二十二年 三月   「マーガレットとベニシジミ」

 花壇に横倒しになりかかった数本のマーガレットに紅小灰蝶べにしじみが羽を広げてとまっている写真です。紅小灰蝶という蝶はしずんだ煉瓦色に黒い模様のある地味な蝶でモンシロチョウのような素直な愛らしさがありません。虫がダメでも蝶々ならなんとかなるなんてことはないんです。おなかがモワッと毛深いのがイヤ。



 紅小灰蝶立夏の便りを言付かり


 まず問題は、マーガレットはいつの季語なのか。

 花期が長いのですよ。春から夏の終わりまで咲いてます。手元の歳時記には無くて、ネットで調べて「夏」としました。さらに問題はべにしじみは季語なのか。これもはっきりしなくて季語では無い、春の季語だ、いや秋の季語だ、といろいろな意見がありました。わたしは中を取って季語では無いに一票。

 そのべにしじみがマーガレットの花壇をあちらこちらと忙しげに飛び回っています。今日から夏ですよ、と知らせながら。「を」は不要でしたね。選外でした。

 

 夏蝶や翅の上下のたどたどし ☆並選


 季語は夏蝶です。蝶だけですと春の季語です。そのふうわりと美しいはねでいくら羽ばたいても動きがたどたどしくて、熱い日差しを浴びて生きていけるのかと人事ながら心配になりました。

 

 マーガレットに飽いてベニシジミ何処へ ☆並選


 俳句では虫や鳥の名をカタカナではなく平仮名表記するのですが、「まあがれっと」はカタカナ表記が定着していますから良いとして、べにしじみは平仮名が良かったですね。それと唱歌の「ちょうちょ」~ちょうちょちょうちょなのはにとまれ。なのはが飽いたらさくらにとまれ~に似ているとも指摘されました。ほんとだ。


 砲声は絶えずマーガレット白し ☆☆人


 毎日、ウクライナとロシアの戦況が伝わって来ます。戦争とは賛成反対の多数決で決めるような理性的なものではなくて、貪欲で悪辣で人殺しなんだと、何故わからない。わかろうとしない。こんな日本の隅っこのボッチでも反戦は叫べます。ライトノベルだろうと俳句だろうと、今叫ばなくていつ叫ぶんだ。マーガレットの純白を汚す者は人間だという思いを句にしました。

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