二十二年 八月 「秋晴の公園」
お題の写真には青い空をバックに、たくさんの子どもたちの遊ぶ自然公園が映っています。敷地の広い公園で、大型のすべり台やアスレチックなど、遊具も充実しています。この写真をそのまま俳句にすると「逆さまに転げ落ちても秋高し」「秋の猫アスレチックの綱渡り」などというつまらない俳句にしかならないので、ここから発想を飛ばします。発想を飛ばす、ということを夏井先生がよく仰いますが、なんでもありってことですよね。
季語は「望の夜」秋の満月の夜のことです。表慶館は上野公園にある東京国立博物館の左手前の建物です。ネオバロック様式の外観は異国情緒があって美しく(外壁の凹みに彫刻装飾の楽器などが飾ってあるなど細かい仕事が施されています)特に素晴らしいのがその銅葺きの丸屋根です。葺いた当時は銅ですから、新しい十円玉みたいにピカピカしていたのでしょうね。明治42年(1909)に開館して以来の歳月が見事な青屋根を作り上げました。建築家は日本人です。宮内省技師・片山東熊さんを中心に当時の俊英たちの傑作です。
生家の庭に公孫樹が四本(狭い庭なのに何故)あったので公孫樹とは幼馴染みです。扇子を開いたような、青々とした葉が、時が来ると一斉に黄金色に染まります。すると空がまたグンと高くなったように見えるのです。こんなに大きな公孫樹でさえ届かない、大自然のスケールの壮大さを思います。
季語は「
薔薇の実や川面に揺れる紅き珠☆並選
「薔薇の実」は季語じゃないんですって。びっくりしました。「冬薔薇」は季語なのに? でも野薔薇が実をつけるのは晩秋から初冬ですから、ここでもそのくらいの季節として読んでください。小川の水面にその姿を映す野薔薇の木。初夏には白い花びらを散らし、秋には真っ赤な珠のような実が川面に揺れています。
実りたる花梨の空の青さかな☆☆人
今度こそ。「花梨の実」は秋の季語です。わたしは上野の博物館のお庭で見たのですが、濃い黄色の存在感に驚かされました。小ぶりな林檎、紅玉くらいの大きさです。それが木の梢に鈴生りでした。背景の空はますます青く晴れやかで、美しい星に生まれたなあ、と思いました。人入選でした。
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