第14話 衣女 vs 修善寺の僧侶
さらに、
京介たちの頭上からの結衣の声がした。
「お前たち、もう許さないよ。全員、食ってやろう・・・これでもくらえ」
次の瞬間、木造の鐘楼が木っ端みじんに消し飛んだ。木くずの中から、釣鐘が宙を飛んで・・・京介たちの頭上に振ってきた。
「あぶない・・・」
ドッドーン・・・
土煙が上がって、境内に敷いてあった小石が舞った。地面に倒れた京介たちの頭上に無数の小石が広がった。
京介は急いで、結衣と
ゴホン、ゴホン・・・結衣と
その上に小石が落ちてくる。
京介の身体を無数の小石が叩いた・・・京介は身体の痛みに耐えた。
ようやく、小石の落下が止んだ。京介は顔を上げた。
眼の前に、満月を背にした
「死ね・・・」
もう逃げる暇はない。ものすごい圧力が頭上に迫った。
駄目だ。踏みつぶされる・・・
京介はもう一度目をつむった。万事休すだ・・・
・・・・・
京介は眼を開けた。何故か、
「どうなったんだ?・・・・・」
次の瞬間、京介の眼の前がピンク色に変わった。
何か柔らかいものが頭上から降ってきて、京介、結衣、
布?・・・
見ると、布には大きな穴がいくつも開いている。京介たち三人はその穴の一つから上半身を出して・・・頭上を見上げた。
京介たちの頭上、わずか数十cmのところに、
京介は首をひねった。
すると、結衣が周囲のピンクの布を手で触りながら首をひねった。
「な、何よ、これ? 何の布なの?」
「こ、これは・・・
京介と結衣がその声に驚いて
「つまり、その・・・これは、山瀬さんが今履いていらっしゃるパンティです」
結衣が絶句した。
「ど、どうして、私のパンティが・・・」
「さっき、
結衣が顔を手で覆った。
「わ、私が今履いてるパンティですって?・・・キャー。恥ずかしい・・・」
京介が宙に止まっている、
「で、でも、
「
その声に、京介と結衣は再び
「えっ、
「お答えしにくいんですが・・・山瀬さん、あれなんですよ」
京介と結衣は、
「足を動かすと、あの切れ端が落ちてしまって・・・その・・・股間が丸見えになるので・・・それで、
京介は上を見上げながら感心した。
「そ、そうだったのか!
結衣も相槌を打った。
「そ、そうだったのね! それで、私たち、助かったのね」
そう言った結衣は・・・次の瞬間、あることに気づいて両手で顔を覆った。
「えっ・・・? ということは・・・あれは、私の股間じゃないの! イヤ~。恥ずかしい!」
京介には、結衣の言う意味がすぐには分からなかったようだ。首を
「えっ? 山瀬さんの?」
京介は
そのとき、京介の頬をパシーンと強烈なビンタが襲った。京介が頬を押さえて、のけぞる。
「ひぃぃぃぃ・・・」
京介が横を見ると・・・叩いたのは結衣だった。結衣が夜目にも真っ赤な顔で言った。
「鏑木君。いやらしいわね。私の・・・そ、その・・・そんなとこ・・・見ないでよ」
そのとき、
「山瀬さん、鏑木さん。仲間割れしているときではありません。この『破れたパンティ』は、
「さあ、三人でパンティを引っ張りましょう。。。。いいですか? イチ、ニの、サァン」
三人が力を合わせて『破れたパンティ』を引っ張ると・・・
ドドドドド~ン・・・
巨大な音とともに、僧房の一部の屋根と土壁が吹っ飛んだ。土埃が舞った。僧房の中にいた大勢の僧たちが慌てふためいて外に飛び出してきた。ちょうど夕食時だったのだろう。何人かの僧は椀と箸を持っている。僧たちの混乱した声が飛び交った。
「なんだ?」
「どうしたんだ?」
「何があったんだ?」
そういう声に交じって、「ご飯がゆっくり食べられないよう・・」という悲痛な声も聞こえた。椀と箸を持った僧が叫んでいるのだ。
僧房の上に倒れた
「やったぁ~」
すると、
「くそぉ~。お前たち、よくもやったな。もう許さないよ」
そう言うと、
そのまま右足が回転して・・・巨大なスニーカーが三人にぶつかってくる・・・
「あぶない・・・」
京介はパンティを手から離すと、結衣と
「ヒエエエ・・ェェェェェ・・・」
僧たちの身体が中空高く舞い上がって、悲鳴が満月のかなたに消えていった。
その一撃で、僧たちが
「お~! なんと! 巨大な女の化け物だ!」
「化け物だぞ。武器だ。武器を持ってこい」
「明かりも持ってこい。
椀と箸を持った僧も叫ぶ。
「ご飯の残りが食べたいよう」
京介が僧たちを見ると・・・さっき出会った、
何人かの僧がまだ建っている僧房の中に戻っていって、刀や槍、弓矢、薙刀などの武器を持って戻ってきた。みんな、火をつけた
「それ、明かりを化け物にかざせ」
その声で、僧たちが一斉に
それを見た結衣が叫んだ。
「キャー・・・やめてぇ! あれは、私の・・・その・・・あれなのよぉ。そんなところを照らさないでぇ!」
しかし、僧たちには、まさか女性の股間が丸出しになっているとは想像もできなかったようだ。僧たちは、
「キャー。ますます明るく照らされるぅぅ・・・。止めてぇぇぇ」
その明かりに、今度は
「
そう叫ぶと、
しかし、その姿勢は・・・ミニスカートの下から見上げる京介、結衣、
すかさず、僧のリーダーが叫んだ。
「あそこだ。きっと、あの奥の茂みがあるところが大女の弱点に違いない。あの茂みを弓矢で狙え」
何人かの僧が
「キャー。私のあそこに・・・。矢なんか止めてぇぇぇ」
結衣の声に重なって、頭上から
「しゃらくさい」
再び、何人かの僧の身体が中空高く舞い上がって・・・悲鳴が満月のかなたに消えていった。
「ヒエエエ・・ェェェェェ・・・」
僧のリーダーが叫ぶ。
「薙刀だ。薙刀を使え。足を払うのだ」
何人かの僧たちが薙刀を持って、
「あはははは。そんなもので、アタシが倒されると思うのかい。これでも食らえ」
そう言うと、
ブオオオオオオ~ン!
「あひやあああ・・・ぁぁぁぁぁ」
椀と箸を持った僧も宙に飛んでいる。その声も虚空に消えていった。
「ご飯が食べたいようおおお・・・ぉぉぉぉぉ・・・」
それを見て、結衣が叫んだ。
「キャー。何というお下品なんでしょう!」
結衣の声に、僧のリーダーの声が重なって響いた。僧のリーダーの顔が怒りで真っ赤になっている。
「おのれ、化け物め!・・・そうだ。『とりもち棒』だ。『とりもち棒』を持ってこい」
五、六人の僧が僧房の中に走って行った。
京介は首をひねった。
『とりもち棒』だって?・・・何だそれは? そんな武器があったのか?
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