第11話 吸血鬼ハンターアラン

「凄い!お前達強いな!!」

「もうダメかと思った所へ!格好良かったぞ!!」

「皆さん怪我は有りませんか?」

「あぁ無いが、応援がもう少し遅れてたら、怪我どころか俺とこいつは死んでた」


「コズラ侯爵はしつこくて無法者、その配下だから此れだけでは済まないと思うよ」

「深夜に数を増やし襲って来るだろうな……お前達今の内に逃げろ!」

「僕達のやった事が原因、このまま放って置けないよ、カンミにビオラ夜通し防衛して明日朝村人を安全な所に送る!良いね?」

「「アラン様!仰せの通りに!」」

「村人は何人居る?」

「男は俺達5人老人が3人、女が一人です」

「この村9人しか居ないの?じゃ僕達に任せてしっかり寝て!明日早朝村から逃げ出すよ」


「貴方名前は?」

「一応村長やってるコムラだ」

「コムラさん、アラン様が皆さんを救出される、村を捨て安全な所に連れて行く事になるけど大丈夫?老人とか説得出来ます?」

「姉ちゃん達、強いけど何者だ?」

 さて、どう答えるか?アラン様の素性はまだ隠していた方が無難……先程の戦い!!

「アラン様と私カンミとビオラは【吸血鬼ハンター】です」

 カンミが便宜上かたった敬称けいしょう吸血鬼ハンターは、瞬く間に人々の間に広まり救世主として独り歩きして行く事になった。


「吸血鬼ハンター?そんな者が居たのか、生きる希望が…よし!!吸血鬼ハンターアラン様に全てを託す!!」



 予想に反し何事も無く夜が明けた。



 かつては大勢住んで居たと伺える、不必要にひらけた広場にコムラ達村人が集合した。

 たったこれだけ?と驚くほど荷物を持って居ない。

 男達はいつでも戦えるように手荷物は控えていると思われるが、3人の老人も小さな手提げ袋を持って居るだけ、唯一の女性が鍋とか炊事道具を持って来たのだろう、大きな包みを背負っていた。


「大切な物、忘れ物は有りませんね?この村にいつ帰って来れるか分かりませんよ?」

「もう帰るつもりは無い!辛い思い出しか無い所、二度と来たく無い!開拓の最初「バンパイアは海に入れない、襲われたら海に逃げれば良い」と言われ安心してた…海には入って来ないが、奴らは俺達を操る事ができる!安全な所は何処にも無かった!!」



 海岸沿いの道を進んで行く。

 僕達だけゴーレム車に乗る訳に行かず、ゴーレム車は指示で後ろを着いて来てる。

 老人と大荷物を担いだ女性、それだけで無く男達の歩みものろい、殆ど進まず日が暮れてきた。

 遠浅の砂浜で野営する事になった。


 夕飯はビオラと村の女性タキさんが作ってる。

 昨夜の戦利品ゾンビ級が持っていた剣、コムラさんの刃こぼれ剣よりましなので取り替えた。

 夕食は、ビオラが大量に作った干し肉を使ったシチューにパンそれに老人達が取って来たてのひら位でかいアサリの素焼き、質素だけどビオラは本当に料理が上手美味しい夕食だった、特にアサリの素焼きは初めて食べたけど、無茶苦茶旨かった。

「「「「「肉がこんなに入った汁は初めてだ!!」」」」」

 簡単に捕れる魚介類が主食で、肉は滅多に食べれなかったそうだ、干し肉いりシチューを凄く喜んで食べてた。


 幸せな一時はここまで、日が沈むのをまっていたバンパイアが大挙してやって来た。

 騎士級に指揮されたゾンビ級が30、村人達は絶望し経たり込んだ。

⦅アラン様、大声で『吸血鬼ハンター出動』って叫んで!!⦆

「えっえ?❮吸血鬼ハンター出動!!!❯」

 意味が分からないけど、大声で叫んだ。

 村人達は絶望から、明るい表情に変わってた。

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