俳句スイッチ エピソード壱

来冬 邦子

そっと前置き

 俳句の超初心者である(作者)が、無謀にも夏井いつき先生が(指導は無しで)入選作を選んで下さる「俳句生活・よ句もわる句も」に捨て身で入会したのが五年程前でした。その悪戦苦闘の奮戦記を書いたのが去年の6月12日から9月5日まで、およそ3ヶ月連載したのが「俳句スイッチ」でした。今回は前回より少し長めに書きたいので書きます。


 自分としてはだいぶ俳句に来たように感じますが、自画自賛の一句を投句してみるとボツのつぶてになって戻って来ます。何するんだ、ちゃんと五七五でかいてるし、季語なんざ入るだけ入れてるのに(入れちゃダメ)一番激しい言葉で非難します。すると、わたしの頭の中のわたしが……(冷静になれ、私。ただ馴れていてはダメ。それは愛玩犬。介助犬なら学ばなければ!)というわけで、今回はポンコツの謎は脇に置いといて、評価を頂いた句を中心に書いてみます。……って前とそっくりそのままやないかい!!


 さて、前回は持て余していた分厚い歳時記ですが(春夏秋冬プラス正月の季語の本です)熟読すると笑っちゃうようなヘンな季語も見つけます。例えば夏の季語「ソーダ水」と「サイダー」と「ラムネ」。それぞれがそれぞれの傍題ではなく別々の季語です。が違うの?(本意とは、その季語に集約された細やかでしみじみ深い季節感です)


 砂混じりの国道、焼けるアスファルト、忘れたくない海。

 夏の暑い日に、おばあちゃんの家に遊びに行って、綺麗な江戸切子のガラスのコップに注がれて飲むのが。基本、自宅でくつろいで飲みます。

 夏休みの校庭で地域のサッカー部が練習試合を終えた。「はい、冷たいわよ」見学の母がクーラーボックスからキンキンに冷えたやつを出してくれるのが。基本、屋外で飲む。みんなで飲む。

 夏祭りが終わっても、まだ仲間と騒いで食べて踊っていたい。「俺、喉渇いた」「もう売り切れじゃね?」「やば」地元のお父さんが売り子をしているドリンク屋さんまで走る。「すいません。ラムネ、まだありますか?」「おう、あるよ。これでお終いだから一人二本の大サービスだ」「やったーっ! ありがとうございます。」

 お祭りで飲むのが。店じまいのラムネはちょっと温かった。


 さて「俳句スイッチ・エピソード壱」始めまーす。


                               つづく

 

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