第3話 ビオラを眷族にした

 カンミはゴーレム車を走らせています。

「アラン様この街道を行けば最短で帝都を出る事が出来ます」

「僕は帝都以外知らないのでお任せです」

 良く整備された街道をゴーレム車は軽快に進んでる。


「帝都を出ました」

「えっ?もう!」

「ここからはエンター侯爵領です」

「帝都の南隣に位地するエンター侯爵領、聞いた事が有る一部では帝都より栄えて居るとか」

「いつ帰るか分からない旅、寄り道になりますが父に挨拶しても良いですか?」


「良いよ、お父さんがここに住んでるの?」

「はい、父の領地です」

「ん?お父さんの領地?えっ?カンミのお父さんって、エンター侯爵ってこと?」

「はい、カンミ▪エンターです」

「……それじゃ、ここでお別れって事だね」

「何故お別れになるんですか?私はアラン様の従者ですよ!首にされない限り何処までもアラン様にお供します!」

「だって、侯爵令嬢を、除籍追放された僕なんかが連れ回すなんてできないよ」

「アラン様の従者は私の使命です!除籍追放ごとき何ですか!!アラン様ならいずれ建国されて国王になられるお方と信じて居ります!!ビオラもそう思うでしょう!」

「…わ、私は御主人様の奴隷です……御主人様が偉くなられないと…庇護して頂かないと生きて行けません」


「ビオラは…奴隷じゃ無いよ、旅の仲間と思ってる」

「御主人様!仲間と思って下さるなら、私を眷族にして下さい!虐げられるだけの人間はもう嫌です!」

「良く考えて決めて…僕は血が飲めない半端者のバンパイア…僕の因子を分け与えて眷族になれば、血を飲む事の出来ない半端者のバンパイアにビオラはなるよ」

「今直ぐ眷族にして下さい!」

「聞いてる?血の飲めない半端者のバンパイアだよ!!」

「今直ぐ眷族にして下さい!!」

「…分かった、カンミ停車して」

「…はいアラン様停車します」


 街道沿いの並木にビオラを持たれ掛けさせて、楽な姿勢にさせる。

「もう一度問う!後悔しないか?」

「直ぐに眷族にして下さい!」

「眷族になったら、二度と元には戻れないよ」

「アラン様!私が眷族にしましょうか?私なら両方どちらでも希望の方で…」

「御主人様が良いです!!」


 正面から改めてビオラを見ました。

 エメラルド色の神秘的な瞳をした美しい顔だ、貧しい暮らしの為かスレンダー過ぎる身体は女性として少し魅力に欠けるが、身体全体からにじみ出る少女のはかなさは皇帝の好みだったのでしょう。

(僕はカンミみたいにお姉さんを感じる方が好きだな、年齢を聞いて無い、僕より身長少し低いけど15歳位かな?)

 ビオラの決意を込めた強い眼差まなざしでアランは勘違いしたようですが、ビオラはアランと同じ12歳です。


「では始める『エナジードレイン』!」

 ビオラの生命エナジーを少し吸収します、僕の体内に取り込んだエナジーをビオラに返しました。

「ご、御主人様?身体が…暖かい?熱い?火照ります!」

「ビオラは今を持ってアランの眷族になった!!」

「えっ?もう……ですか?」


「眷族化は簡単だけど、もう元には戻れないよ!」

「元の人間に戻ったら嫌です!辺りが急に明るくなった気がします」

「視力が良くなってるから、それに夜目も効くようになってるよ」

「有り難う御座います御主人様!!」

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