第9話 笑い地蔵

 『ロムニー駅』の左横に木のベンチがあった。


 「あそこで一休みしましょう」


 結衣の声で、三人はベンチに座った。4人掛けのベンチだ。結衣が一番『ロムニー駅』に近い端に座る。その横に廓代くるわよが座った。さらに、廓代くるわよの横に京介が座った。京介の横は一人分空いている。京介が空いている方を見ると、ベンチの向こうに一体の地蔵が置かれているのが見えた。人間の背丈ほどもある大きな石の地蔵だ。


 京介は首をひねった。


 『イギリス村』に地蔵? なんとも不釣り合いなものが置いてあるなぁ・・・


 結衣と廓代くるわよは地蔵には気がつかない様子だ。三人の前をコスプレをした若い女性や団体客や家族連れなどがひっきりなしに行きかっている。結衣が眼の前の雑踏を見ながら言った。


 「虹の郷って、人が多いわねえ」


 廓代くるわよが頷いた。


 「そうなんです。お二人は東京の方だから、ご存じないかもしれませんが・・・虹の郷って、静岡でも有名なテーマパークなんですよ」


 「あら、そうなの。槍間やりまさんは静岡のご出身なの?」


 結衣がそう聞いたときだ。ベンチの京介の横に誰かが座った。


 うん? 誰なんだ・・・


 京介が横を見ると・・・さっき見た地蔵が座っていた。


 地蔵が京介の方を向いた。地蔵の石の口が開いた。乾いた笑い声が出た。


 「ははははは」


 京介はベンチから立ち上がった。


 「じ、地蔵だ!」


 その声に結衣と廓代くるわよがこちらを振り向いた。


 その瞬間、地蔵が高く宙に飛んだ。地蔵の身体が大きな放物線を描いて・・・ベンチに座ったままの結衣と廓代くるわよの頭上に落ちてくる。


 京介は咄嗟に眼の前に座っている結衣と廓代くるわよの手を掴むと、思い切り手前に引っ張った。結衣と廓代くるわよが「キャー」と叫びながら、ベンチの前にドッと倒れた。その後ろに地蔵が落ちてきた。ドォンと音がして、木のベンチが微塵みじんに砕けた。木くずが散った。


 京介は顔を両手で覆って、飛んでくる木くずをけた。地蔵が再び京介の方を向いた。声がした。


 「わしと勝負せい!」


 結衣と廓代くるわよが半身を起こした。結衣が恐怖の声を上げた。


 「な、何よ、この地蔵?」


 地蔵が結衣の方を向いた。持っていた錫杖しゃくじょうを振り上げた。次の瞬間、無言でその錫杖を結衣の頭上に振り下ろした。


 「あぶない!」


 今度は廓代くるわよが結衣の体を抱えると、地面の上を横に転がった。錫杖が地面に敷いてある赤茶色のレンガに当たった。レンガが砕けて散った。地面に穴が開いた。地蔵が頭上に再び錫杖を振り上げた。地面に転がった結衣と廓代くるわよを狙っているのだ。


 「やめろ!」


 京介は叫ぶと、思い切り地蔵に体当たりを食らわせた。冷たく固い石の感触があった。京介に押されて、地蔵が後ろによろめいた。地蔵の後ろには『ロムニー駅』の駅舎の木の壁がある。地蔵の背中が駅舎の木の壁にぶつかった。ドーンと音がして、駅舎の壁に大きな穴が開いた。木の粉が宙を舞った。


 地蔵が京介の方に向き直った。石の口から再び笑い声が出た。


 「ははははは。わしは、そんな体当たりではびくともせんわい。おぬし、わしと勝負せい!」


 京介が首をひねった。


 「勝負?」


 ようやく、結衣と廓代くるわよが立ち上がった。廓代くるわよが地蔵を見ながら叫んだ。


 「鏑木さん。それ、笑い地蔵です」


 「わ、笑い地蔵?」


 「ええ、湖西市に古くから伝わる伝説の妖怪です」


 「コセイシ?」


 「静岡の浜名湖の西にある市です」


 廓代くるわよはそれ以上話すことができなかった。笑い地蔵が錫杖を京介の頭に向けて横に振ったのだ。


 あわてて、京介はその場にかがみこんだ。京介の頭上に風が起こった。ものすごいスピードで錫杖が頭上を通り過ぎて行った。京介は急いで結衣と廓代くるわよのそばに走った。三人が離れていると危険だ。廓代くるわよが京介に言った。


 「笑い地蔵は、どんな相手にも『笑いの勝負』を仕掛けてくるんです。言い伝えでは、笑い地蔵の攻撃を避けるには、笑い地蔵との『笑いの勝負』に勝つしかないんです」


 京介が勢い込んで聞く。


 「それで、どうやったら、その『笑いの勝負』に勝てるの?」


 「なんでもいいから、笑い地蔵を笑わせたら勝ちなんです。しかし、笑い地蔵がすることに笑ってしまったら負けなんです」


 廓代くるわよは民俗学を研究しているだけあって、さすがに詳しい。


 すると、廓代くるわよと京介の会話を聞いていた笑い地蔵の眼が光った。錫杖を京介の胸に突きつけながら、さっきと同じことを言った。


 「おぬし、わしと勝負せい!」


 廓代くるわよが叫ぶ。


 「笑い地蔵に狙われたら、『笑いの勝負』をするしかないんです。そうしないと、相手が倒れるまで、笑い地蔵が攻撃をしてきます」


 京介は眼の前の笑い地蔵を見た。


 相手は妖怪だ。逃げられるものではない。そうか。笑い地蔵と『笑いの勝負』をするしかないのか・・・


 京介の腹が決まった。


 京介は結衣と廓代くるわよをかばうように一歩前に出た。笑い地蔵に言った。


 「よし、いいだろう。お前の『笑いの勝負』を受けてやる」


 笑い地蔵が京介を睨んだ。


 「しからば勝負じゃ。わしが勝ったら、そこのおなご二人をもらい受ける」


 笑い地蔵がセーラー服姿の結衣と廓代くるわよを錫杖で指した。


 「よかろう。では、僕が勝ったら、お前はここから消え去れ」


 笑い地蔵が笑った。


 「あはははは。おぬし、わしに勝てると思っているのか!」


 京介も笑い地蔵を睨む。


 「勝負はやってみないと分からないぞ」


 その声に再び笑い地蔵の眼が光った。

 

 「いいじゃろう。・・・ではまず、わしの笑いを受けてみよ。おぬし、これを見て、笑わずにおれるかのう?」


 そう言うと、笑い地蔵は胸元から何か網のような赤いものを取り出した。廓代くるわよが叫ぶ。


 「あっ、あれは、笑い地蔵得意の網タイツ攻撃です」


 結衣がやっと声を出した。あまりのことに、今まで声が出なかったのだ。


 「あ、網タイツですってぇぇぇ?・・・」


 「そうなんです。山瀬さん。静岡県湖西市に伝わる古文書に書かれているんです。網タイツ攻撃は笑い地蔵の最も得意とする技だって・・・」


 京介は首をひねった。


 湖西市の古文書に網タイツが書かれていただって? 古文書なのに、網タイツ?・・・ ホントなのだろうか?・・・


 しかし、京介の疑問は長く続かなかった。笑い地蔵がせわしなく動き出したのだ。


 まず、笑い地蔵は袈裟をめくりあげ、腰のところに端折はしょって止めた。次に、片足ずつ足を上げて真っ赤な網タイツを器用に履いたのだ。笑い地蔵の灰色の足と真っ赤な網タイツの組み合わせがなんとも妖艶だ。


 そして、笑い地蔵は両手を握って腰に当てると、なんと・・・軽快なスキップで京介の周りを回り出した。錫杖は手で持って、刀を差すように腰から斜め後ろに垂らしている。


 スキップをしながら、笑い地蔵の口から歌が飛び出した。京介がどこかで聞いたことがあるような歌だ。


 「♪ そそら そら そら 地蔵のダンスゥ

    タラッタ ラッタ ラッタ 

    ラッタ ラッタ ラッタラ 

    これで 笑わす

    ぱぁっこ ぱぁっこ ダンス

    地蔵 スキップ

    ラッタ ラッタ ラッタラ ♪」


 笑い地蔵がその奇妙な歌を繰り返し歌いながら、京介の周りをスキップでぐるぐる回る。


 いつの間にか、京介たちと笑い地蔵の周りを虹の郷の多くの観光客が取り囲んでいる。観光客たちは京介と笑い地蔵の対決を虹の郷のアトラクションと勘違いしたようだ。アトラクションを見物する観衆として京介と笑い地蔵を見つめている。その観衆から笑い声と拍手が聞こえた。笑い地蔵のスキップに合わせて手拍子をたたく者もいる。


 「わはははは」、「いいぞぉ」・・・


 京介たち三人をセーラー服姿の戦隊ヒロインと間違えた声も飛んでいる。


 「お姉ちゃんのセーラー服戦隊、がんばれぇぇ」


 笑い地蔵は観衆の笑いに勢いを得たようだ。京介の周りをスキップでまわる速度が速くなった。


 笑い地蔵がスキップで京介の周りを回る・・・回る・・・回る・・・


 歌が響く・・・響く・・・響く・・・


 笑い地蔵の速度が速くなる・・・速くなる・・・速くなる・・・


 歌も早口になる・・・早口になる・・・早口になる・・・


 「♪ そそら そら そら 地蔵のダンスゥ

    タラッタ ラッタ ラッタ 

    ラッタ ラッタ ラッタラ ・・・ ♪」


 京介の眼がぐるぐると回り出した。


 そのときだ。突然、笑い地蔵がすってんころりと地面に仰向けにひっくり返ってしまった。


 どうしたんだ、一体?・・・


 京介と観衆が固唾をのんで成り行きを見守る。


 すると、笑い地蔵のお尻から「ぶぅぅぅぅぅ」という大きな音が漏れた。笑い地蔵が大きなおならをぶっ放したのだ。そのおならで、笑い地蔵の身体が地面から浮き上がって・・・そのまま、笑い地蔵は手を使わずに、おならの力だけで地面から起き上がってしまった。


 立ち上がった笑い地蔵が背中を向けた。笑い地蔵の尻から赤い繊維のようなものが何本も垂れ下がっている。おならの風圧で笑い地蔵の網タイツの尻の部分が破れたのだ。


 その垂れ下がった網タイツの赤い繊維の一部が笑い地蔵の尻に絡みついていた。京介がよく見ると・・・尻に赤い繊維で『馬鹿』という文字が書かれていた。


 笑い地蔵のおならと『馬鹿』という文字に、観衆がどっと沸いた。もう大爆笑だ。


 なんなんだ、これは?・・・・


 あまりのバカバカしさに、京介も思わず吹き出しそうになった。が、京介はそれをウッとこらえた。


 京介の顔に冷や汗が浮かんだ。


 あぶなかった・・・もう少しで吹き出してしまうところだった・・・


 京介がフーと安堵の息をついた。


 笑い地蔵が驚愕したような顔を見せた。京介に言った。


 「おぬし、この必殺の網タイツ攻撃を笑わずによくこらえたな。この網タイツ攻撃で笑わなかったのは、おぬしが初めてじゃ。・・・しからば、次はおぬしの番じゃ。見事、この笑い地蔵を笑わせることができるかな?」


 京介は困ってしまった。無理もない。そんなお笑い技などあるわけがない。考えたこともないのだ。すると、廓代くるわよが声を上げた。


 「鏑木さん。これを使ってください」


 そう言うと、廓代くるわよが背中のリュックから何か黄色いものを取り出した。それを京介に投げる。


 京介が受け取って、眺めると・・・バナナの皮だった。廓代くるわよの声がした。


 「それは、『虹の郷 女子トイレ コスプレ替え歌大会』で使うために用意した仕掛けです。それで、笑い地蔵を笑わせてください」


 京介は呆然と手の中のバナナの皮を見つめた。


 こんなバナナの皮で滑って見せろというのだろうか? 今どき、テレビでもそんなコントはやらないぞ・・・


 笑い地蔵の声がした。


 「攻撃ができぬのか。ならば、棄権ということで、わしの勝ちじゃな。おなご二人はもらっていくぞ」


 笑い地蔵が錫杖を頭上で一回転させると、結衣と廓代くるわよに向けた。錫杖の先から光がほとばしって、結衣と廓代くるわよを包み込んだ。


 「キャー」


 光に包まれた二人の悲鳴が聞こえた。すると、光の中で二人の姿が薄くなっていく・・・


 京介は慌てた。


 もう、考えている時間はない・・・


 京介は咄嗟にバナナの皮を前方に投げだした。地面を蹴り、両足をそろえて、その上に飛び乗った。


 「おい、笑い地蔵。これを見ろ!」


 京介の両足がバナナの皮で滑った。京介が両足を上げて、尻からドーンと地面に落ちる。セーラー服の藤色のミニスカートがまくれ上がった。赤いパンティが丸見えになった。


 笑い地蔵も観衆も誰も笑わなかった。笑い地蔵のシラケた声が聞こえた。


 「いまどき、バナナの皮で滑るなど、おもしろうもないわ」


 すると、京介にもう一つ、バナナの皮が投げられた。京介が見ると、また廓代くるわよだ。先ほどの結衣と廓代くるわよを包んでいた光は消えていた。廓代くるわよが言った。


 「鏑木さん。二つのバナナの皮をそれぞれ足の下に敷いてください」


 京介は言われた通り、バナナを両足のパンプスの下に置いた。すると、廓代くるわよが再び何かをリュックから取り出して、京介に投げてよこした。見ると、水上スキーで競技者がボートから引っ張ってもらう細いロープだ。


 「鏑木さん。このロープの端を持ってください。私と山瀬さんがロープを引っ張りますから、しっかりロープを握っていてください」


 京介がロープをつかむのを見ると、廓代くるわよと結衣がロープの片端を持って走り出した。たちまち、ロープがピンと張った。京介の身体がロープで引っ張られる。すると、両足のパンプスの下にあるバナナの皮が滑って、まるで水上スキーをしているように京介の身体が滑り出した。


 廓代くるわよと結衣に引っ張られて、バナナの皮で京介の身体が滑っていく。・・・風が起こり、京介のセーラー服の藤色のミニスカートがまたもめくれ上がった。再び赤いパンティが見えた。観衆からオオ~という歓声と拍手が上がる。笑い地蔵も眼を見張って、京介を見つめている。何が始まったのかという顔だ。


 すると、走っていた廓代くるわよと結衣が突然、広場の真ん中で足を止めた。ロープが緩んだ。しかし、京介の身体は惰性がついていて止まらない。そのまま、廓代くるわよと結衣の横をすごいスピードで滑っていく。京介が二人を通り越すと・・・いったん緩んだロープが再びピンと張った。京介はそのまま廓代くるわよと結衣の周りを回転し出した。廓代くるわよと結衣を中心点として、ロープを半径とする円を京介はぐるぐると回り出したのだ。


 廓代くるわよと結衣が、京介の回転にエネルギーを与えるように、身体をくねらせる。まるで、ハンマー投げの選手が身体をくねらせて、ロープでつながったハンマーにエネルギーを送り込んでいるかのようだ。京介の回転がどんどん速くなる。京介の絶叫が広場にこだました。


 「ひゃあぁぁぁ~。やみちくりぃぃぃ・・・眼がまわるぅぅぅ・・・」


 廓代くるわよが結衣に言った。


 「山瀬さん。今です。一二の三で手を離しましょう。そうしたら、鏑木さんは笑い地蔵の方へ飛んでいきます。・・・いいですか? 一、二のさぁん」


 廓代くるわよと結衣がロープを離した。京介の身体が、ハンマー投げのハンマーのように回転円から飛び出した。そのまま、笑い地蔵に向かって突進していった。笑い地蔵はびっくりした顔で、滑ってくる京介を見つめている。京介の眼にも笑い地蔵がどんどん大きくなってくる。京介は眼をつむった。思わず声が出た。


 「でひゃぁぁぁ・・・笑い地蔵と衝突するぅぅ・・・」


 そのとき、虹の郷の自然農園で使う肥溜めの『たい肥』を運んできた馬車が、京介と笑い地蔵の間を通りかかった。虹の郷では実験的に人糞尿を肥溜めに溜めて、発酵させた『たい肥』を作り、それで野菜を栽培しているのだ。馬車の荷車にぐるまには、その『たい肥』を入れたいくつもの木の桶が並べてあった。京介はその荷車に突っ込んでいく。京介は悲鳴を上げた。


 「どひゃああああ・・・」


 京介の身体が荷車に激突した。京介が宙に飛んだ。京介の身体が空中で上下反転して、京介は頭から『たい肥』を入れた木の桶の中に突っ込んでいった。ドッバーンと『たい肥』が周囲一面に飛び散った。引いていた馬が荷車から外れて、広場の向こうに駆けていく。御者もあわてて逃げ出した馬を追いかけていく。


 広場に残った荷車を見ると・・・こげ茶色の『たい肥』の桶から逆さになった京介の下半身が飛び出していた。セーラー服の藤色のミニスカートが逆さに垂れて、真っ赤なパンティから飛び出した二本の白い足が宙をバタバタと蹴っている。真っ赤なパンティに包まれた京介の尻には黄色いバナナの皮が二枚乗っていた。すると、京介の尻から「ぶうう」とおならが一発飛び出した。その風圧で二枚のバナナの皮が浮き上がり、ポトリ、ポトリと地面に落ちた。


 観衆は大爆笑だ。思わず、笑い地蔵もつられて笑い出した。


 「わはははは・・・」


 廓代くるわよがすかさず言った。


 「あっ、笑った。笑い地蔵の負けよ」


 笑い地蔵がハッと口を押えた。しかし、遅かった。笑い地蔵の姿が薄くなった。


 「しまったぁぁぁ・・・」という絶叫を残して、笑い地蔵が消えていった。


 廓代くるわよが飛び上がる。


 「やったぁ。私たち、笑い地蔵を倒したわよ」


 結衣が廓代くるわよの手を引いた。


 「槍間やりまさん。急いで鏑木君を助けましょう」


 二人が京介のところへ駆け寄る。ちょうど、京介が『たい肥』の桶から身体を起こしたところだった。京介の全身は『たい肥』に覆われている。


 京介の身体から『たい肥』のものすごい臭いが漂ってくる。結衣も廓代くるわよも京介のすぐ横まで駆けつけたが、その強烈な臭いに思わず立ち止まってしまった。二人がその場でのけぞる。その拍子に結衣のポシェットから何か黒いものが転がり落ちた。廓代くるわよが見ると・・・結衣が英国雑貨店の『マーマレード』で買ったあの黒い箱だった。黒い箱の表面には金色の三角形のマークが浮かんでいる。廓代くるわよが地面にかがんで、箱を取り上げた。


 「山瀬さん。これ、落としましたよ」


 そのとき、廓代くるわよの指が黒い箱の三角形のマークに触れた。


 突然、京介、結衣、廓代くるわよの三人のまわりに閃光が走った。誰もが光で一瞬眼がくらんだ。声をあげる暇もなかった。



(著者注)

 本文中の歌詞は以下を参考にしています。

 『兎のダンス』

 作詞:野口雨情

 作曲:中山晋平

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