二十二年 四月 「散歩中の紫陽花」
紫陽花は夏の季語。傍題の
紫陽花や傘干す庭の水たまり ☆並選
昨夜の雨は朝には上がって、朝の日差しに傘を干しています。庭に出来た水溜まりには、青空と白い雲が映っています。並選でした。最近、もう並選でいいじゃないか、と思うことがあります。穏やかで平凡な句にときどき混ざる人。風流じゃありませんか。争うのが嫌いで安定志向。ゆとり?
紫陽花や雨音
先月の大雨の後、校舎の一部が水に浸かり使えなくなってしまいました。取り敢えず修理がすむまで、二年のホームルームはプレハブの仮校舎です。大雨が降るとトタン屋根はとんでもない雨音がします。人の声も聞こえません。「二年だけヒドくないスか、先生」文句のひとつも言いたくなります。「いやいや、君たちは最高についてるよ」と担任の先生が笑います。「あと十年もしてごらん。普通の人には無い、良い思い出になるんだから」 並選ですが。下五は「トタン屋根」の方が良かったか。
紫陽花や子らは踏み込む水溜まり ☆並選
紫陽花が色づく通学路。昨日の雨が大きな水溜まりを作ってくれました。
こんなとき高学年は後々のことを考えて、ほら、濡れたら一日体操服ですからね。行きたいけれど行かないんですよ。でも経験の浅い低学年は……。水しぶきを上げて突っ込むんですね。それを見て、やっぱり参加する高学年もいたりして。いいですね、毎日が楽しくて。
紫陽花や
季語を使ってショートショートを書くのなら得意かも知れない。俳句はダメ。
有名な房総の紫陽花寺に行ったときのこと、結構な急勾配の木道(丸太を割ったような材木でこしらえた階段)をせっせと登っていくと両側に色とりどりの紫陽花が咲いていて、こんなに足が辛くないなら、もっと楽しめるのにと、奥の院(頂上)まで歯を食いしばって登った夏の思い出。
紫陽花や古書店街の細い路地 ☆並選
古本屋の町・神田が大好きで、学生時代は本を買うお金も無いのに、神田でフラフラしてました。お茶の水の坂下から九段坂までの大通りと古書店街の並ぶ裏通りと、一回入ったくらいでは覚えきれない複雑な通路を抜けてゆくカレー屋さんとか。古本屋さんの入り口の大きな鉢に咲かせた紫陽花とか。切れ切れの記憶が呼び覚ます、若気の至りの恥ずかしさ。もし時間を戻せても、あの頃のわたしには会いたくない。いや、小言を言いたい。ありゃ、今回全部並選だ。
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