第8話 初めての野宿

 振り返りビオラを見ました。

 瞳がハートマークの様になってる。

「ビオラは眷族になって随分変わったね」

「全てアラン様のお陰です!!」

 過酷な旅が予想される、人間のままでは足手纏あしでまといと、僕の都合なのに眩し過ぎる。


「アラン様この辺りで野営します、不自由お掛けして申し訳御座いません」

「僕は悪い意味で有名になった、帝都を遠く離れないと宿泊した地の領主に迷惑が掛かる」

「宿屋に普通に宿泊できれば良いのですが、この辺りの宿屋の主人はアラン様の事を知って居ります」

「良いよ野宿するの楽しみだ」


 街道から離れ森を目指しゴーレム車は進みます。

「流石悪路対応ゴーレム車だね」

「あそこの川原で野営します」

 ゴーレム車を止め、車内から食材を降ろし川原の石でカマドを組んで、二人がテキパキ夕食の準備を始めました。


 僕が眷族にした二人、つい先程まで人間だったビオラは勿論もちろん飲食に抵抗は無いでしょうが、僕にカンミも飲食に抵抗は無く、飲食する事で普通に生きて行けます。

 これは食べる真似をするだけの、普通のバンパイアと違いエンペラーバンパイアの特色で、僕の因子で眷族になった二人もエンペラーバンパイアに準ずる能力があるようです。


 言ってる間に根菜と干し肉のスープが出来たようです。

「粗末な食事で申し訳有りませんが、食事の準備がととのいました」

「ありがとう頂きます」

 普通の旅人の食事は、干し肉をかじり固いパンを水でふやかせ食べる味気無いもの、それに比べれば贅沢な食事と言えます。

「このスープ美味しい」

「ありがとうございます」ビオラが返事してる。

「ビオラが作ったの?」

「はい、料理は小さい時からやってました」

「心強いね、獣を狩って来たら解体出来る?」

「毛皮の処理は下手です、でも解体は出来ます」


「無駄かとも思いながら塩や蜂蜜、山椒サンショの粉買って良かった!ビオラ料理は宜しくお願いね!」

 カンミは一通り何でも出来るけど、料理が上手とは言えない。


 僕達に睡眠は殆ど必要としないけど、身体を休める事は有意義です、草むらに寝転び休息しました。


 休息とは言え何もしないで寝転んでるのは暇です。

 無駄な事をしている様ですが、人間の居住区に住む事になる僕達は、可能な限り人の生活の真似をする必要が有ります。

 人の営みの指導はビオラに任せて置けば……「ビオラ寝てる!凄い人間みたい!!」

(今日の昼まで人間だったから無意識に寝た様だね、ビオラにも無用な睡眠なのに…習慣か…僕もその内睡眠出来るように成るのだろうか?)


「アラン様、退屈でしたら剣術の練習でもしますか?」

「カンミも睡眠出来そうに無いみたいだね、お願いします」

 寝てるビオラを起こさないよう、森に入って剣術指導受ける事にしました。

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