいその程度なら言うこと聞いとやるよ。俺も殺したいわけじゃないんだ。」

いつからか賭けが成立してしまった。

酔った時の約束なんて当てにはならないが2人とも本気で飲んでいた。


「コウタロー。私はお前のためにやってるのだぞ。私にはお前が必要だ。決して此奴に殺させはせない。」

アリストは先ほどの約束は無碍にされる前提で飲んでいた。

 

「アリスト。お前が俺に勝てるわけないだろー。さっさと潰れろ。」


「フォード。私がこの程度で潰れると思むなよ。私はまだ全然酔ってなんていないむだからな。」

「呂律が回ってねぇーんだよ。お前。」


「すいません。お酒が切れましたので本日はお帰りください。」バーテンダーは口を開いた。


バーテンダーが空気を読んだのか、それとも本当に酒がなくなったかはわからないがこの勝負は引き分けとなった。


「俺はまだまだ飲めたんだがな。運がいいなアリストは。」

 そう言ってフォードは持っていた大きな水筒サイズの瓢箪で酒を飲み始めた。一口飲むとそれをコウタローに渡した。

 

「なんですか?これ。」

「酒池瓢(しゅちひさご)って言うマジックアイテムだ。この前旅してる時に見つけたんだがお前らにやるよ。俺の宝の一つだ。」


どうやらこのマジックアイテムは一度入れた液体を半永久的に出し続けるというチートアイテムらしい。

 フォードは勇者パーティを襲った際に奪い取り、中に酒を入れたようだった。

「こんなもの頂いていいんですか?」

「俺と負けずに飲めたご褒美だ。」

 そういうとフラフラっと帰っていってしまった。

 

「ふっ。私がお前なんどに負けるものか。阿呆が。」

アリストは負けず嫌いだった。


 

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