概要
滅びた己の母国や種族の歴史をたった一人でまとめあげ、考古学者となった彼女は学会の学者たちからは〝火喰〟と疎まれていた。
花と共に生まれ、花と共に生きる異人類〝魔女〟。そんな魔女たちが住まう街、魔女街ペイタルを訪れたアルカイヤは、旧知の仲であり街長でもある魔女ボアンに「百年前に滅びた大国〝魔女の国〟の滅亡の原因を突き止めて欲しい」という依頼を受ける。
そして、ボアンによりアルカイヤの助手として紹介されたのは、さすらいの自称錬金術師ガヴィという、借金あり、人誑しの悪癖ありの軽薄男であった。
堅物な学者気質であるアルカイヤと、軽薄錬金術師ガヴィの凸凹バディは時に互いを喰らい合いながらも、〝魔女の国滅亡〟の
おすすめレビュー
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- ★★ Very Good!!少女によって喰われた数々の“火”が、闇に葬られた真実を照らす光になる!
鳥脚の考古学者の少女アルカイヤと、女癖の悪い錬金術師の男ガヴィが出会い、堅牢な守りを誇っていた“魔女の国”滅亡の秘密を解き明かす姿を描いた作品。一見して関係ないような出来事はしかし、燃え広がるように意味を持って連なり、過去を、現在を、未来を照らし出す。
アルカイヤとガヴィ。魔女の国の後継となる“魔女の街”での2人の出会いが、後に歴史に名を残す「火喰いのアルカイヤ」を生む──。
本作の魅力の1つは、文学的な、硬さがありながらも読みやすい、そんな美しい文章で描かれる小説世界そのものです!
どこか物悲しい魔女の街の情景。朽ちて久しい、野花が咲き誇る魔女の国の遺構。清らかな水をたたえる泉。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!灯された火か、作られた火か、全てを無に帰す火か。
異世界ファンタジー作品は数あれど、歴史を深堀できるほど作り上げられたものはごくわずかなのではないでしょうか。その時代に生き、死んだ人々の足跡の重なりを感じられる考古学ロマンが、こちらの作品には詰まっています。
まず、魔女の設定が素晴らしい。
尖がり帽子を被って魔法の杖で派手な呪文を唱えたり怪しい薬を作ったりする魔女のイメージを見事に払拭してくれた、女ばかりの『花山羊の民』という設定。頭に山羊や羊の巻角が生えているのです。もうこの時点で「好き!」となりました。
それに魔女の街を彩る『癒守花』の描写がとにかく美しい。これについてはぜひ第6話を読んでほしいです。読めばわかる……!
そして物語…続きを読む - ★★★ Excellent!!!火を灯し継ぐ、火の熱さを感じる考古学者の物語
濃厚なファンタジー世界観の中で、失われた歴史を研究解明し、後世へと継ぐ考古学者のアルカイヤ。
とにかく、ブレずに歴史の痕跡を追い求め、また不都合による改変や隠蔽を跳ね除ける強さがとても好きです。
本当に歴史というもの、理不尽であり不都合に塗れたものです。
作品の展開にも、この理不尽さがありありと、詰まっています。
でも、アルカイヤはその理不尽であり、不都合なことであっても受け止め、歴史を守るという意志の強さに感服しました。
本当に彼女の台詞や行動から、呼んでいる私にまで、その人間が灯した歴史という火の熱さというのが伝わってくるのです。
これが、たまらなくて、とんでもねぇ作品読ませていただいて…続きを読む