第22話 深夜の疾走は気持ち良い
「夜空がこんな素敵とは知りませんでした」
「アラン様!夜がこんなに綺麗とは知りませんでした」
夜こそバンパイアの世界、エンペラーバンパイアでも同じです。
明るく邪魔物の居ない全てが
夜を満喫しつつ全力を出しての疾走は、このまま天に駆け登って行けそうな高揚感で満たされます。
「あっ…飛べる」
突然僕は空高く飛び立っていました。
エンペラーバンパイアには飛行能力があるって父が言ってた、飛べるエンペラーバンパイアは居なくなったとも言ってたけど、僕は初めて飛ぶ事ができました。
「皆もおいで!夜の空は素敵だよ」
カンミにビオラが僕の後を着いて来て、夜空を飛んでいます。
「あぁ~飛ぶって気持ち良い」
「アラン様が眷族にして下さって、私はずっと幸せです」
人間だったビオラは、睡眠の習慣が抜けて居ません、眠いのか感動からか夢見心地のようです、普通の状態で無く夢見心地だったから飛べたのかも知れません。
下界を見ると、エンペラーバンパイアに成り立ての二人に飛行はまだ無理なようで、僕達を見上げながら走って着いてきてます。
下界を見下ろすって何かそれだけで偉くなった気がするよ。
地上を走るサテラとフラネは遅れがちになりますが、破壊衝動を発散させる処置です頑張って走ってもらいます。
馬車で5日掛かる距離は、僕達の全速力でもかなり時間を費やしました。
前方東の空が明るくなったころ、ミラノ辺境伯の居城と周辺都市が見えて来ました。
僕らに影響を与える事は有りませんが、太陽に嫌悪を持つのはバンパイアの宿命です。
朝日が登る前に到着は有り難い。
ミラノの居城に直に降下しては、サテラとフラネが門を破壊して入って来そう、なので門前に降下します。
サテラとフラネが走って来ました。
空から降りて来たのと高速で駈けてきた、僕らは十分不審人物門番が門を閉じ何か言いそうな表情のままバタリと倒れた、二人はシワシワのミイラみたいになって死んでいました。
サテラとフラネを見ると、瞳が赤く燃え上がって見えます。
「こら!勝手にエナジードレインしちゃダメです!!」
「「ゴメンお母様、お腹が空いて」」
産まれ立のエンペラーバンパイアは燃費が悪いようです。
「カンミ、教育に僕が口を挟むのは良くないけど、二人は敵味方の判断出来てるようだよ、それにここは敵の親玉の本拠地、僕達に危険は無いけど産まれ立の二人はある程度自由にさせないと危険があるかも知れないよ」
「アラン様の仰る通りにします、決定的間違いをしそうな時叱ります」
「「アラン様!とりなし、ありがとうございます!お役にたつよう頑張ります!!」」
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